2023年10月以降の中東でのテロや紛争の激化などの結果、国際社会におけるウクライナへの関心は顕著に低下したようにみえる[1]。国際世論の支持とそのもとでの支援が頼みの綱だったウクライナにとっては危機的な事態だといえる。 さらに、ウクライナへの武器支援を主導してきた米国では、共和党と民主党の対立により、バイデン政権が提案したウクライナ支援の予算を連邦議会が承認できない状況が続いている。EU(欧州連合)においても、ウクライナ支援パッケージへの合意がハンガリーの反対により難航した。「支援疲れ」が深刻化しているとの指摘も多い[2]。 日本では岸田文雄政権が、特にG7の枠組みにおいて米欧諸国と足並みを揃え、「今日のウクライナは明日の東アジア」[3]かもしれないとの認識のもと、世界のどこであっても力による現状変更は認められないとの立場を明確にし、大規模な対ウクライナ支援と厳しい対ロシア制裁を続けてき