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ブックマーク / realsound.jp (75)

  • ミン・ヒジン、NewJeansを成功に導いた異端の発想 「トレンドを無視した方がむしろ創意に富む」

    NewJeansの躍進が止まらない。2022年7月のデビューから約1年半、彼女たちが何かしらのアクションを取る度に大きな話題を呼び、その一挙手一投足から目が離せない状況が続いている。2023年に輝いたアワードやノミネート、日々更新されるレコードを上げ出したらキリがなく、もはやその人気ぶりは説明不要と言っても過言ではないだろう。 そんな彼女たちの活躍を支えるのが、総括プロデューサーのミン・ヒジンだ。S.M.entertainmentからキャリアをスタートした彼女は、デザイン面を受け持つクリエイティブディレクターとしてSHINee、f(x)、EXO、Red Velvetらの制作に携わり、人気グループへと押し上げるのに一役買った。そこからHYBE(当時はBig Hit Entertainment)へ活躍の場を移し、2021年にHYBE傘下の新規レーベルADORを設立。その第一弾としてNewJea

    ミン・ヒジン、NewJeansを成功に導いた異端の発想 「トレンドを無視した方がむしろ創意に富む」
  • リリースと同時にクラシック(古典)となった『30』 アデルはどこまでも例外的にして別格の存在だ

    例外的な存在。Adeleのことを一言で言うならそういうことになる。そこにはもちろん、デビューからブレイクまでのスピードや、作品ごとに自己記録を更新していく桁外れの売り上げやストリーミング数、アワードそのものの足場を揺るがしかねないグラミー賞をはじめとする各音楽賞での無双ぶりといったことも含まれるのだが、そういうテレビの情報番組やYouTubeの解説動画のような退屈な事実の羅列をわざわざここでするつもりはない。もっと質的な意味でAdeleは例外的存在であり、4thアルバム『30』のリリース前後に自分の観測範囲で起こったいくつかの出来事は、改めてそれを強く印象づけることとなった。 Adeleが6年ぶりに新曲「Easy On Me」をリリースすること、そしてそれに続いてニューアルバム『30』がリリースされることを発表と同時に自分が知ったのは、フォローしている北米のラップ/ヒップホップ系の各アカ

    リリースと同時にクラシック(古典)となった『30』 アデルはどこまでも例外的にして別格の存在だ
  • DCPRG『構造と力』リリース20周年 菊地成孔が語る、オルタナティブなグルーヴの現在

    音楽家で現在は音楽ギルド・新音楽制作工房も運営する菊地成孔。彼が率いていたDC/PRG(Date Course Pentagon Royal Garden/当時はDCPRG)による2ndアルバム『構造と力(Structure et Force)』が、2003年9月25日の発売から20周年を迎える。 作の収録曲は前作『アイアンマウンテン報告』と比べ、さらにクロスリズムやポリリズムにフォーカスしており、当時としては律動的かつかなり先鋭的な内容だった。特に当時、4拍子と5拍子が同時に鳴るリズムを踊れる楽曲に落とし込んだのは驚嘆でしかない。 しかし執筆家でもある菊地が膨大なテクストを残した副作用なのか、雑誌カルチャーの衰退が原因なのか、音楽そのものを具体的に語ったインタビューはネット上にほとんどないのが実情だ。そこでリリース20周年を期に『構造と力』の音楽的な回想を依頼。 「5」という数字(ペン

    DCPRG『構造と力』リリース20周年 菊地成孔が語る、オルタナティブなグルーヴの現在
  • ケンドリック・ラマーは『SUMMER SONIC 2023』で何を見せ、聴かせたのか ヒップホップの先頭で探求するラップの美学

