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今回は第50回衆院選(2024年)の個別の小選挙区について、支持政党と投票先の関係を見ていきます。289ある小選挙区をただちに全て扱うのは困難であるため、興味深い10の小選挙区をピックアップしました。 支持政党と投票先の関係がなぜ重要なのかというと、小選挙区では支持政党の候補がいない場合が少なくないためです。ある政党が小選挙区に公認候補を擁立した場合、その党の支持層がまとまって票を投じるのは自然なことといえるでしょう。しかし公認候補を擁立しなかった政党の支持層は、他の政党の候補の中から投票先を選ぶしかありません。その際にどのように分岐するのかということが大きな関心となるわけです。 特に現在の情勢を理解をするうえでは、国民民主党とれいわ新選組の検討が避けては通れないものとなっています。この2党は昨年の衆院選で比例票を増やしたほか、最近の世論調査でも支持率が伸びる傾向にあり、影響が拡大している
「前回の選挙」と「今回の選挙」での票の動きを描き出すことを考えてみましょう。 A党とB党という2つの政党があり、100人がそれぞれに投票したとします。前回の選挙でA党が70票、B党が30票を得ていたところ、今回の選挙ではA党が60票、B党が40票となりました。 もしもここで、前回A党に投票した70人のうち20人が今回はB党に投票先を変え、他方で前回B党に投票した30人のうち10人が今回はA党に投票先を変えたことが判明したならば、それは次のように図解することができます。 図1. 2回の選挙での流出・流入の例 この図では投票先を変えなかったものを残留、変えたものを流出・流入と表記しました。帯の幅は人数に比例します。 このような図は、衆院選や参院選の比例代表についても作ることが可能であるはずです。とはいえ、そのためのデータは開票の結果からは得られません。票には政党名や候補者名が記載されているのみ
三春です。やや遅れ気味になってしまいましたが、今年の活動について簡単に書きました。 取り組み 世論の動向のページや、各種SNSで行っている世論調査の投稿は、これからも継続していきます。7月の参院選の際は、今回も全選挙区の情勢報道を網羅する予定です。衆参同日選となる場合は厳しいですが、乗り切れるようにできるだけ努力します。これらは誰もが見られるような形で公開していきます。 メンバーシップのみちしるべには、主に政治や選挙の分析について、最低でも毎月1つ、目標として2つか3つくらい記事を書いていくつもりです。あまり多くはないですが、一つ一つに丁寧に取り組みます。また、支持率の長期的推移やリアルタイム議席数推定など、コンテンツの継続的な更新も行います。 基本的には、去年からあまりスタイルを変えずに、地道に力をためていくという感じでやりたいです。 守っていくこと 政治や選挙の分析を広く公開している以
今年10月の衆院選で自民は大きく議席を減らし、公明を合わせた与党としても過半数を割ることとなりました。この明らかな敗北と言うよりほかにない結果は、他方で野党の勝利とも呼ぶことができるのでしょうか。ここでは自民に焦点をあてつつ、衆院選の総括を行います。 なお、先の選挙からまだ日が浅いため、ここでは第50回衆院選(2024年)を今回の選挙、第49回衆院選(2021年)を前回の選挙とも表記していきます。 自公、少数与党に まず議席数から概観してみましょう。下の図は今回の選挙で確定した議席配分で、括弧内は選挙前からの増減を表します(選挙前とは、今回の解散が行われた時点にあたります。3年前の前回選挙との比較も後ほど表2でとりあげていきます)。 図1. 第50回衆院選(2024年)の議席配分(NHKの開票速報による) なお、ここでは政党の公認を受けていない議員は全て無所属に数えていることに留意してくだ
この情勢報道集約は選挙予測というよりも、「報道各社が選挙情勢をどのように記述したか」という事実の提示を目的としたものです。できるだけ元の報道に手を加えずに、簡単なやり方で要約することを通じて、接戦の選挙区をみつけたり、食い違う情勢報道をあぶりだすことを狙いとしています。したがって特定の報道が他と大きく食い違うようなときも、あえて除外するのではなく平等に扱い、食い違っていることを可視化します。 他方で情勢報道集約の公開の仕方は、事前に定めたガイドラインに従って、報道が総じて優勢としている候補に序列をつけて上段から並べるというやり方をとっています。新たな情勢報道が出るたびに序列は並べ替えられます。そこに選挙予測としての色合いがつくことは否定できません。 それがどれくらい妥当であったのかという確認は必要です。 当選者の整合性 今回の選挙で各社が一番手で報じた候補者が、289の小選挙区のうち何勝し
