10月22日午前。中国共産党大会の最後の議題である党規約改正案の採決を前に、記者が会場に招き入れられた直後だった。前国家主席の胡錦濤(フー・ジンタオ)氏が退席を迫られた。守衛など2人が胡氏の眼鏡を預かり、腕をとった。胡氏は2度ほど自席に戻ろうとしたように見えたが、かなわなかった。新華社が英文で報じたように、胡氏がかねて体調不良を訴えていたとの見方は強い。だが隣に座る習近平(シー・ジンピン)総
中国の不動産大手・恒大集団の創業者である許家印が9月27日、警察に連行された。これに前後して、幹部のほとんどが身柄を拘束されたという。 金融システムに与える影響の大きさを懸念し「大きすぎて倒せない」と言われてきたが、創業者連行などの背景には海外への資金移動疑惑や、政敵の排除に利用されたとの説がある。 だが、不動産バブルの崩壊をはじめ中国経済は失策続きで、習近平が自らの失敗のスケープゴートにしようとしているという見方が妥当だろう。 (福島 香織:ジャーナリスト) 【関連記事】 ◎「次は李強首相」との噂がにわかに拡散、中国・習近平の大粛清時代に突入か(9月30日付、JBpress) 中国の民営不動産デベロッパー大手である恒大集団の創業者・許家印が9月27日、警察に連行された。その後の米ウォールストリート・ジャーナルの報道によれば、資産を海外に移動した容疑がかけられているようだ。 許家印はパスポ
(福島 香織:ジャーナリスト) 9月下旬、中国の東北3省の多くの都市で相次いで大規模な停電が発生した。23日、瀋陽の公道では信号が消えたため渋滞が起こり、マンション、ビルではエレベータが止まり、断水し、食事が作れなかったりトイレが流せない状況が起きた。停電時間は短くて5時間、長い場合は十数時間に及び、断水は2日に及ぶところもあった。携帯電話が充電できず電子決済ができなかったり、親戚と連絡が取れない状況も起きた。パソコンが使えないから仕事もできない。学校は休校。一部商店ではロウソクで営業するありさまとなった。 予告なしの突然の電力供給停止であったため、一部工場や家屋では、石炭火力を使った装置や暖房の排気のための換気システムが止まり、一酸化炭素中毒などの事故も発生した。たとえば9月24日、遼寧澎輝鋳業有限公司では、停電で排気システムが止まり、鋳造用の高炉から発生するガスによる一酸化炭素中毒で工
中国の習近平国家主席(右、2022年10月23日撮影)と米実業家ビル・ゲイツ氏(同9月21日撮影、いずれも資料写真)。(c)Ludovic MARIN and Noel CELIS / AFP 【6月16日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は16日、同国を訪問した米マイクロソフトの創業者の一人ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏と北京で会談した。習氏はゲイツ氏を「旧友」と呼び、常に米国民に期待を寄せていると述べた。 習氏が外国人実業家と会談するのはまれ。共産党機関紙の人民日報(People's Daily)によると、習氏は4年ぶりに訪中したゲイツ氏に対し、「今年北京で米国人の友人に会うのはあなたが初めてだ」と語ったという。 習氏はさらに「われわれは常に米国民に期待を寄せており、両国民の間に末永く友情が続くことを願っている」と話した。 中国中央テレビ(CCTV)が放送し
なんだそうな。 「なんかデータを元にゼロコロナが良いとか言ってるのかな?」と思っていたのですが、データがないんでよね(自分の調べ不足有り) そゆデータとか載ってる記事ありましたか?(良かったら教えてください) 『集団免疫』や『寝そべり』といった戦略を採用すれば、想像を絶する結果に見舞われる」とも語った。中国では学業や労働のプレッシャーに耐えられず、過酷な競争から離脱し、手の届く楽な生活で満足する「寝そべり族」と呼ばれる若者が出現。当局はこれを問題視するようになっている。 ブルームバーグ あと記事の「ゼロコロナ政策」以外にも、「寝そべり族?」って強ワードがあったんですけど、知ってた方いますか?w 今回は触れませんが、中国も色々大変そうだなぁと思ったアタスでした。(ごろごろ)