    ケンドリック・ラマーは『SUMMER SONIC 2023』で何を見せ、聴かせたのか ヒップホップの先頭で探求するラップの美学 『SUMMER SONIC 2023』でケンドリック・ラマーが何を見せ、聴かせたのか。 ケンドリック・ラマーの『The Big Steppers Tour』を、通常のヒップホップコンサート、いや、一般的なライブと同列で考えるとかなり面らう。 バンドを隠したミニマムなステージセットとダンサーたちによるパフォーマンス、立ち位置やライティングまで完ぺきに計算した構成。彼の音楽になじみがない人が観たら、パフォーミングアートと見紛うかもしれない。だが、すべてはケンドリックのラップ、リリックの意味により焦点を当てて引き込むため。派手な演出に酔いしれて、声を上げてすっきりするのではなく、それまで聴き込んできた曲を改めて立体的に理解する体験なのだ。 稿は、8月20日、『SUM

    ケンドリック・ラマーは『SUMMER SONIC 2023』で何を見せ、聴かせたのか ヒップホップの先頭で探求するラップの美学
  • 「NewJeansの成功は100%予想通り」 総括プロデューサー ミン・ヒジン×シン・ウソク監督に聞くiPhoneで撮影した「ETA」MV制作秘話

    2023年7月26日には2nd EP『Get Up』をリリースし、鮮烈なデビュー以降、世界中のK-POPファンを賑わせ続けているNewJeans。中でも、今作の収録曲「ETA」は、MV全編をiPhone 14 Proで撮影したことでも注目を浴びている。今回は、NewJeansの総括プロデューサーであるミン・ヒジンと、「ETA」のMV撮影を手掛けたシン・ウソク監督へのオンラインインタビューが実現。『Get Up』やMV制作秘話、Apple社とコラボレーションした背景などについて話を聞いた。(AMO) Appleからの振り付け動画の提案にミン・ヒジンからMV撮影を逆提案 ミン・ヒジン ーー2nd EP『Get Up』のインスピレーションとなったものはありますか? ミン・ヒジン:私はアルバムのトラックリストを構成する時はいつも、収録される一つひとつの曲が全て強調されてほしいと思っています。今回の

    「NewJeansの成功は100%予想通り」 総括プロデューサー ミン・ヒジン×シン・ウソク監督に聞くiPhoneで撮影した「ETA」MV制作秘話
  • 後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」

    暗黒批評家・後藤護が著した書籍『黒人音楽史 奇想の宇宙』(中央公論新社)は、耳慣れない「アフロ・マニエリスム」なる概念を軸に、これまでにない切り口で黒人音楽史を捉え直した一冊だ。アフロ・マニエリスムとは、ドイツのジャーナリストで文筆家のグスタフ・ルネ・ホッケが1950年代に再評価した後期イタリア・ルネサンスの美術様式「マニエリスム」の理論を換骨奪胎し、ブラック・カルチャーに応用したもの。後藤護は、このアフロ・マニエリスムによって、奴隷制時代から南北戦争、公民権運動をへて真の解放をめざす現代までを総括しようと試みた。 ジャズ・ミュージシャンにして文筆家の菊地成孔は、書『黒人音楽史』をどのように読んだのか。リアルサウンド ブックでは、ふたりの初対談をお届けする。(編集部) 後藤護 菊地:いわゆる黒人音楽史についてのは20世紀にたくさん出ています。特にジャズ批評の多くは、歴史主義で書かれてい

    後藤護 × 菊地成孔『黒人音楽史』対談 「抑圧が強くなった時代の次にはまた爆発が来る」
  • 甲田まひる、水森亜土やバド・パウエルらが共存する世界 多面的なアーティスト性を構築した人生のルーツとは?