ぼくは今、第50回衆院選(2024年)の全体像を把握しようと試みているところです。そのための一助として、維新とれいわ、国民と共産、参政と保守、そして自公と野党など、任意の2つのグループを定めて対比したときに、どちらの票が多くなるのかを市区町村別に概観してみました。 一例をお見せします。次の図は、3年前に行われた第49回衆院選(2021年)の比例代表について、日本維新の会とれいわ新選組のどちらの票が上回るのかを、市区町村別に評価したものです。 「維新」対「れいわ」 第49回衆院選(2021年)の結果 まずは3年前の衆院選から見ていきます。下の枠で囲われた数字は、市区町村ごとに維新とれいわを比較したとき、維新がリードしたものが全国で1804あったことを示します。対してれいわがリードしていたのは86にとどまっていました。 なお市区町村の数え方ですが、政令指定都市を除く市、町、村、特別区(東京23
今回の衆院選の結果をうけて、すべての政党と政治団体の比例票の分布を地図上に描きました。前回からの増減もあわせて示しました。 簡単な見かた この記事に掲載した地図では、全国1892の市区町村を以下のように塗っています。 図1. 簡単な見かた 投票率については、高いほど赤く、低いほど青くなるようにしています。 得票率は、高い地域ほどその政党が強く、低い地域ほど弱いことを意味します。「絶対得票率」や「相対得票率」などの用語が出てきますが、「どこで強くてどこで弱いか」ということはほとんど違いません。多くの政党を同一の基準で表すため、塗り分けの階級を等間隔にしていないことに留意してください。 増減は、増加したものを黄色から赤の配色で、減少したものを水色から青の配色で示しました。 投票率 まず投票率を見てみましょう。図2に前回の第49回衆院選(2021年)のものを、図3に今回の第50回衆院選(2024
第50回衆院選の各社の情勢報道を一覧にしていきます。判定の基準や配色は原則として以下の表に従います。詳細な説明や例外的な処理などはガイドラインにまとめられています。 ●それぞれの小選挙区の候補者は、上の表における「階級」の平均値が大きい者から順に並べられています。すなわち、報道が総じて優勢とみなしている候補を上から配置するようになっています。平均値が同じ場合は、最も左の(古い)情勢報道を除外して平均を再計算することを、差がつくまで行って配置します。 ●以下に掲載した各小選挙区の表には、情勢表現の前に数字を記載してあります(「1 リード」「2 懸命に追う」「3 厳しい」など)。これは、優劣が明記されている場合はその順で、明記されていない場合は記述された名前の順番です。 ●候補者の名前と所属する政党の表記は原則としてNHKに合わせていますが、次の点が異なります。①立憲民主党と無所属に関しては、
総裁選が始まって自民党が注目を集め、衆院選で野党は厳しいだろうと言われるようになりましたが、それには大きな間違いがあります。 以下に示すのは、総裁選の投票日にむけてカウントダウンするようにして描いた自民党の支持率です。すなわちここでは左端が総裁選の1年前にあたり、右端が総裁選の投票日に対応するものとなっています。菅義偉氏が選出された2020年の総裁選を水色の線、岸田文雄氏が選出された2021年の総裁選をオレンジの線、今回の総裁選を緑色の線でそれぞれ示しました。 図1. 自民党の支持率 それぞれの線はNHK、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日経新聞・テレビ東京、時事通信、共同通信、産経新聞・FNN、ANN、JNN、選挙ドットコム・JX通信の世論調査の平均によります。 この図から明らかなように、自民党は今回の総裁選で支持率を上げられていません。それはむしろ総裁選の前に伸びていたことがうかがえます
