円の総合的な実力を示す実質実効為替レートが約50年ぶりの低水準に近づいている。国際決済銀行(BIS)が17日に公表した10月の数値は68.71となり、1972年並み(67台)の低さになった。日本の物価上昇率が海外に比べて低く推移したことに加え、輸出競争力を重視して円安につながるような政策を進めたことが要因だ。かつてとは経済構造が変わり、円安は成長力の底上げに寄与していない。一般的な為替レートは
日本銀行の円買い介入が機能する可能性は低いと、ドイツ銀行の為替調査グローバルヘッド、ジョージ・サラベロス氏が指摘した。同氏は円を、新興国通貨で過去10年間のパフォーマンスが最も悪い2つの通貨と同列に置いた。 サラベロス氏は顧客向けリポートで、「利回りや対外収支といった円相場を動かしている要因を一見すると、円はトルコ・リラやアルゼンチン・ペソと同じ部類に属する」と指摘。「円を防衛する日本の介入は良くて無力、最悪の場合には状況を悪化させることになるだろう」と続けた。 国際的な投資家にとって、円は伝統的に安全資産としての地位を確立している。それを過去10年でドルに対して90%余り下落したリラとペソになぞらえるのは目を引く。円は世界で取引量が3番目に多い通貨であり、日本の経済規模は世界で4番目に大きい。 為替介入にスタンバイ、1ドル=151円台で「背景に投機」-財務官 (3) サラベロス氏は、日本
7日の東京外国為替市場は、円安の流れが止まらず、円相場は一時、1ドル=144円台まで値下がりし、6日に比べて2円以上、円安が進みました。 7日の東京外国為替市場は、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会による大幅な利上げが続くという見方が広がり、円を売ってドルを買う動きが強まりました。 このため円相場は一時、1998年8月以来、およそ24年ぶりに、1ドル=144円台まで円安が進み、午後5時時点では、6日と比べて2円36銭円安ドル高の1ドル=143円89銭から91銭となっていて、9月に入ってから円相場は4円以上、値下がりしています。 また、ヨーロッパ中央銀行が今週、利上げを行うのではないかとみられていることから、ユーロに対しても円を売る動きが出ていて、6日と比べて1円61銭円安ユーロ高の、1ユーロ=142円79銭から83銭でした。 ユーロはドルに対して、1ユーロ=0.9923か
「gettyimages」より 2020年は銀行預金者受難の年となりそうだ。まず近いところでは、3月からみずほ銀行が振込手数料を改定すると発表している。ATMで現金またはキャッシュカードを使って自行の同一店および本支店に振り込みを行う際の手数料が値上げになるのだ。値上げ幅は110円。 それを聞くと、ずいぶん無茶な……という気がするが、さにあらず。3大メガバンクのうち、ほかの2行を同一条件で比べてみると、実はこれまでみずほが安かったのだとわかる。ATMで現金を使っての振込手数料は、3月の段階でやっと横並びになるだけなのだ。 しかし、見過ごせない値上げも実はある。ATMでキャッシュカードを使って振り込む場合がそれだ。みずほの同一店へ振り込む場合の手数料は、改定前は無料だったのが、いきなり220円もかかることになる。同じ条件で見れば、三菱UFJ銀行や三井住友銀行は、同一支店は無料、本支店へは11
【5月1日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は4月30日、新型コロナウイルスと中国中部・武漢(Wuhan)の研究所を結び付ける証拠があると主張し、新たな対中関税を課す可能性をほのめかした。 武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)が新型ウイルス発生源だという強い確信を抱かせる何らかの証拠を見たのかと問われると、トランプ氏は「そうだ、見た」と答えた。 しかし、証拠について詳しく説明するよう迫られると、トランプ氏は「話すことはできない」と繰り返した。 新型ウイルスの発生源をめぐる騒動の中で米国が中国への債務返済を中止する可能性について問われると、トランプ氏は「違うやり方をする」と述べ、新たな対中関税を課す可能性をほのめかした。 米国家情報長官室(ODNI)はこれに先立ち同日、新型ウイルスについて、中国が起源だが人工的なも