中国の習近平国家主席は、新型コロナウイルスに感染して療養中の岸田総理大臣に電報で哀悼の意を表し、一日も早い回復を願うとともに、「新しい時代」の要求に応える日中関係を構築したいとの意向を表明しました。 米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。 コロナに感染した岸田首相に習近平国家主席がお見舞いの電報 岸田首相は20日夜に微熱と咳を発症し、21日午前に検査を受け、同日午後に新型コロナウイルス感染が確認されました。 今年2022年は日中国交正常化50周年ですが、近年両国関係は低空飛行を続けており、双方が突破口を開く機会をうかがっています。 新華社通信は、習近平国家主席は22日に岸田文雄首相に電報を打ち、新型コロナウィルスに感染したことへのお見舞いを述べたと報じました。 習近平国家主席は、岸田
■台湾は香港の人々に必要な援助を提供する 「台湾は香港の人々に必要な援助を提供する」 【この記事の画像を見る】 台湾の蔡英文総統が自身のフェイスブックにこう書きこんだのは5月24日。中国が全人代で採択した「国家安全法」を香港にも適用するのではないかという懸念に対し、香港で大規模なデモが起きたさなかの事だった。 国際金融センターとしてヒト・モノ・カネが集まる拠点でもある香港が政治的に自由を失うことになれば、経済活動そのものも制限される。ヒトとカネの流出はすでに始まっている、との報道もある。すでに2020年1月から4月の間に香港から台湾に移住した人は2383人と、前年同期比150%増加したという公式統計もある。蔡英文の表明は、台湾がそうした香港からの流出の受け皿として手を挙げたことにもなる。 ■なぜ台湾をリスクを犯して支援するのか 一般に台湾の野党である国民党は中国寄り、大陸寄りとされるが、香
中国の買収に対する警戒心 現在のドイツの政権は、社民党、緑の党、自民党の3党連立で、社民党と緑の党は左派で、自民党は保守リベラル。だから、「社民党+緑の党vs.自民党」の対立は想像に難くないが、不仲は実はそこだけではない。社民党と緑の党もしっくりは行っていないし、緑の党に至っては党内部でも内輪揉めが多い。要するに、極めて不安定。 直近の政府の揉め事はというと、中国企業COSCOによるハンブルク港への出資問題。ハンブルク港は、オランダのロッテルダム、ベルギーのアントワープに次ぐEU第3の規模を誇る港で、見渡す限り積み上がっているコンテナの山は、壮大な眺めだ。そして、そのコンテナのターミナルを運営する会社が4社ある。 EUでは、EUの加盟国以外の国が、重要なインフラへの出資、あるいは買収を試みた場合、政府は審査の上、安全保障上などで問題があると見れば、それを阻止することができる。 港湾施設は重
何もかも「小手先の政策」… 中国政府は7月25日、「約3000億元(約6兆4000億円)を投じて乗用車や家電の買い替えを促す補助金を拡充する」と発表した。これから発行する予定の超長期特別国債(1兆元規模)から資金を捻出する考えだ。 具体的には、電気自動車(EV)など新エネルギー車の買い替え補助金を1万元から2万元に引き上げる。自動車産業は関連分野を含めると国内総生産(GDP)の1割近くを占めるとされているが、国内販売台数が2ヵ月連続で前年割れしており、補助金の大幅拡充でテコ入れを図る狙いがある。 不動産不況によって販売が低迷している家電(テレビ、エアコン、パソコンなど8種類)についても、原則として販売価格の15%を補助する。 中央政府がようやく重い腰を上げた形だが、「産業全体が抱える在庫は5月時点で16兆7000億元(約357兆円)に上る」との試算があり、急速な勢いで悪化する中国経済を救う
かつての大日本帝国のように、自滅への道を歩み始めたように見える習近平・国家主席と中国共産党(写真:新華社/アフロ) 日本の敗戦をピタリと予測した石原莞爾 「大ばくち もとも子もなく すってんてん」 国力をはるかに超えた無謀な戦争を米英蘭支に仕掛け、明治以来、獲得したすべての海外領土・占領地を失ったばかりか、数百万の国民を死なせ、灰燼(かいじん)に帰した皇土が敵国の欲するままに支配され、自立や独立さえ失う運命となった敗戦国日本。その喜劇的でさえある愚かさを詠んだ、満洲映画協会理事長の甘粕正彦の辞世の句である。 この句が満洲国の首都新京で詠まれた昭和20年(1945年)8月20日を遡ること数年前、大東亜戦争が華々しく幕を開ける以前から、こうした結末を繰り返し、ピタリと言い当てていた陸軍の戦略家がいた。日本の敗戦とともに消滅した満洲国の建国の青写真を描いた石原莞爾その人である。彼は次のように予言
