ATD-XのRCS実物大模型。RCS(Rader Cross Section)とはレーダーに対する航空機や艦船の「低発見性(ステルス性)」を数値化したもの - 写真=朝雲新聞/時事通信フォト 日本の安全保障技術は世界から取り残されている。元外交官で同志社大学特別客員教授の兼原信克さんは「政府は安全保障に転用できる民間の先端技術を把握しておらず、米中のほうがよほど詳しい。大学などの研究機関と連携する予算も仕組みもないため、安全保障と科学技術がほとんど遮断されてしまっている」という――。(第2回/全2回) 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、兼原信克『日本の対中大戦略』(PHP新書)の一部を再編集したものです。 ■中国への武器技術に危機感を持ち始めたアメリカ 政府の中で経済安全保障問題が急浮上したのには、二つの出来事が重なっていた。一つは、対中機微技術流出阻止問題である。 数年前、私がまだ総理