みなさんの家と同じように我が家にも本棚に藤子F全集が並んでいる。子供は初めて読むドラえもんに夢中で、私はエスパー魔美やチンプイ、バケルくんやSF短編の面白さを何度も噛みしめている。 しかし、仕事に疲れた夜、ふと手に取るのはポコニャンだ。ポコニャンは楽しい。ポコニャンは癒しである。 ポコニャンの異質さは、ドラえもんと比較すると分かりやすい。 ドラえもんでは、多くのエピソードでまずなにか問題が起きる(起)。そこで、ひみつ道具が登場する(承)。しかし、せっかくの道具は、のび太が悪用しはじめたり、ジャイアンに奪われたりする(転)。ところが、その栄華は長続きせずに終わる(結)。短いページ数に押し込まれた物語の流れはあまりに滑らかで、愉快で、それでいて教訓が散りばめられている。 ポコニャンにはそのような難しい流れはない。まず、なにか問題が起きる。そこで、ポコニャンがポコニャンと言う。そして解決する。終