(福島 香織:ジャーナリスト) 中国のメディア弾圧にはそれなりの長い歴史があるのだが、10月8日に国家発展改革委員会が打ち出した「市場参入ネガティブリスト」(2021年)で、メディア産業から民間資本を締め出す政策が打ち出されたときは、いよいよ来るべき時が来た、という気がした。 発展改革委のホームページのリストを見ると、10月14日までパブリックオピニオンを求めるということになっており、まだ本決まりの通達ではないが、おそらくその中身が大きく変更されることはないだろう。 メディア運営に関われなくなった民間企業 公表されたリストは、ネガティブリストが6項目、ポジティブリスト(民間企業が入ってよい産業)が111項目の、計117項目。昨年(2020年)までネガティブリストは第5項目までしかなかったが、今年、第6項目に「ニュースメディア関連業務」が加えられた。 その第6項目の中身はおよそ6つに分けて説
総スカンにあう習近平 中国株は23日、約半年ぶりの大幅下落となった。 前編『もう誰も習近平を止められない…!中国に誕生した「絶望のチーフエコノミスト」の正体』でお伝えしたとおり、第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)の開催中(15~18日)はいわゆる「国家隊」と呼ばれる公的ファンドによる買い支えで株価が上昇したが、23日の下落はこうした値上がり分をすべて帳消しにしてしまった。 3中全会の決定内容に対する海外の評価も散々だ。 「内容の乏しい方針は職務怠慢に等しい。中国にはこのような消極的な姿勢でいる余裕はない」(7月24日付フォーブス)、「中国当局はお茶を濁すことを好んでいるかのようだが、投資家の忍耐は限界に近づいている」(7月22日付ロイター)などだ。 気になるのは「習近平国家主席が今や中国のチーフエコノミストになった」(7月24日付ブルームバーグ)との分析が出ていることだ。 中国政
習近平政権の強力なゼロコロナ政策は、中国の社会経済に多大な損害を与えるとみられる/CARLOS GARCIA RAWLINS/REUTERS (CNN) 中国が「ゼロコロナ」政策を緩和すると期待していた人々は、孫春蘭副首相に対し深く失望したことだろう。同氏ははっきりとしたメッセージによって、終わりが全く見通せない状況だと告げた。感染拡大の中心地となった上海を先ごろ訪れた時のことだ。 孫氏は中国が「力強いゼロコロナ」戦略を捨てることはないと宣言。その姿勢には「躊躇(ちゅうちょ)も動揺もない」とした。 当然ながら、上海では現在、厳格な措置へと舵(かじ)を切り、ウイルスを抑え込もうとしている。本来は的を絞った、効率的な手法によるパンデミック(世界的大流行)対策で知られる都市だった。 度重なる市を挙げての大規模検査や2500万人の住民に対するロックダウン(都市封鎖)に加え、濃厚接触者らを別の都市に
9月16日、ウズベキスタンのサマルカンドで開かれた上海協力機構の首脳会談に臨む習近平主席とプーチン大統領(写真:代表撮影/AP/アフロ) 異例の「総書記3選」に突き進む習近平主席(69歳)にとって、2年8カ月ぶりの外遊は、何より1カ月後(10月16日)に迫った第20回共産党大会に向けて、「箔をつける旅」だった。41回目となったロシアのウラジーミル・プーチン大統領との「友情」を確かめる場ではなく、だ。 「一帯一路は沿線の国の国民に福をもたらす平和の道」 今回の外遊を総括した中国共産党中央委員会機関紙『人民日報』(9月17日付)の記事のタイトルも、「ヌルスルタンからサマルカンドへ、総書記とともに見る『一帯一路』成功の実践」。長文の記事の書き出しは、こんな調子だった。 <2013年も金秋の9月だった。習近平主席は、カザフスタンのナザルバエフ大学で行った演説で、重要な発表をした。演説の中で、習近平