20日の東京外国為替市場ではドルを買って円を売る動きが強まり、円相場は去年11月以来、10か月ぶりに1ドル=148円台まで値下がりしました。 外国為替市場では、19日のアメリカの債券市場で長期金利が15年10か月ぶりの水準まで上昇したことを受けて日米の金利差の拡大が意識され、ドルを買って円を売る動きが広がりました。 このため東京市場では夕方の取り引きで、円相場が去年11月以来、10か月ぶりに1ドル=148円台まで値下がりしました。 午後5時時点の円相場は、19日と比べて49銭円安ドル高の1ドル=148円13銭~15銭となっています。 ユーロに対しては、19日と比べて46銭円安ユーロ高の1ユーロ=158円34銭~38銭となっています。 ユーロはドルに対して、1ユーロ=1.0689~91ドルでした。 市場関係者は「財務省の神田財務官が円安をけん制する発言したことで午前中は円を買い戻す動きも見ら
というNBER論文が上がっている(ungated版へのリンクがある著者の一人のページ)。原題は「The Dollar in an Era of International Retrenchment」で、著者はRyan Chahrour(コーネル大)、Rosen Valchev(ボストン大)。 以下はその要旨。 Recent trends suggest the world economy may be tending towards an equilibrium with two distinct trading blocs, each internally integrated, but with significant isolation between the blocs. This paper uses a quantitative theory to explore how fa
横浜銀行は1月7日、個人による紙の通帳の発行を有料化すると発表した。2月16日以降に口座を新規開設し、通帳を発行した70歳未満の個人には、1冊当たり1100円(税込)の手数料を課す。ペーパーレス化を進め、Web上で入出金の明細を確認できる「Web口座」の利用を促進する。 紙の通帳の有料化に合わせ、Web口座の利用者に向けた特典も拡充。Web口座のユーザー限定で、2月16日からATMの時間外手数料を0円にする。横浜銀行はこれまで、通帳の種類を問わず、口座を新設して1年以内の客の時間外手数料を無料にしていたが、このサービスは同日に終了する。 横浜銀行は2020年に住宅ローンの契約書類を電子化し、投資信託に関する書類をSMSで送る取り組みを始めるなど、業務のペーパーレス化を進めている。 関連記事 みずほ銀、21年から新規口座の通帳発行に1100円 ネットバンキング推進を本格化 みずほ銀行が、紙の
というNBER論文をダニ・ロドリックらが上げている(ungated版)。原題は「The New Economics of Industrial Policy」で、著者はRéka Juhász(ブリティッシュコロンビア大)、Nathan J. Lane(オックスフォード大)、Dani Rodrik(ハーバード大)。 以下はその要旨。 We discuss the considerable literature that has developed in recent years providing rigorous evidence on how industrial policies work. This literature is a significant improvement over the earlier generation of empirical work, which
経営破綻したアメリカの「シリコンバレーバンク」のイギリス法人について、イギリス政府は13日、大手金融機関の「HSBC」が買収し、顧客の預金は保護されると発表しました。 イギリス政府は発表で「『シリコンバレーバンク』のイギリス法人はHSBCに売却された。顧客は通常どおり預金や銀行サービスを利用することができる」としています。 また、この措置はイギリスの中央銀行、イングランド銀行と財務省が協議して進めたもので、顧客の預金は保護されると説明しています。 一方、HSBCは「シリコンバレーバンク」のイギリス法人の買収額について1ポンドだと明らかにし、親会社のシリコンバレーバンクの資産や負債は買収の対象から除かれるとしています。 イングランド銀行は、先週の10日にイギリス法人について破綻に向けた手続きを裁判所に申請すると発表していましたが、取りやめた形です。 ハント財務相は「顧客に安心してもらう解決策
