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吉本隆明 書籍の検索結果1 - 40 件 / 52件

  • 民俗学っぽいマンガとは何か ——民俗学者が出てくるマンガまとめ - 猫は太陽の夢を見るか:番外地

    しかし、世間では「妖怪は民俗学が扱うものだ」と考えるのがどうも一般的な捉え方のようです。翻って、「民俗学は妖怪を研究する学問だ」と考えている人までいるようです。 これは、明らかな誤解というよりありません。 (京極夏彦『文庫版 妖怪の理 妖怪の檻』角川文庫、角川書店、2011年、32頁) 「独断と偏見で選ぶ〝民俗学っぽいマンガ〟」を選ぶために このように思ったことはないだろうか。 「ホラーとかオカルト系のマンガって、たいてい民俗学者っぽいキャラが出てくるよね」 わかる。 でもじゃあ、実際、民俗学者が出てくるマンガってどんなものがあって、それってどれくらいあるのだろうか? そもそも、ホラーとかオカルトとか伝奇とか妖怪とかのマンガには、どうしてよく民俗学者が出てくるのだろうか? しかし、その問いに答えることは、実は容易ではない。 なぜか。 たとえば、考古学には、櫻井準也『考古学とポピュラー・カル

      民俗学っぽいマンガとは何か ——民俗学者が出てくるマンガまとめ - 猫は太陽の夢を見るか:番外地
    • 大塚英志が語る、日本の大衆文化の通史を描く意義 「はみ出し者こそが権力に吸収されやすい」

      太平記から漫画、模型、アニメ、ボーカロイドまで、日本の大衆文化の通史を一冊の本で描き切った日文研大衆文化研究プロジェクトによる書籍『日本大衆文化史』(KADOKAWA)。 大塚英志氏 この本では、漫画の鳥獣戯画起源論など、現代の日本文化が中世や近世にルーツを持つとする説は、戦時下に政治的に必要とされて「創られた伝統」だと退けた上で、それとは別に一貫して存在してきた運動を描いていく。 「お約束」や共通前提(歌舞伎でいう「世界」)を踏まえながら新要素(同じく歌舞伎でいう「趣向」)を入れて作品が生み出されていくという、二次創作的とも言える仕組みこそが「文化」であり、それは有象無象の大衆=民俗学者の柳田國男がいう「群れとしての作者」が担ってきた、という見立てのもとで見えてきた「日本」「大衆」文化史の姿とは――主筆を務めた国際日本文化研究センター教授・大塚英志氏に訊いた。 『日本大衆文化史』は通史を

        大塚英志が語る、日本の大衆文化の通史を描く意義 「はみ出し者こそが権力に吸収されやすい」
      • 特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー後編「この日本という国では『やめる』という決定を誰もできない。撤退ができない国なんです」|じんぶん堂

        記事:平凡社 坂本龍一さん(2013年5月撮影) 撮影:榎本佳嗣 書籍情報はこちら 【前編はこちらから】特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー前編「音楽の大きなテーマは、亡くなった者を悼むということ」 震災のことは、一日も忘れたことはない ――東日本大震災からすこし時間が経って(インタビュー時は2013年)、社会が平熱に戻った感じがします。被災地では、被災地だからこそ「ようやく震災や原発のことは考えず穏やかに過ごせる時間が増えた」という方もいるようですね。 坂本:うーん……。僕は、忘れるという感じはまったくありません。 ――時間が経つにつれて、ふだんの暮らしと「変えていかなくちゃ」という気持ちとをどう両立させていくのかが大切なテーマだと考えるようになってきました。安倍政権に代わってから「原発を動かそう」というムードが強まっていますよね。けれど「どんなふうに暮らしていけば、おなじことを二度

          特別公開:坂本龍一さん3万字インタビュー後編「この日本という国では『やめる』という決定を誰もできない。撤退ができない国なんです」|じんぶん堂
        • タイアップ記事なんて、なくなればいい|JAZZ CITY|note