「ニューオリエンタル・エデュケーション(新東方教育科技)」創業者のMichael Minhong Yu(Photo by VCG/VCG via Getty Images) 中国政府の個別学習指導産業に対する取り締まりは、この業界で最も著名な3人の起業家を直撃し、わずか数カ月の間に彼らの資産270億ドル(約3兆円)相当が吹き飛んだ。 最も大きな損失を被ったのは、以前はGSXテックエデュ(跟誰学)の社名で知られたオンライン教育企業「Gaotu(高途)」のCEOのラリー・チェン(陳向東)で、彼の保有資産は1月下旬の約160億ドルから16億ドルにまで減少している。 さらに、「TALエデュケーション」のZhang Bangxinの保有資産も、100億ドルから55億ドルに減少した。「ニューオリエンタル・エデュケーション(新東方教育科技)」創業者のMichael Minhong Yuも、同社の株価が半
香港(CNN) 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は4日、ユーラシア大陸の国々が参加した上海協力機構(SCO)のオンライン首脳会議で演説し、地域内の指導者らに対して互いの連携を強化するよう呼び掛けた。その上で、地域に及ぶ外部勢力の影響に対抗することを求めた。 「外部勢力の影響」という語は、中国政府が米国の外交政策の意図を非難する際によく用いる。 習氏は「我々は外部勢力を高度に警戒する必要がある。彼らは地域内で『新たな冷戦』をたき付け、陣営間の対立を作り出す。いかなる国であれ国内事情への干渉や『カラー革命』の扇動を行う場合は断固としてこれに異を唱えなくてはならない」と主張した。「カラー革命」は、当該の国の政権転覆へとつながる政治的な運動を指す。 さらにSCOの加盟国については、地域の広範かつ長期的な利益に基づいて独自に外交政策を策定するべきだと指摘。各国の発展や進歩の道筋はそれぞれの国の手
ロシアによるウクライナ侵攻のどさくさに紛れて、中国が台湾侵攻に動く可能性がいま高まっていることは、前編記事『習近平が大暴走…ロシア「ウクライナ侵攻」のスキに狙う「台湾侵略」の危ない可能性』でお伝えしたとおりだ。 【写真】日本人は知らない…中国の「990万人コロナ検査」で見えたヤバい事実 そのXデーとなるのが、北京オリンピック閉幕後だと専門家は指摘する。実際に'14年のソチ五輪後に、ロシアはクリミア半島の併合に踏み切った過去を習近平は周辺に研究させているというのだ。 '14年2月、ソチ五輪終了後にウクライナ領だったクリミア自治共和国で親ロシア政権が成立。ロシア系住民の保護を目的にプーチン大統領はロシア軍を投入し、一気にクリミアを併合した。 このロシアによる一連のクリミア併合を仔細に研究しているのが、中国の習近平国家主席である。 『台湾有事』などの著書があるジャーナリストの清水克彦氏が言う。
南シナ海で起きていること 7月下旬、日本のメディアは久しぶりに尖閣諸島の話題で盛り上がった。原因は、中国海警局の船が尖閣諸島付近の接続水域を連続して100日以上航行したことだ。 連続航行は4月14日から8月1日まで続き110日を超えたが、その同じ期間には、中国海軍のミサイル艇も巡視船に連動して台湾付近に展開していたことを産経新聞が報じた。 この少し前には、やはり中国海警局の船が尖閣諸島付近の海域で日本の漁船を追いかけ回したという報道もあった。直後には中国が「周辺海域での日本漁船の操業は『領海侵入』だ」として「立ち入らせないよう」、外交ルートを通じて要求していたという。日本人にしてみれば、日本の領海や接続水域に侵入しておいて何を言っているのかと言いたくなるような、呆れた言い分だ。 一連の報道を見れば、中国がコロナ禍のなか、尖閣諸島へのプレッシャーを強めてきたとの印象は否めない。これは当節流行
習近平は総書記になった瞬間から軍民融合戦略を打ち出して軍の利益集団を倒し、今では米軍よりも軍事力で優位に立っている。だが全てを権力闘争に結び付けた日本のメディアが中国の真相を見えなくした。もう遅い。 習近平の「軍民融合発展戦略」とは 2012年11月15日、第18回党大会一中全会で中共中央軍事委員会主席に選ばれた習近平は、その年の12月23日、軍事委員会常務委員会で「軍民融合は我が軍を建設する基本だ」と言い、12月26日の軍事委員会拡大委員会で過去10年間の(江沢民時代)の軍隊建設を振り返って、「われわれは何としても軍民融合の道を歩まねばならない」と強調した。 2013年3月11日および2014年3月11日、全人代の解放軍代表団全体会議で「軍民融合を国家戦略のレベルに引き上げなければならない」としながらも、「体制的障害と利益集団の存在が障害として立ちはだかっており、未だに融合できない状況が