    ーーその後ピアノを始めるわけですが、クリエイティブなご家庭で育ったんですか? 甲田:全然。普通の家でした。ただカルチャーには寛容だったと思います。母が若い頃ゴアトランス好きのバックパッカーだったんですよ。20代の頃、毎年何カ月かはインドやネパールを旅していたらしいです。当時の写真を見せてもらったら、ターバンに羽が刺さっているような格好をしていました。あとピタピタのカラフルなゴアパンツを履いてて(笑)。そういう話を小さい頃からたくさん聞かせてもらってた影響は確実に自分の中にあります。 ーー水森亜土さんの絵が好きという感覚の背景にある世界の解像度が上がるエピソードですね。 甲田:水森さんの絵はとにかくかわいい。なのに体のラインはすごくセクシーなんです。ただいやらしくはない。子供のようにも見えるけど大人っぽい色気があって。キャラクターの年齢がわからない。水森さんはエロティックな世界もお好きみたい

    甲田まひる、水森亜土やバド・パウエルらが共存する世界 多面的なアーティスト性を構築した人生のルーツとは?
  • 宇野常寛×福嶋亮大が語る、Web3と批評的言説のこれから 「人類社会の“時差”を意識することが重要」

    WEB3という言葉で新たなテクノロジーが褒めそやされる今、批評的言説はいかにして可能なのかーー。二人の著作で取り上げられた人物や書籍を起点に、批評やインターネットのこれからの可能性について対談してもらった。(編集部) ロレンスはずっと変身を重ねて、同時に失敗を重ねてきた 宇野常寛『砂漠と異人たち』(朝日新聞出版) 福嶋:『砂漠と異人たち』は面白かったですが、まさかT・E・ロレンス(編注:アラブ民族独立に尽力したイギリス陸軍将校)のことをこんなに熱烈に書いているとは知らず驚愕しました(笑)。考えてみると、デヴィッド・リーン監督の映画『アラビアのロレンス』は最初にロレンスのバイク事故のシーンから始まるけど、いわばロレンスって仮面ライダーみたいな人ですね。ロレンスは変身に変身を重ねてアラブの独立にもコミットするわけだけど、それが同時に失敗の連鎖でもある。失敗が同時に成功であるという逆説の人だと思

    宇野常寛×福嶋亮大が語る、Web3と批評的言説のこれから 「人類社会の“時差”を意識することが重要」
  • 藤井風、いよいよ世界に見つかる アルバム曲「死ぬのがいいわ」世界各国でバイラルヒットの理由

    藤井風の楽曲「死ぬのがいいわ」が現在、世界中でバズを巻き起こしている。同曲は、2020年にリリースされた1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』の収録曲。シングル曲でもなければMVもない、いわゆるアルバム曲の一つである。 9月7日時点でこの曲は、Spotifyのグローバルデイリーバイラルチャートで最高4位を記録。各国のデイリーバイラルチャートではタイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、エジプト、カナダ、フランスなど17カ国で1位、さらに65カ国のデイリーバイラルチャートTop100以内にランクインを果たすなど、世界中のバイラルチャートを席巻している。 最初に火が付いたのはタイであった。7月下旬にTikTokでこの曲を使った動画が流行り始め、そのまま東南アジアへと波及。TikTokなどのSNSを介してアジア以外の世界各国にも広がりを見せていった。Spotifyでの再生回

    藤井風、いよいよ世界に見つかる アルバム曲「死ぬのがいいわ」世界各国でバイラルヒットの理由
  • 人間の実存を描く傑作ーー社会学者・宮台真司が読み解く『ベルセルク』

    世界中で愛読されるダークファンタジーの傑作漫画『ベルセルク』。作者の三浦建太郎が2021年5月6日逝去したことで未完となっていたが、かつて三浦を支えた「スタジオ我画」の作画スタッフと、三浦の盟友・森恒二の監修によって、2022年6月24日より連載が再開したことでも話題となっている。 後世に何を伝えたのか? 9人の論者が独自の視点から『ベルセルク』の魅力を読み解い た格評論集『ベルセルク精読』が、8月12日に株式会社blueprintより刊行される。 社会学者・宮台真司は、同作を「最終的帰結がすべて決まっていることを自覚する人々が、どう生き得るか」を描いた類まれな傑作と評す。今回は一部内容を抜粋してお届けする。(編集部) 宇宙が終わることは決まっている どんな理想的な生き方をしても、どんな理想的な社会を作っても、世界は必ず終わる。そのことは20世紀を通じて科学者の間で完全な合意事項になった