          ViViと自民党。元凶はタイアップ文化?講談社のWeb版ViViと自民党が制作したPR記事がちょっと話題になりました。事の詳細をここで書くのはもう面倒なのでここにリンクを貼って置くだけにして省略しますが(ファッション誌「ViVi 」の自民党コラボ企画が物議、シンボルマーク入りTシャツに意見も/ FASHION SNAP .COM)、私は、あれを制作したViViサイドの人たちはそれなりに抵抗したんじゃないかなと思っています。何よりもあのダサいTシャツがそれを物語っていると思います。 誰もが認めるあのダサさをViVi サイドも気づかないはずがないと思います。 インスタグラムの反応をみてもまったく盛り上がっていないですし、インスタのViVi公式アカウントに至っては自民党Tシャツキャンペーンを完全にスルーしています。ViViサイドには今回のプロモーションを積極的にプッシュしようという意気込みが感じ

            タイアップ記事なんて、なくなればいい|JAZZ CITY|note
          • 人生を振り返ることについて:私の謎 柄谷行人回想録①|じんぶん堂

            記事:じんぶん堂企画室 批評家・思想家の柄谷行人さんは、多摩丘陵の自然のなかで暮らしている 書籍情報はこちら ――常々「忘れっぽい」「書いたら忘れる」と公言されている柄谷さんに、生まれてから現在までのこと、まだ書いていないことをお聞きしておきたいということで、連続インタビューをお願いしました。実は、『世界史の構造』(岩波書店)が2010年に刊行された後、朝日新聞から同じようなお話を頼んだときは、結局お断りになったと聞いています。 柄谷 最初はやってもいいかなと思ったんですよ。でも、回顧には関心がないし、まだこれからやろうとしているのにと、考えが変わった。『世界史の構造』を書いてすぐは、「これで終わり」という感じもあった。だけど、違ってたね(笑) ――まだ自分の仕事は終わらない、半生を振り返るのはまだ早いという気持ちになったわけですね。 柄谷 そうです。そういう意味では、今も難しい。だけど、

              人生を振り返ることについて:私の謎 柄谷行人回想録①|じんぶん堂
            • 大塚英志が語る、日本の大衆文化の通史を描く意義 「はみ出し者こそが権力に吸収されやすい」(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース

              太平記から漫画、模型、アニメ、ボーカロイドまで、日本の大衆文化の通史を一冊の本で描き切った日文研大衆文化研究プロジェクトによる書籍『日本大衆文化史』(KADOKAWA)。 大塚英志 この本では、漫画の鳥獣戯画起源論など、現代の日本文化が中世や近世にルーツを持つとする説は、戦時下に政治的に必要とされて「創られた伝統」だと退けた上で、それとは別に一貫して存在してきた運動を描いていく。 「お約束」や共通前提(歌舞伎でいう「世界」)を踏まえながら新要素(同じく歌舞伎でいう「趣向」)を入れて作品が生み出されていくという、二次創作的とも言える仕組みこそが「文化」であり、それは有象無象の大衆=民俗学者の柳田國男がいう「群れとしての作者」が担ってきた、という見立てのもとで見えてきた「日本」「大衆」文化史の姿とは――主筆を務めた国際日本文化研究センター教授・大塚英志氏に訊いた。 ■『日本大衆文化史』は通史を

                大塚英志が語る、日本の大衆文化の通史を描く意義 「はみ出し者こそが権力に吸収されやすい」(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース
              • 人が集まる群衆と群衆化される事によって群れる人に起こる群集心理への変化 ~具体的に集まった人々の集団とは異なる、群集心理を持つ現象へと変貌した我を忘れた群れる人【ル・ボン『群衆心理』】  - 日々是〆〆吟味