世論調査の解釈について思うところがあったので、簡単に書くことにします。 事の発端は、衆院議員の米山隆一氏から次のような引用を受けたことでした。 https://x.com/RyuichiYoneyama/status/1825722986068123818 彼のツイートには、立憲民主党の支持率が先月から2.2ポイント増の12.3%となった共同通信の世論調査を引用したうえで、「私の議論は今の所殆ど全くマイナスに影響していないどころか、今の所立憲の支持は寧ろ増えています」と書かれています。 ぼくとしては世論調査への言及一般に口をはさむつもりはありません。しかしここでは、ぼくのツイートを引用する形で議員が書いたことが拡散されていたため、その解釈には同意しないということを表明しても構わないと思い、次のように返信をしました。 https://x.com/miraisyakai/status/1827
今年6~7月に行われたフランスの国民議会選挙では、議席の過半数をうかがうとみられた極右勢力が、最終的に第3党へ追い込まれるという波乱がおこりました。フランスでは日程をかえて2度の投票を行う「小選挙区2回投票制」が採用されており、1回目を終えて極右の優位が鮮明になると、他の各党はその勢いを止めるべく協力して2回目へと臨み、形勢を逆転させたのです。そこで行われた攻防をデータを使って読み解いてみましょう。 小選挙区2回投票制 フランスの国民議会選挙は小選挙区制であるものの、投票を2回行うという独特なやり方が採用されています。 第1回の投票は、しばしば本選挙の前に行われる予備選に近い意味合いを帯びており、それが担う主な役目は有力候補の選別です。この段階で当選を決めることも可能であるものの、そのためには投じられた票の過半数を一人で得なければならないという高いハードルが課されています。選挙区内の最多得
今年7月に行われたイギリスの総選挙では労働党が勝利をおさめ、14年ぶりの政権交代がおこりました。この出来事はどのように理解されるのでしょうか。また日本の選挙を考えるうえで、ここからどのような洞察が得られるのでしょうか。若干の検討を行ったのでその結果をまとめました。 獲得議席数 まずは全体の議席がどれほど動いたのかを振り返るとともに、登場する主要な政党を確認してみましょう。図1に前回の選挙(2019年イギリス総選挙)の議席数を、図2に今回の選挙(2024年イギリス総選挙)の議席数をそれぞれ示しました。 図1. イギリス総選挙(2019年)獲得議席数 図2. イギリス総選挙(2024年)獲得議席数 なお、議長のリンジー・ホイル氏を労働党に数える場合、労働党の議席は1つ多くなります。イギリス下院では議長は無所属となるのが慣例で、ホイル氏はそのため2019年に労働党を離れました。この図では「その他
もしも今、ただちに衆院選や参院選が行われたとしたら、各政党は比例代表でどれだけの議席を得るポテンシャルを持っているのでしょうか。今回はその推移を一日きざみで計算し、追跡することを試みました。 政党支持率の平均 議席推定の出発点としたのは、世論の動向で公開している政党支持率の平均です。図1に全政党を含むものを、図2に10%未満の拡大版をそれぞれ示しました。 図1. 政党支持率の平均(全政党)図2. 政党支持率の平均(10%未満拡大) これらのグラフでは、時間的な解像度を引き上げるために、各社の世論調査を統合して平均をとっています。先月、産経新聞・FNNの世論調査の反映を再開したことにより、大手マスコミを網羅したものとなりました。 即時投票を想定した得票数の推定 政党支持率の平均をもとにして、比例代表の得票数を推定する方法を次に示します。ここからはしばしば「絶対得票率」という言葉が出てきますが
世論の動向などに掲載している支持率の平均のグラフを、アメリカ、イギリス、カナダ、イタリア、ドイツ、フランスについても出せるようにしました。今回はそれを簡単にレポートします。 外国の世論調査では次の選挙における投票先を聞くのが一般的で、日本で言われる政党支持率とは少し意味合いが異なります。しかしロイターやブルームバーグなどをはじめ、NHKなど日本のマスコミもそれを単に支持率と呼ぶことが多いため、ここでもあえて区別をせずに支持率と書きました。本当は投票意向とでもいうのが正確です。 アメリカ アメリカ大統領選の全米における2候補の支持率です。もっとも大統領選は州ごとの結果をうけて決まるため、これがそのまま選挙の優劣に対応するわけではありません。一つ一つの州でぎりぎり勝利した方が当選への効率は良くなりますが、最大の人口を抱えるカリフォルニア州にバイデン氏の支持者が多い事情などにより、全米での支持率