    人間の実存を描く傑作ーー社会学者・宮台真司が読み解く『ベルセルク』
    rodori
    rodori 2022/08/28
  • 菊地成孔による新バンド“ラディカルな意志のスタイルズ”、ライブ『反解釈0』をWWW Xにて開催

    菊地成孔が新たに結成したバンド“ラディカルな意志のスタイルズ”が、9月14日にライブ『反解釈0』を渋谷WWW Xにて開催する。 同バンドは、2021年、菊地がDC/PRGを解散した際、溜まっていたネクスト感を実現すべく結成。バンド名である“ラディカルな意志のスタイルズ”は、スーザン・ソンタグの著作名だが、名前の響きがバンド名のようである以外、引用根拠はないとし、英語表記も存在しない。しかし同時に、ラディカリズム、意志、スタイルが今の時代に必要なものである、としている。音楽性は“インストのダンスミュージック”を志向する以外、文章では説明できないとのこと。 メンバーは菊地成孔(ss,as,ts,perc)、松丸契(as)、相川瞳(viv.perc)、林正樹(Pf)、秋元修(Dr)、北田学(Ba cl)、Yuki Atori(Ba)、ダーリンsaeko(perc)の7名。ステージに上がらず、作曲

    菊地成孔による新バンド“ラディカルな意志のスタイルズ”、ライブ『反解釈0』をWWW Xにて開催
  • ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文に聞く ロックバンドは“低域”とどう向き合うべきか?

    連載:音楽機材とテクノロジー(第二回)後藤正文(�ASIAN KUNG-FU GENERATION) 2019.02.09 12:00 「日はヘッドフォンでやってる子達が先に革命を起こしてる」 ーー脱線しましたけれど、つまりはモニター機材やスタジオの環境が声の出し方にも影響を与えている、ということですね。 後藤:一概には言えないですけどね。機材の面も絶対大きいし、練習環境もあるし、あとはルームアコースティックがすごく重要。録音した音源をミックスする部屋の鳴り方がサウンドに影響を与えてると僕は思うんです。 ーーなるほど。『凍った脳みそ』でも書かれていましたね。「音の鳴り方というのは、スピーカーを良くすればいいというのではなく、壁や部屋の反響が大きい」と。 後藤:そう。僕が今回出会った音響パネルの会社のお爺さんは、部屋で7割決まるって言ってましたね。いくら良いスピーカーにしても、その部屋の鳴

    ASIAN KUNG-FU GENERATION 後藤正文に聞く ロックバンドは“低域”とどう向き合うべきか?
  • 栗原裕一郎×大谷能生×南波一海が語る、音楽批評の現在地 「内容を薦めるのと、好きだから拡散するというのは違う」

    栗原裕一郎と大谷能生による共著『ニッポンの音楽批評150年100冊』(立東舎)は、明治初年前後から令和初頭までのおよそ150年のあいだに、日において「音楽」がどのように記述され、語られてきたのか、音楽批評の歴史的変遷を辿った一冊だ。 1876年から2025年までを30年ずつに区切り、その「通史」を描きだすとともに、その時代に出版された代表的な「音楽」について解説した書は、インターネットの興隆によって音楽を巡る状況が著しく変化し、批評そのものの是非が問われている昨今にこそ参照したいである。リアルサウンド ブックでは、著者の栗原裕一郎と大谷能生に加え、書で音楽批評の最前線にいると紹介される南波一海を招いた鼎談を行った。(編集部) 『ニッポンの音楽批評150年100冊』(立東舎) 南波:改めて栗原さんと大谷さんが著を著した経緯を教えてください。 栗原:2013年にイベント『ニッポン

    栗原裕一郎×大谷能生×南波一海が語る、音楽批評の現在地 「内容を薦めるのと、好きだから拡散するというのは違う」
  • 宮台真司の『ニトラム』評:無差別殺戮事件の背景を神話的に描き出した稀有な作品

