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ブックマーク / youkoseki.tumblr.com (14)

  • 2017年、ビジネスパーソンはポコニャンを読む

    みなさんの家と同じように我が家にも棚に藤子F全集が並んでいる。子供は初めて読むドラえもんに夢中で、私はエスパー魔美やチンプイ、バケルくんやSF短編の面白さを何度も噛みしめている。 しかし、仕事に疲れた夜、ふと手に取るのはポコニャンだ。ポコニャンは楽しい。ポコニャンは癒しである。 ポコニャンの異質さは、ドラえもんと比較すると分かりやすい。 ドラえもんでは、多くのエピソードでまずなにか問題が起きる(起)。そこで、ひみつ道具が登場する(承)。しかし、せっかくの道具は、のび太が悪用しはじめたり、ジャイアンに奪われたりする(転)。ところが、その栄華は長続きせずに終わる(結)。短いページ数に押し込まれた物語の流れはあまりに滑らかで、愉快で、それでいて教訓が散りばめられている。 ポコニャンにはそのような難しい流れはない。まず、なにか問題が起きる。そこで、ポコニャンがポコニャンと言う。そして解決する。終

    2017年、ビジネスパーソンはポコニャンを読む
  • なぜ神戸は最高なのだろう

    大学の先輩であるところのphaさんが、京都についての素晴らしい文章を書いていた。 とはいえ正直に言うと、私はあんまり京都が好きではない。大学生として、大学院生として、七年もの多感な時期を過ごして、街の各所にさまざまな思い出があるはずなのだけれども、京都と聞いていつも思い浮かぶのは、夏死ぬほど暑かったこと、冬死ぬほど寒かったこと、市バスに煽られながら自転車を走らせたこと、夜の河原町をヤンキーがたむろしていたこと、そういうことばかりなのだ。 私は神戸で生まれて、大学に入るまで神戸のニュータウンで育った。卒業してからは東京で生活をしている。他の街はあまり知らないけれども、自分の中で最高の街はいつも神戸だ。まあ、生まれ故郷が一番という人は多いだろう。しかし神戸人は特にその傾向が強い気がする。 phaさんが書くとおり、首都圏は鉄道網が発達していて、京都は自転車でどこでも行けた。他方、神戸は徒歩の街だ

    なぜ神戸は最高なのだろう
  • 悪いロボット

    一昨年のクリスマスにルンバを買った。共働きで忙しいへのプレゼントという体裁をとりつつ、もちろんロボット掃除機というものに対する個人的興味があったことは否めない。面白おかしく動けば十分楽しめるだろうと思っていたが、なかなかどうして毎日すごい埃を集めてくるので、嬉しいやらげっそりするやらである。 もう一つ予期しなかったルンバの効能として、齢三歳の子供が玩具を片付けるようになった。子供は、まあ玩具を床に散らかすのだが、「片付けないとルンバに吸い込まれちゃうよ!」と言うと、到底ルンバが吸い込めないような大きな玩具も慌てて片付けはじめるのである。ルンバは動作時にすごい騒音を出すので、子供は普段から恐れているようだ。 怖がっている子供には申し訳ないが、これはなかなか面白いものである。親になって思うこととして、片方では子供を厳しくしつけたい、ちゃんと物事の良し悪しの分かる大人になって欲しい、と思ってい

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  • Googleが東大院生を15万ドルで「青田買い」することについて

    グーグル:東大で「青田買い」 AI技術流出に日危機感』という毎日新聞の記事を読んだ。 私はGoogleの人事・給与体系についてなにも知らないし、人工知能を研究する東大の院生に15万ドルの給与を提示したという話の真偽も分からない。ただ、私は事実であって欲しいと思うし、このような話がもっと増えて欲しいとさえ思う。幾つか感じるところがあったので書いておく。 人は買うものである まず、Googleはバカではないし、院生相手に慈善事業をやっているわけではない。15万ドルの給与を出すということは、少なくともその人から40万ドル/年程度のリターンが中長期的に期待できると考えているのだろう。それだけ人工知能Googleにとって重要なトピックということであり、5万ドルの人間を3人集めても替わりにはならないということだ。やるべきことがあり、できる人がいるのであれば、それを買うのは当然である。 記事中にも

