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ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (43)

  • アガサ・クリスティ自選の傑作『終りなき夜に生れつく』

    「知らないけど、間違いなく面白い」を読むには、どうすればいい? 世間で評判のベストセラーなら、少しは期待してもよいだろうが、「私が」面白いかどうかは別だ。プロ書評家が「これを読め」なんて誉めても、”Not For  Me” (私には向いてなかった)なんてザラである。 そんなとき、どうするか? 面白いを、「これ面白かった!」と叫べばいい。 すると、「それが良いならこれなんてどう?」なんてレスポンスがもらえるときがある。 ブログ記事に残されたメッセージだったり、twitter のリプライだったり、はてなブックマークでのコメントだったりする。そんな返事をくれる人は、鉦や太鼓で探すべきだし、オススメは果敢に手を出すべき。 なかでも、はてなブックマークのコメントは有難く、知らないけれど、面白いに出会うきっかけを何度も貰った。どんなに感謝しても感謝しきれないくらいである。 今回は、d-ff さん

    アガサ・クリスティ自選の傑作『終りなき夜に生れつく』
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    rumbaba 2023/01/30
  • これが教養だ! 『これは水です』

    書店に行くと「教養」を謳う雑誌やの多いこと。 ひと昔前のマジックワード「品格」「大人の~」と一緒やね。来ソレが足りなかったり欠けていることを指摘して、その雑誌なりを「買う」ことで補完できるというレトリック。あるいはソレに価値を見いだしている自尊心をくすぐるテクニック。騙されるほうが馬鹿なんだが、わたしもよく騙される(レジまで騙されたら負け)。 つまり「教養」を人質に、コンプレックスを煽るビジネスなのだ。 エセ教養人の手口 「ビジネスリーダーに求められる教養」とか「人生を豊かにする教養」という惹句で、人間関係を円滑にしたり信頼関係を築くためのツールとしての「教養」が重要だという。で、よくよく聞いてみると、ただの雑学や豆知識だったりする。要するに、アイスブレイクや知的マウンティングに使える小話のことを、「教養」と呼んでいるにすぎぬ。 そうやって「教養人」を名乗り、まとめサイトやWikip

    これが教養だ! 『これは水です』
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    rumbaba 2018/09/03
  • 絶望保険『絶望読書』『なぜ私だけが苦しむのか』

    いざというときが、いまというときであり、  いまというときが、いざというときである。 この「いざ」と「いま」を分けて考えているから、いざというときには間に合わない。だから常日頃、考えろと300年前のモノノフは言った。300年後のわたしは考える代わりに保険に入り、「いざ」というときに役立ちそうな保険を読む。 絶望の淵に立ち、「なぜ私だけが苦しむのか」と問いたくなったときに読むなら、文字通り『なぜ私だけが苦しむのか』を推す。病や事故、わが子や配偶者の死など、立ち直れないほどの出来事に遭遇したとき、人は宗教に救いを求める。だが、宗教はあまり役に立っていないという。ほとんどの宗教は「起こってしまった悪いこと」に対し、神を正当化することにかまけ、嘆き悲しむ人に寄り添っているものは少ないからだという。 いま読まなくてもいい、タイトルだけを頭の片隅に入れておくか、棚のあそこにあると意識しておくだけでい

    絶望保険『絶望読書』『なぜ私だけが苦しむのか』
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    rumbaba 2016/06/15
  • この本がスゴい!2015

    「いつか読む」は一生読まない、いつ読むの? 人生は短いのに、読みたいが多すぎる。残り全部を注いでも、いまのリストは読みきれぬ。己の変化を確かめる、再読リストも増えている。今際に後悔しないため「読んでから死ね」が優先なのに、積まれるスピードさらに上。を通じて出会った人から教わったがまたスゴい。オフ会は危険な場、積読山がマシマシだ。それでも読むしかない、それも今しかない。 「このがスゴい!2015」は、この「今」を積み上げた一年間からピックアップしたもの。ネットや読書会を通じてお薦めされた作品もあれば、書店や図書館で「呼ばれた」もある。非常に愉しいのは、リアルで話し込んでいると、記憶の底からリレースイッチのようにタイトルが"発火"してゆくところ。完全に忘れてた、思いもよらない作品につながってゆく様は鳥肌もの。 世界は対話で拡張する。わたしが知らないスゴを"発火"させる、あなたが凄い

    この本がスゴい!2015
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    rumbaba 2015/12/03
  • 性教育は、この一択。『ぼくどこからきたの』