    世界中を震撼させた無差別殺戮事件の背景を神話的に描き出した稀有な作品 〜ジャスティン・カーゼル監督『ニトラム/ NITRAM』~ 【この種の作品の製作と批評の難しさ】 こうした作品を製作するのは難しい。凶悪な犯人に寄り添う作品は、人々に彼を理解する ことを求める。だが理解を表明すれば、凶悪犯を擁護しているとして炎上しかねない。加えて、自分も同じような境遇だと感じる人々が似た犯罪に動機づけられる可能性さえある。 同じ理由で、こうした作品を批評するのも難しい。上記の理由に加えて、作品のシニフィエである社会について論じることを要求されることも、批評する側の重荷になる。作品内の物語や映像構成や視座や世界観を論じるだけでは、逃げたと見做されてしまうのである。 それでも、こうした作品は作られる必要があり、批評される必要がある。似たような無差別殺戮が繰り返される背景にある僕らの社会が抱えている問題を、映

    宮台真司の『ニトラム』評:無差別殺戮事件の背景を神話的に描き出した稀有な作品
  • リズムから考えるJ-POP史 第2回:小室哲哉がリスナーに施した、BPM感覚と16ビートの“教育”

    『TETSUYA KOMURO ARCHIVES "T"』 90年代を、いや80年代以降の日のポップスを代表するミュージシャンでありプロデューサーの小室哲哉。彼の功績を、手がけた作品の売り上げや後続の世代に与えた影響から推し量ることはたやすい。しかし、むしろここで問いたいのは、彼の成功がJ-POPやそのリスナーにどのような影響を与えたかという点だ。坂龍一は、小室がホストを務めるトーク番組に出演した際、しばしば引き合いにだされる次のような発言を小室に向かって投げかけている。 坂 [前略]TMN時代からヒット曲を作ってきて、ある種日人の耳を教育しちゃったとこがあるよね。まあ、僕なんてちょっと困るとこもあるんだけど、あまり教育されちゃうと。あの小室流のメロディー・ラインとか、転調とかアレンジも含めて、そのビート感も含めて、先生として教育しちゃったからね。ある層をね。だからそれに引っ掛かる

    リズムから考えるJ-POP史 第2回:小室哲哉がリスナーに施した、BPM感覚と16ビートの“教育”
  • アニメ『プラネテス』は一生の財産にもなりうる作品だ Eテレでの再放送開始に寄せて

    テレビアニメ『プラネテス』がNHK Eテレにて1月9日より、毎週日曜19時から再放送される。今でもアニメファンから絶賛の声が寄せられ、名作と呼び声高い作品が全国に再放送されることは、放送時から毎週楽しみにしていたファンである筆者としてもとても喜ばしい。今回は『プラネテス』が高く評価される理由について簡単に紹介していきたい。 『プラネテス』は、幸村誠による1999年から2004年にかけて連載された全4巻の同名の漫画作品が原作。2003年にテレビアニメとしてが放送された。監督は『スクライド』や、今作の後に『コードギアス 反逆のルルーシュ』や、また2022年には『ONE PIECE FILM RED』の監督を務めることも発表されている谷口悟朗が務めている。制作スタジオはガンダムなどのロボットアクションの印象も強いサンライズが務めており、ロボットバトルのない作品の制作を担当したことも話題を集めた

    アニメ『プラネテス』は一生の財産にもなりうる作品だ Eテレでの再放送開始に寄せて
  • 「やりがい搾取」から「やりがい再分配」へ? 『DEATH STRANDING』が示す、郵政再公営化とポストクリティーク的批評の可能性

    「やりがい搾取」から「やりがい再分配」へ? 『DEATH STRANDING』が示す、郵政再公営化とポストクリティーク的批評の可能性 郵政再公営化構想としての『デススト』、国道建設にみるポストクリティーク的批評 宮崎駿監督による1989年のアニメ映画『魔女の宅急便』は、ヤマト運輸に商標使用料を払って制作された「郵政民営化の物語」であった。アメリカ文学研究者の三浦玲一は、『村上春樹とポストモダン・ジャパン──グローバル化の文化と文学』の中でそのように述べた。 『魔女の宅急便』のヒロインであるキキが宅急便の仕事を始めるのは、自立のための現金収入が必要だからであり、さらに、優れた配達人になることがキキの自己実現として描かれるという意味において、この場合の配達は公的なものではありえず、私的な創意工夫によって行われなくてはならない。そして、彼女の配達はやりたいことをやっているのだから、過酷でも低賃金