    Googleが東大院生を15万ドルで「青田買い」することについて
  • インターネット先生の次回作にご期待ください

    インターネットが向かう先は、いつか人は身体から自由になれるとか、精神がデジタルと融合するとか、そういう方向だと思ってたので、シリコンバレーやら渋谷やらに集って、コネと人脈がなにより重要で、人と話して旅に出ないと分からないこともある的な昨今のアナログ回帰はほんとうにガッカリ。 November 23, 2014140文字で書けたことをわざわざ長文に書き直すのですが。 十代後半の私がインターネットに繋がったころ、というのはもう18、19年くらい前になるわけですけど、今はなきインターネットマガジンで、これからは地方の時代、みたいな特集があったはずなんです。探しても見つからないけど。 だってインターネット、すごいでしょう。電子メールがあれば仕事でもプライベートでも誰とでもやりとりできるし、ネット通販で物も買えちゃうし、面白いウェブページはたくさんあるし、もうわざわざ都会に出ていく必要なんてないとい

    インターネット先生の次回作にご期待ください
  • 翻訳:夢の仕事をやめるということ

    “I wanted to work at Apple really bad, and now not so much. - Walking out on my dream job.” というアップルを一月で辞めた人の記事を勝手に翻訳したので掲載します。 もともとは別のところで翻訳を見つけた知った記事なのですが、これがそう明記されていないにも関わらず抄訳になっており、また意訳が多くて原文が持っていたニュアンスがかなり失われて「人気企業に入ったけど大変でした」で終わっているため、ちゃんと全訳すべきではないかと思った次第です。 あらかじめ断ると、私は(人も自覚している通り)この著者の態度が良いものだったとは思いません。それでも、働くということについて、幾つかの示唆が含まれる文章だと思いました。 アップルで滅茶苦茶働きたかったけど、今はそうじゃない 夢の仕事をやめるということ 何年ものあいだ、様

    翻訳:夢の仕事をやめるということ
  • ヘイターというビジネス

    情報発信ビジネスの民主化 インターネットが情報検索や情報発信の手段を変えたことに疑いの余地はありませんが、またインターネットが情報によって稼ぐ手段を変えたことも確かでしょう。ブログなどを利用すれば今や誰でも情報を簡単に発信できますし、その上でGoogle AdSenseや各種のアフィリエイトプログラムを活用することで簡単に稼ぐことができます。 たとえばマスメディアの時代ではテレビや雑誌で「社畜と家畜の共通点」というような他愛のない与太話を披露する機会があったとして、その結果、仕事を干されれば終わりです。しかしネットメディアの時代では書き手のモラル次第で飽きるまでそのような与太話を続けることができますし、PVがついてこようものなら、それをビジネスとして継続することさえできます。 もちろん手段があったところで、実際に金を稼ぐというのはなんにしても簡単なことではありません。それでもブログとアフィ

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  • 電子出版のススメ:Kindle Direct Publishing体験記

    Kindle Direct Publishingも日上陸 アマゾンの電子書籍サービス、Kindleがようやく日に上陸した。そして間を置かずに、Kindle Direct Publishingも日で開始された。Kindle端末とキンドルストアについては「まもなく日上陸」という報道が何度となく繰り返されてきたから、遂にやって来たという感じだろう。でも、Kindle Direct Publishingまでこうして一緒にはじまるとは思っていなかった。 Kindle Direct Publishingは電子書籍の自費出版サービスだ。いや、自費出版というのは語弊があるかもしれない。いわゆる自費出版は、数十万円から時に数百万円というお金を持ち出して、数百数千のを作って売るという、文字通り自分のお金ではじめる出版のことである。 一方、Kindle Direct Publishingは、データの入

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  • マシなインターネットを作る:malaさんインタビュー

    こんにちは。今回はmalaさんのインタビューをお届けします。 malaさんはNHN Japanのエンジニアとして多くのウェブサービスの設計に関わるだけでなく、セキュリティやプライバシの観点から見たアーキテクチャについて、ブログでさまざまな情報や問題提起を発信されています。 特に昨年末に公開されたブログ記事「はてな使ったら負けかなと思っている2011」は、インターネットはどこへ行くかという私のもやっとした問題意識にピッタリとハマる素晴らしい文章でした。あの記事を読んで、これはぜひ一度お会いして、インターネットの現状やエンジニアの役割について、お話を聞いてみたい、と思ったのが今回の企画の発端です。未読の方は、まずそちらからどうぞ。 なお、インタビューは三月末に行われました。無職期間中に公開する予定で、ずいぶん時間がかかってしまいました。文中、私の所属する企業の話も出てきますが、例によってここは