中国共産党中央党校は17日、蔡霞・元教授が習近平国家主席を「マフィアのボス」、共産党を「政治的ゾンビ」と述べたことを受け、蔡氏に処分を科したと発表した。上海で3月撮影(2020年 ロイター/ALY SONG) 中国共産党中央党校は17日、蔡霞・元教授が習近平国家主席を「マフィアのボス」、共産党を「政治的ゾンビ」と述べたことを受け、蔡氏に処分を科したと発表した。 蔡氏は中国共産党中央党校で民主政治の教授を務めていた。ここ数カ月で共産党やトップを批判した後、処分を受けた3人目の著名人となった。 高級幹部を養成する中央党校は、蔡氏の発言は「重大な政治的問題があり、中国の名誉を傷つけた」として、蔡氏の党員資格と退職給付を取り消したと発表した。ウェブサイトの発表では発言を特定しなかった。 中国政治の専門家2人は、蔡氏が習主席を解任することが党再生の第一歩だと発言した録音が6月にオンラインに漏れたこと
独裁体制の傾向を強め、他国に対する強硬な外交体制「チャイナ4.0」を推し進める“皇帝”習近平。同氏は中国建国に貢献し、国務院副総理(副首相)習中勲を父に持っていたため、毛沢東による文化大革命の際には、“党の子ども”として苛烈な経験をした。それにもかかわらず、現在の習近平は毛沢東を尊敬するよう中国国民に求めている。果たして習近平の本心とは。 ここでは国際政治学者のエドワード・ルトワック氏による『ラストエンペラー習近平』(文春新書)の一部を抜粋。習近平が先導する中国の政治システムの実態について紹介する。(全2回の1回目/後編を読む) 過酷な文革体験 中国が「チャイナ4.0」という最悪の戦略に回帰してしまった大きな要因のひとつは、「皇帝」である習近平のパーソナリティに求められるだろう。 そこで習近平の経歴を少し詳しくみていきたい。 彼の前半生は苛烈なものだった。それはまず、「革命の英雄」を父に持
6月15日に何が起きたか6月の中国には、「二つの重要な日」がある。1日の「児童節」(こどもの日)と、15日の習近平主席の誕生日である。習主席は昨日、67歳になった。 最高指導者の誕生日には、何か吉事が起こりそうなものだが、少なくともこれまでこの日は、あまり恵まれてはいなかった。 国家主席に就任した2013年、還暦を迎えた習主席を、唯一の趣味であるサッカーで祝おうと、「格下」のタイ代表チームを招いて、中国代表と親善試合を組んだ。ところが結果は、1-5と大敗。中国サッカー史に残る汚点となってしまった。 2015年の6月15日は、株式バブルの真っ只中にいた。前日まで、上海総合指数は5178ポイントと、8年ぶりの高値に沸いていた。ところが習主席の62歳の誕生日に、上海総合指数は5048ポイントまで急降下。以後3週間で32%も暴落し、邦貨で540兆円も消えてしまった。 翌2016年は、習主席の誕生日
ウクライナのゼレンスキー大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が26日、電話で協議した。ゼレンスキー氏は「長時間の有意義な電話をした」とツイートした。中国外務省によると、ウクライナ側からの要望で実現したという。昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、両首脳による協議は初めて。ウクライナ東部を中心に戦闘が続いているが、事態の打開に結びつくかが注目される。 【画像】侵攻・経済…一目でわかる中国とロシアの関係 ゼレンスキー氏は、「この電話(協議)が両国関係の発展に力強い推進力をもたらすと信じている」とつづった。 中国は3月、中東の地域大国サウジアラビアとイランの外交関係の正常化を実現させるなど、仲介外交を活発化させている。 中国外務省によると、協議で習氏は、ウクライナ侵攻について「責任ある大国として、われわれは対岸の火事だと傍観することも、火に油を注ぐこともない」と強調。「核戦争に勝者はい
