猫に傅くために原稿を書いて日銭を稼いでいる毎日。元は組み込み系のエンジニアだったのに、もうずいぶん遠い所まで来てしまった。 コンピュータの歴史を暗部も含めてていねいに掘り起こすことで定評のある大原雄介さんによる連載8回目。今回は1990年代に並列処理CGをやっていた人たちなら郷愁に浸れるかもしれないTransputer(トランスピュータ)とその開発言語であるOCCAMがテーマです。 Transputerというプロセッサは、割と古い(失礼)読者には刺さりやすいらしい。担当編集の松尾氏も名前を聞いただけで喜んでいたから、50代後半以降の方なら名前を聞いたことはあるかと思う。 実はもうバックナンバーが手元に無いので正確な号数などは確認できないのだが、CQ出版のインターフェース誌(昨今の白地のものではなく、黒地にオレンジ色の配色だったころの話だ)で、随分このTransputerを持ち上げていた時期
RISC-V International CTOに聞く「課題や地政学的影響」:本拠地はスイスに移転(1/3 ページ) RISC-Vコミュニティーメンバー組織であるRISC-V Internationalは2020年8月3日、旧組織であるRISC-V Foundationからの移行に伴い、スイスに拠点を置く新しい法人組織の取締役メンバーを16人任命したと発表した。RISC-V Internationalは2020年6月にも、Mark Himelstein氏のCTO(最高技術責任者)就任を発表している。米国EE Timesは同年7月に、同氏にオンラインインタビューを行い、同氏の担っている役割や、RISC-Vの幅広い普及実現に向けた課題、地政学的な影響などについて話を聞いた。 RISC-Vは新組織に移行 RISC-Vコミュニティーメンバー組織であるRISC-V Internationalは202
Mac mini (M1, 2020)はピーク性能時でも消費電力がMac mini (2018)の待機時電力を超えず、Geekbench 5のワークロードを3分の2時間で処理できるようになっています。詳細は以下から。 Appleが2020年11月に発表したARMベースのApple Silicon初のとなる「Apple M1」チップはTDPなどの詳細なスペックは公開されていないものの、スペシャルイベントでは元Intel Israel Design Centerのシニアマネージャーで、現在はAppleのSVPを務めるJohny Sroujiさんにより、 Apple M1チップは電力効率に優れ、最新のノートPCのCPUパフォーマンスを4分の1の電力で発揮できる。 MacBook Airシリーズの熱設計枠である10Wでは、最新のノートPC用CPUの約2倍のパフォーマンスを発揮できる。 という説明が
セキュリティ会社のTrail of Bitsが、Apple・Qualcomm・AMDのGPU上のプロセスによって作成されたGPUメモリからデータを復元することを可能にする脆弱(ぜいじゃく)性「LeftoverLocals(CVE-2023-4969)」についての調査結果を公表しました。 LeftoverLocals https://leftoverlocals.com/ New Flaw in Apple, AMD, and Qualcomm GPUs Could Expose AI Data - Cyber Kendra https://www.cyberkendra.com/2024/01/LeftoverLocals-flaws-leak-ai-data-via-gpu.html A Flaw in Millions of Apple, AMD, and Qualcomm GPUs
AMDは10月8日(米国太平洋夏時間)、デスクトップ向けの「Ryzen 5000 Series Processors」(以下「第4世代Ryzenプロセッサ」)を発表した。米国での販売価格は299ドル(約3万2000円)からで、11月5日に発売される。 第4世代Ryzenプロセッサの概要 第4世代Ryzenプロセッサは、新しい「Zen 3(ゼンスリー)アーキテクチャ」を採用したCPU。前世代の第3世代Ryzenプロセッサと同じ7nmプロセスを採用しているが、CPUコアとCPUキャッシュを一体化した「CCX(Core Complex)」の設計を見直し、最大8コアで32MBのL3キャッシュを共有するようにした。 このことにより、IPC(クロック当たりの処理命令数)を最大で19%改善した。L3キャッシュへのアクセス速度も、最大で2倍改善しているという。 競合となるIntelの「Coreプロセッサ」
Googleのクラウドコンピューティングサービス「Google Cloud」において、機械学習特化型プロセッサ「TPU v5e」を用いた処理が可能になりました。GoogleはTPU v5eについて前世代の「TPU v4」と比較してコストパフォーマンスが2.3倍に向上しているとアピールしています。 Cloud TPU v5e is generally available | Google Cloud Blog https://cloud.google.com/blog/products/compute/announcing-cloud-tpu-v5e-in-ga/?hl=en TPU v5eはGoogleが独自に開発している機械学習特化プロセッサ「Tensor Processing Unit(TPU)」の第5世代モデルで、発表時には前世代モデルのTPU v4と比較して1ドル当たりのパフォーマ