各社の世論調査から内閣支持率や政党支持率の平均を求め、「世論の動向」や各種SNSなどで公開してきましたが、2020年6月から現在に至るまで産経新聞とFNNによる調査は除外していました。これは2019年5月から2020年5月にかけて産経・FNNの委託先で不正が行われたことをうけた措置で、除外するとした当時の判断は「産経・FNN世論調査の不正にたいする見解」で述べています。 しかし現在、すでにこの問題の発覚から4年がたち、なぜ産経・FNNだけを除いているのかといった質問を受けることが多くなりました。また、平均のグラフに反映することを通じて、各社との整合性を確認してほしいといった要望ももらいました。そうした意見にこたえ、近いうちに産経・FNNの調査の反映を再開する措置を講じることにします。今後の調査だけを反映するのではなく、過去にさかのぼって全期間の反映を行います。 また、この機会に次の対応も行
「世論の動向」や各種SNSなどで比例投票先の平均を公開してきましたが、今までは扱えた期間が直近の1年ほどにとどまっており、前回衆院選の時点が含まれていませんでした。そこで今回、期間を5年あまりに拡張する作業を行いました。その結果を示します。 自民党 まずは自民党を例にして説明をしましょう。以下の図1は自民党の比例投票先の平均です。 図1. 自民党の比例投票先 各社の世論調査は方法などの違いによって、特定の政党について高めの数字が出やすかったり、低めの数字が出やすかったりする固有の傾向をもっています。ここではそうした傾向を打ち消すように補正したうえで平均を求めました。一つ一つの世論調査を補正した結果は以下のリストの点のとおりで、平均は曲線で示しました。 平均の曲線が途切れている箇所があることに注意してください。これは、選挙が近い雰囲気にならないと比例投票先は調査されないことが多いため、欠落す
第50回衆院選で擁立が見込まれる候補者を、誰もが見られるように一覧にまとめました。このページは、公示日以降に各社の選挙報道をまとめる「情勢報道集約」を迅速に行うための準備として作成したものなので、掲載している情報は最小限となっています。 情勢報道集約はこちらです。 訂正を要する場合は、プロフィールページにメールアドレスを掲載しているので、ご連絡ください。ツイッター、フェイスブックなどでも連絡をとることが可能です。 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県
のべ6億の投票 最高裁の裁判官は司法のトップの人たちです。けれど信用を失えば「さらに偉い人」の手によって辞めさせられることになっています。その手を担うのが有権者――。国民審査はそうした意図をもつ制度であるといえるでしょう。 国民審査が実施されるのは衆院選と同じ日です。投票する際は辞めさせた方がよい裁判官の氏名の上に「×」を書き、続投してよい裁判官には何も書かないままとします。開票の結果、「×」が書かれた票が有効票の過半数に達した裁判官は、所定の期間を経た後にその地位を失います。「×」が書かれた票は正しくは「罷免を可とする票」と呼ばれますが、この記事では簡潔に「罷免票」としました。 第25回国民審査(2021年)で用いられた投票用紙の見本を図1に示します。最高裁の裁判官15人のうち、この回は第24回国民審査(2017年)以降に任命された11人が対象となり、のべ6億2898万8848票の有効票
内閣支持率や自民党の支持率が下落して、第二次安倍内閣の発足(自民党への政権交代が起きた2012年)以降でもとりわけ低い水準にあることが世論調査から明らかになっています。その一方で、「野党の支持率も伸びていない」という主張もしばしば耳にします。そうした主張は妥当なのでしょうか。3月14日までに発表された各社の世論調査をもとにして、与野党の平均の推移を描きました。 与野党の支持率 現在、与党を合計した支持率は28.1%、野党を合計した支持率は24.8%となっています。また、支持政党を持たない無党派層が43.4%を占めています。 図1.無党派層の割合と与野党の支持率の平均 与党の支持率は、第26回参院選(2022年)後に、旧統一協会との関係や、裏金問題の露見によって下落してきました。他方で野党の支持率はゆるやかに伸びてはいるものの、その大きさは与党の下げ幅と比べれば小さく、与党の支持をやめた人の