    マシなインターネットを作る:malaさんインタビュー
  • Facebookに転職しました

    音楽性の違いから昨年より転職活動をはじめたところ、Facebookに採用されましたので、3月いっぱいで三菱総合研究所を退職しました。在職中は多くの方々にたいへんお世話になりました。まだあまり実感が湧きませんが、今週から社のMenlo Parkで研修がはじまっており、私も正式な社員となったはずです。 Facebookは噂に聞いていたとおり、ゴハンもレッドブルもタダだとか、会議室の名前が変だとか、支給されたのがMacBook Airだったとか(人によって異なるようです)、色々と面白いのですが、そうした細々としたことより何より、いい環境でいい仕事をして世の中を良くしようぜ! というまっすぐな姿勢に元来皮肉屋の私は一番驚きました。 なにぶん大勢の人が利用するサービスですので、不安や誤解を招きがちではありますが、機会があれば、研究員という出自をうまく生かして、中立的な視点を保ちつつFacebook

    Facebookに転職しました
  • ネオニートのつくりかた:phaさんインタビュー

    あけましておめでとうございます。 ブログでは、これまで主にインターネット界隈のトレンドに対する論考を掲載してきました。今年、2012年の新しい試みとして、従来の論考に加え、ときどきインタビューを掲載しようと考えています。私が面白いと思う人に声をかけて、私が聞きたいことを質問し、その内容を載せるという単純な企画です。なぜインタビューなのか、という点については機会があれば説明したいと思います。 インタビュー第一弾は、ネオニートphaさんにお願いしました。phaさんはニートとしてテレビや雑誌に取り上げられる傍ら、ギークハウスと呼ばれるルームシェア企画を立ち上げたり、ブログや雑誌などに独特の社会観のある文章を書いたりしています。 ちなみに私にとってphaさんは京大時代の先輩で、かつて熊野寮という大学寮で一緒に麻雀をやった仲です(追記:あ、私は寮に入り浸っていただけで、寮生ではありません)。イン

    ネオニートのつくりかた:phaさんインタビュー
  • Siriの誕生をめぐる話、あるいは米国民の税金が音声エージェントに化けた件

    概要:iPhone 4Sの音声エージェントSiriは、イノベーションがどうやって生まれるかを考える格好の事例である。この記事ではSiriの出自を遡りながら、基礎研究の重要性を考える。 アップルの新作iPhone 4Sは、名前どおりiPhone 4からそれほど変化がない。デザインはほぼ同じだし、プロセッサやカメラは高性能になったが、もともと貧弱だったわけでもない。だからiPhone 4Sの話題が、新機能の音声エージェントSiriに集まるのは、ある意味で当然と言える。 アップルが音声で操作できる「電子秘書」(エージェント)をiPhoneに組み込むらしい、という予測は以前からあった。理由は簡単で、アップルが2008年8月にエージェント開発企業を買収していたからだ。その企業は名前をSiriといい、SiriというiPhoneアプリを2010年2月から提供していた。当時の動画を見れば、現在のSiriの

    Siriの誕生をめぐる話、あるいは米国民の税金が音声エージェントに化けた件
  • 電子書籍戦争は終結、本はアマゾンのものになった

    概要:アマゾンが発表した新しいKindleは79ドルという価格攻勢により電子書籍端末の決定版となった。アマゾンが電子書籍市場を支配することで、読者、出版社、書き手のあり方はまったく異なるものとなっていく。 79ドルのインパクト: ここ数年続いた電子書籍をめぐる狂想曲は、完全に終わった。終わりを告げたのは、始まりを告げたのと同じ、アマゾンだった。9月28日に開催されたアマゾンのKindle発表会は、そう確信するに十分な内容であった。 アマゾンが最初に電子書籍端末Kindleを発表したのは2007年11月のことだ。初代Kindleは白黒のE Inkディスプレイ、やぼったいデザイン、電子書籍に対応するだけの単機能性、399ドルといった価格で、売れるはずもないという批判も多かった。しかし実際は発売当初から売り切れの続く人気製品だった。もっとも、ハードカバーならば何十ドルもする書籍が電子書籍なら9.

    電子書籍戦争は終結、本はアマゾンのものになった
  • TechCrunchでなにが起きているか

    この記事の位置付け: TechCrunch JAPANにとつぜん「TechCrunchが根的に(悪い方向へ)変わるかもしれない」という記事が掲載されて、いったいなにが起きているのかさっぱり分からない人のための(暫定)まとめ。(この記事は2011年9月7日の朝に書かれた。そのあと末尾に追記を加えている) 前提: TechCrunchは米国を代表するIT&ベンチャーブログ。創業者&編集長はMichael Arrington。2010年9月、AOLに買収されたが、Michael Arrington体制は変わっていない。AOLは他にもEngadgetやHuffington Postなどのコンテンツメディアを買収・所有しており、コンテンツメディア部門の長はHuffington Postの創業者、Arianna Huffingtonである。ちなみにAOLがHuffington Postを買収したのは

    TechCrunchでなにが起きているか
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