巨額の預金流出が明らかになったアメリカの地方銀行「ファースト・リパブリック・バンク」は、金融当局が管理下に置くことを準備しているなどと、一部の欧米メディアが報じたことを受けて株価が再び急落し、経営への懸念が一段と高まっています。 アメリカ西部カリフォルニア州に拠点を置く地方銀行、ファースト・リパブリック・バンクは今週に入って、金融不安を背景とした巨額の預金流出があったことを明らかにし、株価が急落しました。 こうした中、一部の欧米のメディアは28日、アメリカの金融当局が銀行を管理下に置くことを準備しているなどと報じました。 これを受けて、28日のニューヨーク株式市場で銀行の株価は再び43%の急落となり、去年末の時点と比べた下落率は97%に上って経営への懸念が一段と高まっています。 ファースト・リパブリック・バンクは先月、銀行破綻が相次いだ際に連鎖的に預金が流出し、金融大手のJPモルガン・チェ
【ワシントン=大内清、塩原永久】バイデン米大統領は19日、就任から20日で1年となるのを前にホワイトハウスで記者会見し、緊迫化するウクライナ情勢について、プーチン露大統領がウクライナ侵攻に踏み切るだろうとの見方を示した。その上で、侵攻すれば「深刻な代償を払って後悔することになる」と警告。「(ロシアの)銀行はドル取引ができなくなる」とも述べ、軍事侵攻に対しては強力な経済制裁を発動する構えを示した。 バイデン氏は、ウクライナ防衛をめぐりプーチン氏が「米国と北大西洋条約機構(NATO)を試そうとしている」と指摘し、「私の推測ではプーチン氏は侵攻すると思う」と語った。一方で、ウクライナ国境付近に集結している10万人規模の露軍の動きは「プーチン氏1人の決定次第だ」とし、侵攻の最終決断は「下されていないだろう。全面戦争は望んでいないはずだ」とも述べ、首脳会談の可能性を含めた外交的協議による危機回避を図
■「注視したい」と言うだけの鈴木財務相 4月12日、鈴木俊一財務相は閣議後記者会見で、前日に円相場が一時1ドル=125円台後半に急落したことについて、「為替の安定が重要で、急激に変動することは望ましくない」「日本経済への影響を注視したい」と語った。 新型コロナ対策でもそうだが、「注視したい」というのは、本当に便利な言葉だ。そう言うと、なにかしているような印象を与えるからだ。しかし、政治家がこう言ったときは、実際にはなにもしないことのほうが多い。 もはや、「円安」を歓迎する時代ははるか昔となり、「悪い円安」に時代は変わっている。物価が上がり、給料は上がらないというスタグフレーションを、円安がますます加速させている。 通貨と金利をコントロールし、物価を安定させるのは、中央銀行の役目である。しかし、日銀は世界中の中銀が金融緩和を手仕舞いするなか、いまだに緩和を止めようとしない。止めようとしないば
欧州全域が新型コロナウィルス対応に苦慮する中、その隙を突くような中国の鋭い外交が展開されている。中長期的に欧州が抱える地政学リスクを考察するうえで、大変に重要な意味を持つ動きと見られるので簡単に整理しておきたい。 過去、中国はギリシャの財政的困窮につけ込んで同国の港を買収し、近年はこれを足がかりにしてEU(欧州連合)域内に複数の戦略投資を行ってきた。中国は「一帯一路」構想の下、欧州各国の要衝で多くの投資を展開しており、一部ではEUの内側からの崩壊を狙う「トロイの木馬」作戦とまで呼ばれている。相手の弱みを見つけるや否や、機敏に攻め込む外交姿勢は中国の本領である。こうした文脈で、中国からイタリアへの人道支援は注目される。 「連帯」を示したのはEUでなく中国 感染者の爆発的拡大に対応が追いつかず、いわゆる医療崩壊の状態に陥っているイタリアでは、マスクを筆頭とする医療物資支援をEUに求めてきた。し
56兆円の資金を運用する国内最大規模の機関投資家である農林中央金庫。日本での金利が低く抑えられた時代に、海外資産に投資し、利回りに対する飽くなき欲求を持っているように見えた。 しかし、米国での金利高止まりが長期にわたる現在、米国債などの運用失敗により金融業界で最も大きな打撃を受けた1社となった。 農林中金は18日、購入時より時価が下がり、含み損を抱えた米国債など10兆円規模の外債を売却する方針を明らかにした。外貨調達コストが急上昇したことで、保有していても採算が合わなくなった。3月末時点で保有する債券全体の評価損益は2兆円超の含み損に膨らんでいた。 今期(2025年3月期)の連結純損益は1兆5000億円の赤字に膨らむ可能性があるという。5月22日の時点では5000億円超の赤字幅を見込んでいた。 農林中金には十分な自己資本があり、財務の健全性に懸念はないとの見解を同社や日本政府は示している。
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