民主党政権が誕生した第45回衆院選(2009年)は、現行の小選挙区比例代表並立制のもとで最も投票率が高かった選挙でした。しかし自民党が政権を奪還した第46回衆院選(2012年)の投票率は一転して下落し、現在に至る長い低迷がおきています。 図1には第45回衆院選(2009年)について、図2には最新の第49回衆院選(2021年)について、各市区町村の投票率を地図として示しました。なお、投票率には比例代表におけるものを用いましたが、小選挙区と比例代表は同時に投票が行われるため、どちらを用いてもほとんど変わりません。 図1. 第45回衆院選(2009年)比例代表の投票率 図2. 第49回衆院選(2021年)比例代表の投票率 この間に選挙に行かなくなった人たちは、どこにどれだけ存在するのでしょうか。図1と図2の差をとれば、かつて投票に行ったものの、今は棄権している人たちの地域分布を知ることができるで
世論調査でわかる支持率とは、実のところ、人々の漠然とした気分が作り出すさざ波に過ぎないのかもしれません。そのさざ波に特別な意味があるならば、それはやがて来る選挙で既存の議員を落選させて、解雇する力を秘めている点においてでしょう。既存の議員は先の選挙で議席を勝ち得た人たちです。ですから今の支持率を読むときに先の選挙との落差を見ることは、単なる「高い」「低い」という印象をこえた実力評価となるわけです。 次の図を見て下さい。この図の曲線は、原則として過去11年あまりで実施された全ての世論調査をもとにして描いた、現状入手しうる最も精密な内閣支持率のトレンドです。図には「前回衆院選水準」として、第49回衆院選(2021年)の投票日当日のラインを示しました。現在の水準は当時より26.5ポイント低くなっています。(なお「ポイント」とは、%で表された値の差を表す単位です。たとえば2%から5%になった場合は
過疎化する自民 自民党は都市と地方のどちらの方で強いのか。その問いへの答えとしては、ただちに以下の図を示すことができます。これは第26回参院選(2022年)の比例代表における自民党の絶対得票率――つまり自民党に投票した人が有権者全体に占める割合を、4つの階級で表したものです。その割合は赤に近づくほど大きくなっています。 図1. 第26回参院選(2022年)比例代表・自民党絶対得票率 さらに次の図を見てください。これは第26回参院選(2022年)が行われた年における過疎の地域を表示したものです。 図2. 過疎区分(一般社団法人全国過疎地域連盟による令和4年4月1日時点の区分) 過疎は自治体の人口や財政力の要件によって評価され、部分過疎、みなし過疎、全部過疎の順に、後のものほど深刻であるとされています。つまり図2では、赤の地域ほど厳しい状況にあるわけです。 図1と図2がこれほど似たものとなるこ
先に公開した次期衆院選比例代表のシミュレーションでは、わずかな得票数の差が結果を大きく左右する議席帯とそうでない議席帯の存在を明らかにしたうえで、それが比例ブロックに由来する歪みであるといった議論を行ってきました。けれども比較対象とするべき参院選の全国比例の検討をしていません。 そこで今回は参院選に関して同等のシミュレーションを行い、その議席帯の分布を明らかにしていきます。ドント式など基本的な計算は衆院選と共通するものが多いので、必要に応じて下の記事を参照してください。 参院選の比例代表は全国が一つの区とされているため、全国で合計した票のみを考えるだけでよく、地域分布は検討に入れる必要がありません。その意味で政党の個性は埋没します。 それでは衆院選のシミュレーションのように個々の政党をそれぞれ計算する必要はないのでしょうか。実はそうでもなく、各政党の結果は全く同じものとはなり得ません。なぜ
日本の国政選挙では、衆院の37.8%と参院の40.3%の議席が比例代表で決められます。割合としては半分に及ばないものの、中小規模の政党は議席を比例代表に依存する割合が大きく、その見積もりは重要です。 そこで今回は、各政党の地域的な勢力バランスを反映したうえで投票率と得票数が様々に変化した場合を想定し、次期衆院選の比例代表を念頭においた大規模なシミュレーションを行いました。 その結果、獲得が見込まれる各政党の議席数を、投票率と得票数でつくられる平面上の「議席帯」として捉えることが可能となり、わずかな得票数の違いが大きく議席に影響する帯域と、票が増えてもほとんど議席が変わらない帯域が存在することが明らかになりました。 別の言い方をするのなら、これは現行の衆院の比例代表制がいかに「比例」的でない歪みをおびているのかということを端的に描写したものです。 シミュレーションの概要 記事の構成上、まずは
