「昭和11年の三大事件」――。1936(昭和11)年、3つの事件が帝都・東京を大パニックに陥れた。 【写真】閲覧注意…『進撃の巨人』の元ネタになったとも言われる衝撃事件 2月6日に発生した「二・二六事件」、7月25日に発生した上野動物園クロヒョウ脱走事件」、そして5月18日に発生した「阿部定事件」である。 特に阿部定事件は、令和の現在に至るまで「伝説的な毒婦」「戦前を代表する猟奇事件」といったキャッチと共に数多くの書籍が出版されてきた。果たして「阿部定事件」とは何だったのか、そして、この事件が後年の同様の事件に与えた影響について改めて考えてみたい。 5月18日の午後3時ごろ、東京都荒川区の待合(男性が芸者と飲食や性交などを行う場所)で男性の死体が発見された。死んでいたのは、中野区で料理店を営む石田吉蔵(きちぞう・42歳)。 彼は紐のようなもので首を絞められていたほか、鋭い刃物で体を傷つけら