低所得層の非正規の女性は、育児休業給付を受けられないし、乳幼児期に保育所へ入れるのも難しい。生活苦が見えているのに、どうやって、結婚して子供を持てと言うのか。結局、これを等閑視する社会の風潮が少子化をもたらしている。山田昌弘先生の新著『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』は、その内実を、一つひとつ分解して説明をしてくれているように思う。 ……… 山田先生は、失敗の理由として、真っ先に、「キャリア女性の状況を前提とし、非正規雇用女性の声を聞いてこなかった」と指摘する。非正規の女性は、むしろ、多数派であるにもかかわらず、少子化対策の目玉である育休と保育の外に置かれているのだから、そうした批判になるのは致し方あるまい。少子化の大きな要因が、結婚後の出産数より、結婚の減少によることとも整合的だ。 なぜ、外に置かれているかと言えば、継続雇用、いわば、正社員であることが暗黙の前提になっているからであ