日露関係で、表面上、大きな動きがなくなると、決まってクレムリン(ロシア大統領府)筋から筆者に情報が届く。ロシア側の認識を筆者に伝えれば、それが新聞、雑誌などを通じて首相官邸やロシア政治に関心を持つ人に届くとの計算からであろう。 今回は11月末に文書で分析メモが届いた。まずはメモをそのまま紹介する。 <1.日本との対話をすべきか否か、このような議論がモスクワでまだ続いているが、悲観的な声がますます強まっている。その論旨は、岸田文雄首相の平和条約に関する立場は、彼の最近の発言が示すように全く建設的ではない、彼が口に出すことは、ロシアが過去何度も聞いたことのある4島返還論だけだ、というものだ。 2.(1)クレムリンのある専門家は、「日本はロシアと向き合う時、顔に同じお面をつけている。それは怒った顔でも優しい顔でもないが、問題なのはそのお面の下にも本当の顔がないことだ。お面など必要なく、必要なのは