シーマ・ミスラさんは、ロンドン南西の小さな町で、英ポストオフィスから委託され郵便局を運営していたが、横領で不当に有罪と認定された。当時妊娠していたミスラさんは4カ月収監された後、犯罪者を監視するためのタグを足首に装着したまま、7カ月後に病院で出産した。 英国法史上最大のスキャンダルが生んだ犠牲者の1人が、ミスラさんであることはほぼ間違いない。時代遅れだが、郵便切手や年金受け取りのように今も経済を動かすサービスを提供しているポストオフィスは、2000年から14年にかけ横領で数千人の責任を追及した。「サブポストマスター(民間受託郵便局長)」について900件余りの有罪が認定された結果、大部分が仕事を失い、多くが破産し、少なくとも4人が自殺した。