【北京=新貝憲弘】中国の李克強(りこくきょう)首相が広東省深圳を視察した際の言動が、習近平(しゅうきんぺい)国家主席を暗に批判したものではないかと臆測を呼んでいる。習氏は今秋以降の続投が確実視されるものの、共産党内では習氏の強硬路線に対する反発は小さくないようだ。 李氏は16日に広東省・深圳の塩田港を視察し「中国の開放はまだ引き続き進めなければならない。黄河と長江は逆流しない」と強調し、故鄧小平(とうしょうへい)氏が唱えた改革開放路線の堅持を訴えた。一部の海外メディアは発言の動画を公開し、国内メディアは李氏が鄧氏の像に献花したことを伝えた。 習氏は、集団指導体制を取り入れた鄧氏より、個人独裁を進めた毛沢東(もうたくとう)の政治手法に近いと見られている。米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア」は専門家の話として、李氏は鄧氏を持ち上げることで習氏に異論を唱えていると説明。しかし、来春の首相引退
中国当局も注目する「ポズサー・レポート」衝撃中身中国が欧米社会と足並みをそろえて対ロシア制裁に踏み切るのか、あるいはロシアサイドに回って全面的に支援に回るのか――。 これは中国共産党内でも激しい意見の対立があるようで、その選択によっては下半期に予定されている第20回党大会で確実視されていた習近平連任の可能性にも影がさすかもしれない。 だが、中国が、いずれの立場をとるにしても、この対ロ制裁によってドルのグローバル金融における相対的地位の転落する――そんな予測をして話題になっている「ポズサー・レポート」に、いま中国当局者も注目しているという。 「有事のドル買い」の流れで、今ドルが避難通貨として買われて高騰している状況で、そうした主張は、果たして、どれほどの説得力があるのだろうか。
いち早く「新型コロナ禍抜け」をして主要経済体の中でもっともはやい経済回復を遂げるはずだった中国経済の雲行きに不安が漂っている。 【写真】日本人は知らない…いま中国で本当に起きている「ヤバすぎる現実」 その大きな理由のひとつは「電力不足」である。 9月下旬に東北三省で起きた「ブラックアウト」によって、その深刻さが世界に再認識された。ブラックアウトの直接の原因は、天候による風力発電不足だが、背景には習近平政権の双カーボン政策(カーボンピークアウト・カーボンニュートラル目標政策)などをともなうエネルギー構造改革の不合理、戦狼外交による国際関係悪化など複雑な背景がある。 この電力不足問題は一過性のものなのか、それとも長期的に中国を苦しめる要素になるのだろうか。 東北三省の大停電が起きる前から、中国の地方省で電力制限措置を取っていた。 高電力消費産業・電解アルミ工場が多い雲南省や製造業集中地の広東で
安倍元首相の突然の死安倍晋三元首相が「非業の死」を遂げた。これを喜んでいるのは、中国と思いがちだが、実は、そうでもない。むしろ、彼らは面食らっているようだ。「弔い合戦」効果もあって、与党が直後の参院選で大勝利を収めたからだ。彼らの対日警戒感は高まっている。 まず、安倍元首相のご冥福を心から、お祈りしたい。 ご存じの読者も多いと思うが、私は2006年に第1次安倍政権が誕生したころから、安倍氏と親しくさせていただいてきた。その経緯は「官僚との死闘七〇〇日」(講談社、2008年)に詳しく書いたので、ここでは省く。 この本は、いまや永田町、霞が関で知らぬ人はいない高橋洋一さん(当時、首相官邸詰めの内閣参事官)を主人公にして、第1次安倍政権の内側で繰り広げられた官僚と政治家たちの闘いを描いたドキュメントである。その中心にいたのが、安倍氏だ。 安倍氏との思い出は、末尾に紹介する7月13日公開のYouT
中国共産党の習近平国家主席をはじめ最高指導部は、感染症が経済に与える影響を前にして、ゼロコロナ政策の堅持を主張しています。 同時に、中国当国は急激な景気悪化に歯止めをかけるため、テクノロジー企業への規制措置の停止を計画していることも明らかになりました。これらはゼロコロナによる都市封鎖と労働・経済活動の再開に関して、習近平が直面している矛盾した状況を浮き彫りにしています。 ゼロコロナで経済はボロボロ 米国議会の出資によって設立された国際メディアの自由亜州電台の記事より。 現在の中国は新型コロナ感染拡大に見舞われ、経済への深刻な課題に直面しています。 中国共産党中央委員会政治局は4月29日に経済会議を開催し、感染拡大を防ぐための「ゼロコロナ」政策を堅持し、年間5.5%の経済成長目標を達成する必要性を強調しました。 経済会議で習近平国家主席は、今年の経済成長率が米国を上回るように要求したと、ウォ