    これは家で教えなきゃ、と実践しているのがと性。家庭科や保健体育では遅いし足りぬ。学校任せにしないおかげで家族の昼ぐらいは作れるようになった(ただし麺類に限る)。 では性は?探し回ったあげく、この一冊にした。 男と女の違いから始まって、セックスとは?赤ちゃんができるとは?に真正面から答えている。親子で読めて、きちんと話し合える。生々しすぎる描写ではなく、かといって抽象的すぎでもない(「プリキュアで性教育」といっても、おしべとめしべは、ほとんとメタファー)。『南仏プロヴァンスの12か月』のピーター・メイルの文を、谷川俊太郎が訳している。率直で、ごまかしのない言葉で伝えている。 一通り読み聞かせた後、性感染症の話を補足する。お風呂のとき、そこを綺麗に洗いなさいというのは、これが理由だったのか、と納得してもらう。あとは質問コーナー。山ほど出てくる問いかけに、適切な言葉を選び、分かりやすく伝え

    性教育は、この一択。『ぼくどこからきたの』
  • この本がスゴい!2012

    人生は短く、読むは多い。せめてスゴいと出会えるよう、それを読んでる「あなた」を探す―――このブログの究極目的だ。ともすると似たばかり淫するわたしに、「それがスゴいならコレは?」とオススメしてくれる「あなた」は、とても貴重な存在だ。 ネットで呟いたり、オフ会で発表したり、集団でブックハントに勤しんだり。バーチャル・リアルを問わず、そんな「あなた」同士の交流の場で、加速度的にスゴいに会ってきた。中でもここ一年で読んできたものから、選りすぐりを並べてみた。 実は、ここは既読のご紹介の場なので、氷山一角だ。だから、一番アツいfacebook「スゴオフ」を覗いてみてほしい。読まずに死ねるか級がざくざくあるデ。 昨年までの探索結果は、以下の通り。 このがスゴい!2011 このがスゴい!2010 このがスゴい!2009 このがスゴい!2008 このがスゴい!2007 このがスゴい

    この本がスゴい!2012
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    rumbaba 2012/11/29
  • 徹夜小説「シャンタラム」

    鉄板で面白い小説はこれ。 もしご存じないなら、おめでとう ! あらすじも紹介も無いまっさらな状態で、いきなり読み始めろ(命令形)。新潮文庫の裏表紙の"あらすじ"すら見るの厳禁な。あと、上中下巻すべて確保してから読み始めるべし。さもないと、深夜、続きが読みたいのに手元にないという禁断症状に苦しむことになるだろう。 どれくらい面白いかというと、ケン・フォレット「大聖堂」、中島らも「ガダラの豚」、古川日出男「アラビアの夜の種族」級といえば分かるだろうか。要するに、「これより面白いのがあったら教えて欲しい」という傑作だ。寝惜しんで憑かれたように読みふけり、時を忘れる夢中(わたしは4回乗り過ごし、2度事を忘れ、1晩完徹した)。巻措く能わぬ程度じゃなく、手に張り付いて離れない。とにかく先が気になって気になって仕方がない。完全に身を任せて、物語にダイブせよ。 このエントリも含めて前知識は邪魔。読め

    徹夜小説「シャンタラム」
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    rumbaba 2012/01/20
  • スゴ本オフ@2011ベスト

    好きなを持ちよって、飲みつつべつつ熱く語るスゴオフ。 今回は(というか毎回)スゴいが集まった。あと甘(うま)い酒と美味しい料理を堪能した。質量ともに凄いレポートは、ずばぴたさんのまとめ「スゴオフ2011年ベスト」を参照いただくとして、ここでは思い出すままつらつら書く(妄想込み)。 まず、参加いただいた方、協力いただいた方、ありがとうございます。毎回毎回語っているんだけど、「今回が最高」でした。やるたびに発見と読みたいリストがガンガン増えていくので、嬉しい悲鳴が止まらない。 そして、見てみて、狩りの成果。 全ラインナップは、以下の通り。 【やすゆき】「アイの物語」山弘 【やすゆき】「What'sGoingOn」MarvinGaye(CD) 【やすゆき】「Unforgettable」NatalieCole(CD) 【ともこ】「サザエさん」長谷川町子 【Dain】「千夜一夜物語」リチ

    スゴ本オフ@2011ベスト
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    rumbaba 2011/12/06
  • この本がスゴい!2011