                人々の集まりとしての群衆と、群衆化することにより変化する群衆心理 ~人が直接集まってなくても群衆なの?群衆の問題は人が群れ集まることよりも、それにより変化する心理が問題だ、ということらしい 群衆とは具体的に集まった人々のことだろうか? 【オルテガ『大衆の反逆』】 【ル・ボン『群衆心理』】 ただ人が集まった群衆という形ではなく、群衆となることによって起こる心理の変化(=群衆心理)が問題だ 国民単位で影響を与えるものと広告/宣伝と群衆化 【吉本隆明『共同幻想論』】 フィクション/メディアによって作り上げられもする人々の意識 【ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』】 【ホブズボーム『創られた伝統』】 【ヘーゲル『精神現象学』】 群衆心理の応用としての広告/宣伝による群衆化の個人的仮説 【ベルンシュタイン『社会主義の諸前提と社会民主主義の任務』】 【ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』】

                  人が集まる群衆と群衆化される事によって群れる人に起こる群集心理への変化 ~具体的に集まった人々の集団とは異なる、群集心理を持つ現象へと変貌した我を忘れた群れる人【ル・ボン『群衆心理』】  - 日々是〆〆吟味
                • 大島渚監督が生前愛読した蔵書約300冊、「大島渚文庫」としてシェア型書店「猫の本棚」に展示 : 映画ニュース - 映画.com

                  ホーム > 映画ニュース > 2022年5月1日 > 大島渚監督が生前愛読した蔵書約300冊、「大島渚文庫」としてシェア型書店「猫の本棚」に展示 大島渚監督が生前愛読した蔵書約300冊、「大島渚文庫」としてシェア型書店「猫の本棚」に展示 2022年5月1日 14:00 蔵書300冊が展示!「戦場のメリークリスマス」や「愛のコリーダ」などで国際的評価を集めた、日本映画界を代表する巨匠・大島渚監督が生前愛読した膨大な蔵書の一部を、「大島渚文庫」として東京・神保町のシェア型書店「猫の本棚」で展示することが明らかになった。 1月20日に開業した「猫の本棚」は、クラシックな映画館のようなルックの隠れ家的なシェア型書店。同店には約30×35センチのスタイリッシュな書棚が170棚用意されており、棚主がひと棚ごとの“店長”となり、思い思いの「書店」を“店主”として体験することができる仕組みになっている。

                    大島渚監督が生前愛読した蔵書約300冊、「大島渚文庫」としてシェア型書店「猫の本棚」に展示 : 映画ニュース - 映画.com
                  • 第5回 大衆としてのネット右翼

                    左翼が本来持っていたダイナミズムが失われて久しい。いまや自壊した左翼は「大同団結」を唱え、そのための合言葉を探すだけの存在になってしまった。怠惰な団結をきれいに分離し、硬直した知性に見切りをつけ、横断的なつながりを模索すること。革命の精神を見失った左翼に代わって、別の左翼(オルタナレフト)を生み出すこと。それがヘイト、分断、格差にまみれた世界に生きる我々の急務ではないか。いま起きているあまたの政治的、思想的、社会的事象から、あたらしい左翼の可能性をさぐる連載評論。 「大衆の原像」という吉本隆明の図式はいまこそ有効である。フェミニズムや歴史修正主義において、知識人がいくら言葉を尽くしても理解をえられないのは、知のあり方が異なるからである。 日本では市民社会の考えが独自のかたちで受容され、「規範的理念としての「市民社会」」が成立したことは知られている[1]。吉本隆明にとって丸山真男はそのような

                      第5回 大衆としてのネット右翼
                    • 「文學界」編集長・丹羽健介が語る、実験場としての雑誌 「文芸誌は絶えず変わっていく文学の最前線」

                      文藝春秋が発行する純文学の文芸誌「文學界」は、2021年2月号で創刊一〇〇〇号を迎えた。後に芥川賞を受賞した又吉直樹『火花』を掲載した2015年2月号が初の増刷となって以後、最近では「JAZZ×文学」特集の2020年11月号、哲学者の國分功一郎とお笑い芸人の若林正恭(オードリー)の対談を掲載した最新の2021年3月号などが増刷となるなど、たびたび注目を浴びている。また、名物コーナーといえる新人小説月評は、率直な寸評が書かれることで知られ、最近も話題になっている。2019年7月より編集長を務める丹羽健介氏に同誌について聞いた。(2月10日収録/円堂都司昭) “あらゆるものの中に文学がある”という教え ――文藝春秋に入社されたのは1994年。最初から出版社志望だったんですか。 丹羽:漠然とマスコミ志望でしたが、本が一番好きだったので。音楽も好きでしたからレコード会社も考えなくはなかったのですが