前々回にあたる第25回参院選(2019年)のできごとなのですが、共産党のある候補者の得票数がゼロと集計された自治体がありました。このことは投票した当事者によって、自身の票が計上されていない問題があると指摘され、自治体との訴訟になりました。この裁判は高裁まで進み、今年1月に原告らの訴えが棄却されています。 裁判の反響は大きかったようで、この問題をデータの面から検証してほしいとの要望を、今年になってからしばしば受けました。今回はそれに可能な範囲でこたえつつ、選挙のデータを見るための、得票率とは異なる新しい指標を提示します。また、その指標を用いて第26回参院選(2022年)比例代表の全ての候補者を見ていくことにします。 ゼロ票ということはありえるのか 問題となった自治体は大阪府の堺市美原区で、ゼロ票とされた候補者は共産党から立候補した山下よしき氏です。投票したと言う人がいるのにもかかわらず票が計
参政党は極右政党の一つとして挙げられることが少なくありません。確かに掲げる政策や、演説で述べられる歴史認識などからはそうした面がうかがえます。代表の松田学氏も、かつては次世代の党に所属していた政治家です。しかし他方で、参政党の支持者は独特なメンタリティをもっており、その点を察知しなければ今の社会の一角を見誤ってしまうと思われます。 文字通りの極右というならば、核武装や排外主義を真っ向から掲げる日本第一党や新党くにもりを挙げることができるでしょう。しかしこれらはほとんど有権者からの支持を受けておらず、第26回参院選(2022年)でも当選ラインには全くおよばない結果に終わりました。それらの合計と比べても、参政党の集めた票は桁ひとつほど違うのです。それどころか参政党の得票数は、かつての国政政党である次世代の党や日本のこころ、保守党や保守新党が臨んだすべての選挙を超えています。それがなにゆえなのか
「いま選挙があったら各政党はどれほどの票を得るのか」を推定できるようになったので、結果を簡単にまとめます。ここでいう「票」とは、衆院選や参院選の際に全国で得る比例票をさしています。 まずは最近の世論調査を簡単に振り返ってみましょう。なお、以下のグラフは全て2023年7月30日時点の情報を反映し、更新を行っています。 最近の世論調査 はじめに内閣支持率と不支持率です。 図1. 内閣支持率と不支持率の平均 各社の世論調査は、調査の手法や質問のかけ方によって、高めの数字が出やすかったり低めの数字が出やすかったりする固有の偏りをもっています。そこで、図1ではそうした偏りを打ち消す補正を行ったうえで1日ごとの平均をとりました。〇、△、◇などの一つ一つの点が世論調査を補正した結果で、赤と青の曲線が平均です。 現在、岸田内閣の支持率は平均31.6%まで低下し、倒閣危険水域が迫りつつあります。もっとも、内
国民民主党は、代表の顔は同じでも、2020年の再編の前後で異なる性格を持つ政党です。今回は前半でその不連続性を分析し、後半では一つ一つの選挙を振り返りつつ、独特の原発地盤や民社党時代からの連続性に踏み込みます。それとともに記事の各所で取り上げたのは、次期衆院選に臨む際の立憲民主党の姿勢についてでした。議論の一助としていただければ幸いです。 「旧」と「新」で異なる国民 立憲民主党と国民民主党は、いずれもかつての民進党をルーツにもった政党です。大まかな流れを以下にまとめました。 図1.民進党以降の各政党の変遷 この図1は、各政党の変遷とあわせて、国会議員の流れを矢印として表したものです。無所属議員の出入りや選挙の当落を反映すればさらに詳細になりますが、ここでは概観が目的なので主な動きにポイントを絞りました。 1996年から20年間にわたってあり続けた民主党は、2016年に民進党と名を変えた後、
社民党は、社会党時代からの長い歴史をもつ政党です。今回は前半で、党が分裂するなかで票が増えた現状を分析し、後半では33年分の票の推移を検討するとともに、2倍の支持率の差をはねのけて自民党に圧勝した土井ブームのダイナミズムに迫ります。 党は割れ、票は増えた 2020年の12月に党が分裂し、所属する国会議員の半分が立憲民主党に移籍してしまった社民党にとって、第26回参院選(2022年)は正念場だったといえるでしょう。地方組織や職員を失ったこと、労組の支持が離れたことなどが重なって、社民党の地盤では大幅な票の減少がみられました。 従来の地盤が大きく沈下したことを、下の表1に見ることができます。これは、第25回参院選(2019年)の絶対得票率(%)が高かった50の市区町村について、第26回参院選(2022年)の絶対得票率(%)と増減(ポイント)を集計したものです。増減は北海道 占冠しむかっぷ村を除
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