ライセンスフリーで利用できることから、x86やArmに取って代わる存在として注目を集めているRISC-Vアーキテクチャを採用したCPUコアが、すでに市場に100億個出回っているとのことです。 このスピードはArmよりも速く、2025年には800億個に達すると予測されています。 12年で100億個を達成したRISC-V RISC-V Internatioanlの最高経営責任者(CEO)であるカリスタ・レドモンド氏はEmbedded Worldにおいて、RISC-Vアーキテクチャを採用したCPUコアがすでに市場に100億個出回っていると発表しました。 現在スマートフォンのメインCPU市場をほぼ独占しているArmアーキテクチャが100億個の達成に17年かかったのに対し、RISC-Vは12年でこの個数を達成しています。 レドモンド氏は2025年までにRISC-Vアーキテクチャ採用のCPUコアが市場
久々にAIプロセッサーの話だ。今回はIntel GNA(Gaussian mixture model and Neural network Accelerator)の詳細を説明する。今年4月に開催されたLinley Spring Processor Forum 2022で突如インテルはGNAの詳細を説明したからだ。 GNAそのものはIce Lakeの世代で搭載されたという話を連載525回で触れている。このGNA、最初に発表されたのはICASSP 2017なのだが、実はこの際の発表はポスター(論文をベースに発表するのではなく、要点をまとめた物を1枚のポスターにまとめて張り出す)であって、内容もあまり深い話は掲載されていない。 この時点で発表された内容をもう少し細かく説明すると、2017年時点で利用されているニューラルネットワークの中では、さまざまな特殊処理が利用されるケースが多いとされていた
2022年後半から2023年にかけてもユニークで新しいスマートフォンが続々と発売されている。「Google Pixel 7」シリーズやApple「iPhone 14」シリーズが大きな話題となっているが、中国メーカーからも新プロセッサやセンサーなどが搭載された新製品が次々と販売されているので今回は3機種を取り上げる。スマートフォンの主戦場がカメラ機能や充電時間、画像リフレッシュレートなどになって久しいが、依然進化が止まらない。やはりスマホは競争の源泉となっているのだ。 図1は2022年10月にXiaomiから発売された2022年フラグシップモデルの最後の機種「Xiaomi 12T Pro」である。2021年年末(事実上入手可能になったのは2022年1月)にQualcommの「Snapdragon 8 Gen 1」(Samsung Electronicsの4nmプロセスノードを適用)を採用した
AMDとIntelが相次いで昨年第4四半期と通年の決算発表をした。これによるとAMDの第4四半期の売り上げは前年同期比53%の上昇、通年でも同45%の伸びと大きく成長した。業界全体の伸びをはるかに上回るAMD創業以来の素晴らしい結果で、この勢いは今年も続く見込みである。 CEOのLisa Suによれば、2021年第1四半期の予測は前年同期比79%増を見込み、通年でも同37%の売上増、粗利益47%となるという。株主向けの発表でもこの調子なら、実力はこれを上回る可能性もある。かたや、Intelの第4四半期の売り上げは前年同期比1%減となった。通年では8%増であったが、業界が2桁台の成長を遂げたと予想される中、Intelが業界全体でシェアを下げているのは明らかである。 このような惨憺たる発表内容で唯一の明るい要素として、第4四半期でIntelはPC市場でのシェアを奪回したと言っているが、これは多
米IBMは2020年8月17日(現地時間)、新しいプロセッサー「POWER10」を発表した。同社初の7nm世代製品である。現行の「POWER9」は14nm世代だった。POWER9に比べて演算処理性能を高めつつ、消費電力を削減し、電力効率(1W当たりの演算処理性能)をコア水準比で約2.6倍、ソケット水準比で約3倍に向上させた。加えて、セキュリティー機能やAI(人工知能)の推論処理性能を高めた。POWER10は韓国Samsung Electronicsが製造し、同プロセッサーを搭載したシステムは21年後半に発売される予定である。詳細については、プロセッサーに関する国際会議「Hot Chips 32」(2020年8月16~18日、オンライン開催)で発表する。
連載709回でTeslaのDojoを紹介したが、これは自動運転のアルゴリズムを開発するための、学習側のシステムである。 対して、実際にTeslaの車に搭載されて自動運転をつかさどる方のものがFSD(Full Self Drive)である。FSDの詳細は2019年のHotChips 31で発表されているので、今回はこれを紹介しよう。 FSDは、連載709回で示した下の画像に出てくる、上から2段目の右側の部分に相当するものだ。 2019年に開催されたPytorch DevCon 2019でTeslaのAndrej Karpathy博士が示した、自動運転に関わるスタックの様子。上から2段目の右側の部分がFSDとなる レベル1から5まである自動運転の定義 FSDの話をする前に、自動運転の定義の話を説明したい。自動運転の話は鈴木ケンイチ氏の連載があるので、この分野に興味がある方はすでにご存じかもしれ
