コロナ禍で、私たちは疲れ切っている。度重なるズーム会議、永遠と続くように思われる外出自粛生活、そして失われた他者との触れ合い──韓国生まれのドイツの哲学者ハン・ビョンチョルは、このパンデミックが私たちの精神に与える影響について警鐘を鳴らす。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、私たちの社会の危機を映し出す鏡だ。そして、社会がパンデミック以前から患っていた病状をいっそう激化させた。その一つが、過労だ。 現在、私たちの誰もが何らかの形で疲労困憊している。ここで指しているのは、どこにいようと人生に影のようにつきまとう「根本的な疲れ」のことだ。パンデミックの渦中で、私たちは普段よりさらに疲れ切っている。 自著『疲労社会』(未邦訳)のなかで、私は成果主義が招く疲労を「ネオリベラル社会の病」と表現した。自己実現をしていると信じて、私たちは自発的に、そして情熱を持って自分自身から「搾取」する
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