    今年もお世話になりました、すべて「あなた」のおかげ。 このブログのタイトルは、「わたしが知らないスゴは、きっとあなたが読んでいる」。そして、このブログの目的は、「あなた」を探すこと。ともすると似たばかり淫するわたしに、「それがスゴいならコレは?」とオススメしたり、twitterやfacebookやtumblrで呟いたり、「これを読まずして語るな!」と叩いたり―――そんな「あなた」を探すのが、このブログの究極の目的だ。 昨年までの探索結果は、以下の通り。 このがスゴい!2010 このがスゴい!2009 このがスゴい!2008 このがスゴい!2007 このがスゴい!2006 このがスゴい!2005 このがスゴい!2004 昨年から始めたオフ会で、たくさんの気づきとオススメと出会いを、「あなた」からもらっている。目の前でチカラ強くプッシュしてもらったり、物語談義を丁々と続けたり

    この本がスゴい!2011
  • 子どものために、できること「40歳の教科書」

    親業の確認のつもりで読む、だいたい合ってた。 親を見て子は育つ。だから、子の努力を望むなら、まず親が努力する。「幸せ」とは何か伝えたかったら、親がイライラするのをやめる。「英語」はツールにすぎないが、「お金」の教育は重要。学校は人間関係を学ぶところだから、失敗の練習場と思え。社会に出ると、失敗は有償だぜ。 受験マンガ「ドラゴン桜」をにした「16歳の教科書」、その番外編が「40歳の教科書」になる。以下の4テーマに対し、強いメッセージ性をもつ人からのインタビュー集といったところか。一問一答に「まとめ」ると、こんなん。 英語早期教育 「もっと早く英語の勉強をしておくんだった…」 「小学校から英語なんて、破滅するぞ!」 中高一貫校 「早いうちにいい学校に入れば、あなたがラクできるのよ 「その受験で幸せになるのは、子どもじゃなくてあんただろ!」 お金仕事お金の話をするのは恥ずかしい」 「お金

    子どものために、できること「40歳の教科書」
  • この「食」の本がスゴいらしい

    わたしの仮説は、どうやら正しい→「好きはいしん坊」 というのも、前回の記事「この『』のがスゴい!」のリアクションで、これでもかというぐらいスゴい「」が続々と集まってきたから。twitterblog 、はてなブックマークコメントなどで、知らなかったスゴに出会えたのは嬉しい。みなさん、「べることなら一口噛ませろ」というノリで教えてくれる。 だいたい、旨いものが好きな人というのはフットワークが軽くって、美味・珍味を求めて腕を磨いてアンテナを高くするイメージ。人さまにふるまう時はそれこそ東奔西走する(ほら「ご馳走」って駆けずり回って材を集めるあのまんま)。もちろん、常連だけのヒミツの店もあるし、門外不出の味もある。だが、の基はオープン。べた人が好みと趣味を言い合えば良い。イソターネットを飛び交う情報は、「受信者が判断する」に似ているね。 五感が受け取った快感は、「こ

    この「食」の本がスゴいらしい
  • 「あずけて!時間銀行」はスゴ本

    キャラ、テーマ、プロットの全てが素晴らしい、ストライクのラノベ。萌えながら泣きながら読む。出し惜しみせず全2巻で完結しており、終わるのを惜しみながら読む。 もちろんミヒャエル・エンデの歌取りだが、さらに拡張して、「キャッシング」「口座振替」「利子」なんて概念がある。主人公は時間を「キャッシング」して、残りわずかな人生を引き伸ばすために、時間銀行員の助手のバイトをしている。バイト料は時間で支払われるから、文字どおり「時間稼ぎ」のバイトだ。 キャラからいこう。没個性な「灰色の男」とは対照的に、女のコがいい。無表情で敬語なので「長門さん?」と予断したら違ってた。時間銀行員という業務にマジメなのだ。だからスカートまくられたら怒るし恥ずかしがるし反応がいちいち初々しい。秘めた思いが暴されて顔真っ赤になるトコなんて、読んでるこっちがアツくなる。 他にもロリからグラマー、熱血レズから凶女までそろえてい

    「あずけて!時間銀行」はスゴ本
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    rumbaba 2011/09/14
  • 趣味の料理と主婦の料理「やっぱり肉が好き」と「家族のこんだて」