さて、いろいろとAMDの関係者(複数)に確認したのだが、現時点では情報統制が掛かりまくっているようで、何を聞いても「Stay Tuned」と返ってきて、じゃあ何のために発表会を開いたんだかという状態ではあるのだが、いくつか有益な情報も入手できた。 発表されたRyzen 9は6コア+6コアの構成だが、例えば4コア+8コアのような非対称構成はとらないとのこと。ただし、「んじゃ将来は4コア+4コアとか8コア+8コアがあるのか?」は「Stay Tuned」。 また、CCXは引き続き4コアベースとなる。これを拡張する意味はないという。そのため、CPU ChipletはCCX×2+L2(32MB)+Infinity Fabric I/Fという構成になる。発表されている以外の内部構造、例えばDecode部は4命令/cycleか、5命令以上に拡張しているか、などはすべて「Stay Tuned」。 今回、T
Intelは2021年9月発売の第12世代Coreプロセッサ「Alder Lake」で高性能コアと高効率コアを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャを採用し、前世代以前と比べて「卓越したパフォーマンス」を実現しました。ここで比較対象とされた「前世代」こと第11世代Coreプロセッサ「Rocket Lake」がそこまでひどいものなのか、情報サイトのChips and Cheeseが調査を行っています。 Was Rocket Lake Power Efficient? – Chips and Cheese https://chipsandcheese.com/2022/12/17/was-rocket-lake-power-efficient/ Googleで「Rocket Lake」と検索したときのサジェストはこんな感じで「失敗」「ゴミ」「黒歴史」と厳しい単語が並びます。実際に検索結果を見に
最新SoC「Snapdragon 8 Gen 1」では何が変わるのか? カメラからセキュリティまでを解説:Qualcomm Snapdragon Tech Summit 2021(1/3 ページ) 毎年恒例となったQualcommの「Snapdragon Tech Summit」が2021年も11月30日と12月1日(米国時間)の2日間にわたって開催された。Snapdragon新製品や同社の最新戦略が発表される同イベントだが、2021年も「Snapdragon 8 Gen 1」をはじめ、複数の製品や技術がアピールされている。一方で、通信やモバイルを中心としていた同社はそのありようを少しずつ変化させているようにも思える。そのあたりをチェックしていきたい。 →Qualcomm、スマホ向けハイエンドSoC「Snapdragon 8 Gen 1」発表 Snapdragonは既に“モバイル”だけのS
2023年8月30日、Googleが独自に開発する機械学習特化のプロセッサ「Tensor Processing Unit(TPU)」の第5世代モデルとなる「TPU v5e」を発表しました。Googleは大規模言語モデル(LLM)や生成AI(ジェネレーティブAI)といった人気のAIを構築するための「コスト効率とパフォーマンスに優れたプロセッサ」としてTPU v5eをアピールしています。 Announcing Cloud TPU v5e and A3 GPUs in GA | Google Cloud Blog https://cloud.google.com/blog/products/compute/announcing-cloud-tpu-v5e-and-a3-gpus-in-ga/ Inside a Google Cloud TPU Data Center - YouTube Goog
2022年8月30日にAMDがYouTube上で次世代Ryzenである「Ryzen 7000シリーズ」について具体的な発売時期や価格を発表したというのは既報の通り。新型コロナウイルスがこの世に猛威を奮い始めてから、どのメーカーもオンライン発表に切り替えてきたが、今回久しぶりの“リアルイベント”となった。 本稿では前回の速報ではカバーできなかった部分について、筆者がこれはと感じた箇所について解説を試みる。シリコンがどうこうとかアーキテクチャーの深い部分に関しては大原氏の連載でそのうちカバーされるので、そちらをお待ち頂きたい。 CPU形状とパッケージ まずRyzen 7000シリーズの物理的特徴から補足していこう。Ryzen 7000シリーズではパッケージが一新され、これまでのµPGA(Pin Grid Array)からLGA(Land Grid Array)へ変更となり、ヒートスプレッダーも
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