トランプ大統領は就任直後、イーロン・マスクDOGE(政府効率化省)長官に命じてUSAID(アメリカ合衆国国際開発庁)の徹底調査をさせている。事実上のUSAID解体だ。 USAIDはNED(全米民主主義基金)を財政的に支えている組織で、USAIDが解体されればNEDの活動は瓦解する。中国から見れば香港デモや台湾独立を煽り、中国大陸にまで手を伸ばして白紙運動を展開させていたNEDをトランプとイーロン・マスクが解体してくれるのなら、こんな嬉しいことはないだろう。 これにより、中国政府転覆のための活動が困難になるからだ。 関税など、どうでもいいほど習近平にとってはありがたい事態にちがいない。 ◆USAIDとNEDとの関係 USAIDはその全称であるUnited States Agency for International Developmentの頭文字を取ったもので、日本語的には「ユーエス・エイ
国慶節の前日に開かれた夕食会で乾杯をする中国の習近平総書記=北京の人民大会堂で2022年9月30日、AP 5年に1度の中国共産党大会が16日、北京で開幕する。習近平総書記(国家主席)が異例の3期目入りをするのは、ほぼ確実な情勢だ。習氏への権力集中は、どのような形でさらに強化されるのか。 「2期10年」の任期上限撤廃 習指導部の2期10年では習氏への権威付けが進んできた。今回の党大会で異例の3期目に入れば、10年ごとに最高指導者が交代していた制度上の制約が外れ、習氏個人の権力は増大する。その理由や必然性は何か。中国メディア関係者は「何らかの形で、指導者自身が説明する必要があるだろう」と語る。 建国の父・毛沢東の時代は、毛個人への過度な権力集中が進み、「文化大革命」などで中国社会は混乱に陥った。共産党はその教訓から、鄧小平が主導して、最高指導者の任期を区切って安定的に後継者へとつなぐ仕組みを整
中国・北京で、新疆ウイグル自治区ウルムチでの火災犠牲者を追悼してデモ行進する人々(2022年11月28日撮影)。(c)Noel CELIS / AFP 【11月28日 AFP】中国各地で27日、新型コロナウイルス感染拡大を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策に対する抗議行動が一斉に行われ、主要都市で数百人規模の街頭デモが相次いだ。英BBCは、デモを取材していた記者1人が警察に逮捕され、殴打されたと発表した。 中国では、突然のロックダウン(都市封鎖)や長期間の隔離、繰り返される大規模検査といった厳格なコロナ対策に国民の不満が募っている。新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の区都ウルムチ(Urumqi)で24日に火災が起きたが、ロックダウンのため救助活動が遅れて死者が出たと受け止められたことで、政府に対する怒りが噴出した。 北京では27日夜、
米中の対立が深まる中、アメリカのトランプ大統領は中国の習近平国家主席について、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に「よい関係にあったが、もはや同じようには感じていない」と述べ、首脳間の関係が悪化していることを強調しました。 トランプ大統領は11日、FOX・スポーツ・ラジオに出演し、中国の習近平国家主席について、「私たちはとてもよい関係にあった。だが、もはや同じようには感じていない。長い間、話もしていない」と述べ、関係悪化を強調しました。 その理由について、トランプ大統領は、中国が新型コロナウイルスをもたらしたと主張したうえで、「多くの人を死に追いやり、世界が閉鎖しなければならなかった新型コロナウイルスは貿易をめぐる協議の1000倍の規模だ。ひどいことだ」と述べ、新型コロナウイルスが貿易をめぐる対立をはるかに超える被害をもたらしたと非難しました。 米中をめぐっては、トランプ大統領が中国企業が
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く