    料理と献立の違いが分かる二冊。 嫁さんと屋めぐりする。出会った頃の「デート」は二人一緒に棚めぐりだが、つきあいも十年たつと、別行動がデフォルトになる。それでも自然に落ち合うのは、レシピコーナーになる。そこで手にしたが対照的で面白い。互いの料理観が透けて見えるから。 わたしが選んだ一冊は、小林ケンタロウの「やっぱり肉が好き」。タイトルが全てを物語る、よだれの垂れる肉料理ばかり。写真のページとレシピのページを分けることで、料理のプレゼンが効いている。「べたい→作ろう!」という欲と創作欲の両方が刺激されるのだ。肉好きな我が子と写真見ながら一緒に選べるのも、マル。 いつものレパートリーに、ちょっとしたコツをが加わるのが嬉しい。肉じゃがに味噌を合わせろとか、スペアリブのオーブン焼きにハチミツを塗るといいとか、とんかつ用ロースをひたすら包丁で叩いて、肉だけ酢豚にするアイディアは貰った!

    趣味の料理と主婦の料理「やっぱり肉が好き」と「家族のこんだて」
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    rumbaba 2011/09/12
  • 安くて野蛮でやたら旨い「檀流クッキング」

    「安くて旨い料理教えろ」というトピックに最適な一冊。 レシピは親切だけど、信頼するのはクチコミになる。掲示板やコミュニティでかじったレシピを頼りに、すばらしくうまい一皿を作ったことが何度もある(ピェンロー鍋とかアンチョビソースのパスタとか)。嬉しいのは、ただ簡便なだけでなく、「ここだけ肝心」「これはこだわる」といった、ポイントを突いているところ。 書はそんなキモが並んでいる。しかも、完全分量度外視の原則を貫き、アミノ酸至上主義をせせら笑うレパートリーが並んでいる。「塩小さじ1/2」みたいな科学調味料的態度を突き抜けて、塩の量がいかほどと訊かれたって、答えようがない、君の好きなように投げ込みたまえ、と言い切る。 それでも、「ゴマ油だけは、上質のものを使いたい」とか、「暑いときは、暑い国の料理がよろしい」のように、妙な(だがスジの通った)こだわりが出てくる。おそらく、ない材料はなくて済ませ

    安くて野蛮でやたら旨い「檀流クッキング」
  • スゴ本オフ@ジュブナイル報告

    を介して人と会い、人を介してと会う、それがスゴオフ。今回は、わたしが知らないジュブナイルを、ざくざく発掘した夜だった。 書店のジュブナイル(ヤングアダルトは死語?)の棚なら、だいたい想像がつく。イマドキならあさのあつこ「No.6」や「ハリーポッター」、気の利いた選者なら「トランスフォーマー」(今夏公開)か「タンタンの冒険」(今冬公開)をいそいそ準備するだろう。そんな話題性よりも、みなさんの、それぞれの、「ガチ」をずらりと並べると、この世のどこにもない「ジュブナイル」棚ができあがる。まずはこの成果を見てくれ。 【Dain】「シルバーチャイルド」クリフ・マクニッシュ 【Dain】「はてしない物語」ミヒャエル・エンデ 【Dain】「イルカの島」アーサー・C・クラーク 【やすゆき】「どこからも彼方にある国」ル・グゥイン 【やすゆき】「ライ麦畑でつかまえて」サリンジャー 【金巻ともこ】「キング

    スゴ本オフ@ジュブナイル報告
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    rumbaba 2011/07/25
  • 本を愛する人へのごほうび「おかしな本棚」

    の「触った感じ」や、「手に取った重み」との相性は大切だ。 さて買うとなれば、その色合いや風合いに合った「最も映える場所」を考えたりする―――そんな人には、Queerな"おかしさ"が詰まっている。一方、「=データ塊」だからpdfでいいんですとか、裁断をためらわないばかりが蔵書です、なんて人には難しい。insaneな所業に見えるだろうから。 たとえば、フランツ・カフカの「変身」といえば、新潮文庫のあの色あの薄さを思い出さないか? 「おかしな棚」の著者も、あの完璧なデザインにやられて、古屋で見かけるたびに必ず(必ず!)買っていくという。だから、「おかしな棚」には、文庫の「変身」ばかりの棚がある。様々な年代、刷、活字の印字の、旧かな新かなの、「変身」が並んでいる。癖のように集めてしまうのだ。これが「分かる」人なら、「おかしな棚」は宝物のような一冊になる。 あるいは、著者のこんな独白が

    本を愛する人へのごほうび「おかしな本棚」
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    rumbaba 2011/07/03
    気になってたけど、やっぱり良さそうだな。うーむ
  • 「スゴ本オフ@元気をもらった本」報告