    「やりがい搾取」から「やりがい再分配」へ? 『DEATH STRANDING』が示す、郵政再公営化とポストクリティーク的批評の可能性
  • 宇野維正の「2021年 年間ベスト映画TOP10」 エサを巣に運ぶ親鳥を待つだけのヒナとなるなかれ

    リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2021年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、映画の場合は、2021年に日で公開された(Netflixオリジナルなど配信映画含む)洋邦の作品から、執筆者が独自の観点で10作品をセレクトする。第15回の選者は、映画音楽ジャーナリストの宇野維正。(編集部) 1.『DUNE/デューン 砂の惑星』 2.『イン・ザ・ハイツ』 3.『すべてが変わった日』 4.『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』 5.『ドント・ルック・アップ』 6.『プロミシング・ヤング・ウーマン』 7.『最後の決闘裁判』 8.『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』 9.『21ブリッジ』 10.『レット・ゼム・オール・トーク』 年の瀬に突然届いたジャン=マルク・ヴァレの訃報に打ちひしがれている。彼が『ビ

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  • 戸川純、ポップアイコンとして果たしてきた使命 社会の歪みを射抜いた痛烈な批評眼と表現力

    イギリスの月刊音楽誌『WIRE』の目下の最新号(454号)に戸川純のインタビュー記事がかなり大きく掲載されている。「Blow Up Yr Idols」というタイトルの横に、白い服に白いコサージュのような花をつけた黒髪、そしてヤプーズのナンバープレートである「Y-108」をつけた戸川純。そう、これは2019年の芸能活動40周年記念の際に撮影された写真の一つだ。2019年は13年ぶりにヤプーズとして復活、8月に渋谷クラブクアトロで新編成でライブを行い、12月にはアルバム『ヤプーズの不審な行動 令和元年』を発表した(翌2020年1月にもリリース記念ライブを開催している)。その後、新型コロナウイルスによる世界的パンデミックによって“中断”されてしまったが、近年の戸川純が、レジェンドという扱いを吹き飛ばすほどに、勢力的に活動していることは誰の目にも明らかなことと言っていい。なお、現在のヤプーズには、

    戸川純、ポップアイコンとして果たしてきた使命 社会の歪みを射抜いた痛烈な批評眼と表現力
  • 千葉雅也×宮台真司が語る、性愛と偶然性 「そこで経験する否定性を織り込んで生きていく」

    哲学者・千葉雅也の第二小説集『オーバーヒート』(新潮社)が発売されたことを記念して、社会学者・宮台真司とのトークイベント「個として生きる勇気」が、10月1日に代官山 蔦屋書店にて開催された。公の場でふたりが話し合うのは、今回が初めて。 千葉雅也は、宮台真司の映画批評集『崩壊を加速させよ 「社会」が沈んで「世界」が浮上する』(blueprint)の刊行の際にコラムを寄稿。その縁で、今回のトークイベントが実現した。(参考:千葉雅也が選ぶ「宮台真司の3冊」 強く生きる弱者ーー宮台社会学について) リアルサウンド ブックでは、多くの反響を呼んだ同トークイベントを記事化。千葉雅也は小説を通じて何を表現しようとしたのか、また宮台真司はそれをどう読み解いたのかを軸に、性愛、東京と地方、90年代カルチャー、加速主義など、さまざまな事柄について語り合う貴重な対談となった。(編集部) 男同士の肉体関係は純粋に

    千葉雅也×宮台真司が語る、性愛と偶然性 「そこで経験する否定性を織り込んで生きていく」