    を介して人と会い、人を介してと会う。それがスゴオフ。 いつもどおり、好きなをもち寄って、まったりアツく語りあってきた。今回のテーマは、「わたしが元気をもらった」。知らないに出会ったときのワクドキ感もさることながら、知ってる(かつストライク)を見せられたときの、「そうキたかーー!!」感覚にシビれた震えた濡れた勃った。 そして、「元気をもらう」ってのは、そのものに限らず「そのとの出会い方」に強くつながっているなぁ、と実感。そのとの関わり方がそのまま自分の元気に直結しているような、そういう紹介が印象的でしたな。まずは、ラインナップと全リスト(発表順)から。 【Dain】「子どもへのまなざし」佐々木 正美 【Dain】「自分の小さな箱から脱出する方法」アービンジャーインスティチュート 【Dain】「めぞん一刻(第15巻)」高橋留美子 【Dain】「SLAM DUNK(第27巻)

    「スゴ本オフ@元気をもらった本」報告
  • 時を忘れる小説

    大きな現実の前では、文学はつくづく無力だな。 そも文学は人と人との間学(あいだがく)なのだから、人を超える圧倒的な事物には、術がない。しかし、言葉が人に対して影響をもつものなら、それがいかに微かであろうとも、その力を信じる。わたしは、物語の力を、信じる。 このエントリでは、時を忘れる夢中小説、徹夜小説を選んでみた。計画停電でテレビや電車が動かないとき、開いてみるといいかも。amazonからは書影のみお借りして、リンクはしていない。自分の書棚か、営業してる屋を巡ろう。文庫で、手に入り安そうなもので、かつ面白さ鉄板モノばかり選んだ。いま手に入りにくいのであれば、手に取れるようになったときの「おたのしみリスト」として期待してくださいませ。 ■大聖堂(ケン・フォレット、ソフトバンククリエイティブ) 十二世紀のイングランドを舞台に、幾多の人々の波瀾万丈の物語……とamazon評でまとめきれないぐら

    時を忘れる小説
  • 「読書の歴史」はスゴ本

    あらゆる「を読む人」にオススメ。 賢者のライフハックから原理的な選書眼まで、「読書」にまつわる愛と気づきがぎっしり詰まっている。古今東西に及ぶ史実、逸話、伝承、研究成果などを交えて語られた「読書歴史」に類書は存在しない。隙のない全方位的展開でいながら、自らの思索と経験を語りつくしている。書の評価は、「名著」がふさわしい。読んでも読みつくせないことへの畏怖と敬意を抱きながら、読むことに対する勇気を灯してくれるスゴ。 マングウェルは「図書館 愛書家の楽園」を読んだだけだが、博覧強記が服着ているような猛者。生きてる人で比較すると、松岡正剛なみの読書家・愛書家・狂書家といっていい。そんな薀蓄大王が気張らずに語りかけてくれる。トピックが重層に張り巡らされているので、読み手の経験や年齢や嗜好に応じ、幾通りの出合いがある。わたし自身、再読のたびに発見があるだろう。だからここでは、今回の読みで出合

    「読書の歴史」はスゴ本
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    rumbaba 2011/01/17
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  • "自我"とは記憶か客観か「ECCENTRICS/エキセントリックス」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    自分を得て、自分を喪う話。謎と伏線とドンデンと「えっ?」「えっえっ?」てんこ盛りで、読むときっと読み返すこと請合う。 現実の居心地のわるさに辟易しているが、行動するのは難しい。もっとも単純な解は逃走だ。少女は家を出て、記憶を失い、別の人格を得る。当の自分を確かめるため、「自分を知っている人」から聞きだそうとするが、同時に忌まわしい過去と向き合うことになる。 このドラマは「自分とは何か」というテーマも隠しているので、答えを確かめる読みをしても愉しい。例えば、「自分とは(一貫した)記憶だ」「自分とは他者の目に映るキャラクターだ」と信じる人には、記憶喪失のヒロインが揺さぶりをかける。読者は、冒頭数ページを除き、物語の大部分を喪失後のヒロインとつきあうことになる。つまり偽の人格だ。だが、そのニセモノのほうが素直で愛らしい(かわいく描いているようにも見える)。彼女がそのキャラを喪い、来の千寿(彼

    "自我"とは記憶か客観か「ECCENTRICS/エキセントリックス」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
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    rumbaba 2010/12/20