                        「文學界」編集長・丹羽健介が語る、実験場としての雑誌 「文芸誌は絶えず変わっていく文学の最前線」
                      • 出版状況クロニクル175(2022年11月1日~11月30日) - 出版・読書メモランダム

                        22年10月の書籍雑誌推定販売金額は845億円で、前年比7.5%減。 書籍は484億円で、同5.9%減。 雑誌は360億円で、同9.7%減。 雑誌の内訳は月刊誌が296億円で、同10.8%減、週刊誌は64億円で、同4.3%減。 返品率は書籍が34.1%、雑誌は43.8%で、月刊誌は43.4%、週刊誌は45.5%。 8、9月に比べてマイナス幅が大きくなってきていることからすれば、 20年、21年の書籍推定販売金額よりも22年の大幅な減が予測される そのような出版状況の中で、22年の最後の月へと入っていく。 1.『出版月報』(10月号)が特集「出版物の価格を考える」を組んでいる。 出版科学研究所の水野敦史による時宜を得た好企画で、各種グラフと表も併せて「出版物の価格」の推移と出版、社会状況をトレースしている。 そのうちの総務省「家計調査(二人以上の世帯)」に基づく「消費支出と品目別支出額の推移

                          出版状況クロニクル175(2022年11月1日~11月30日) - 出版・読書メモランダム
                        • ALL REVIEWSプロデューサー・由井緑郎氏に聞く「メディアビジネスとしての書評サイト」 - Media × Tech

                          ALL REVIEWSプロデューサー 由井緑郎氏 読書好きから人気の「ALL REVIEWS」は、国内の著名書評家・著述家の書評が無料で読めるウェブメディアだ。フランス文学者として名高い鹿島茂氏が立ち上げ、鹿島氏に賛同した書評家・著述家がこれまでに発表した書評が集まっていることが特徴。この書評をきっかけに、過去の既刊行本を購入するユーザーも多いという。2019年にはコミュニティ「ALL REVIEWS 友の会」や、運営に関われるボランティア組織も立ち上げ、自ら運営に関わる積極的なファンも獲得している。そんなALL REVIEWSが、メディアビジネスのなかでも、書評という分野に挑んだのはなぜなのか。ALL REVIEWSプロデューサーの由井緑郎(ゆい・ろくろう)氏に聞いた。 ■一流書評家たちの書評を無料で楽しめるALL REVIEWS 「活字離れが進んでいる」といわれて久しい近年だが、そうし

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                          • 表現の自由守り半世紀 自主流通本扱う新宿の書店「模索舎」:東京新聞 TOKYO Web

                            自主流通のミニコミや団体の機関紙など一般の書店では手に入りにくい品をそろえる新宿の書店「模索舎」が10月、創業50周年を迎える。1970年代、学生運動に情熱を傾けた大学生らが設立した書店は、運営スタッフが世代交代しながら、「表現の自由」「流通の自由」を守り続けている。 JR新宿駅から甲州街道沿いに東へ十分ほど歩くと、新宿二丁目のビルの一階に模索舎が見えてくる。ペンキのはがれかかった板張りの外壁に黒ずんだ木製の扉と看板、上に掲げられたランプが昭和の趣をそのままに残す。 店内は十坪ほど。左右の棚には詩人の吉本隆明さんら著名人の書籍もあるが、多くは出版取次会社を通さない自主流通本だ。サブカルチャーやLGBT、宗教などあらゆるジャンルを網羅。ミニコミ専用の棚も設けている。奥のコーナーには新左翼、新右翼など思想を問わず、各種団体の機関紙が所狭しと並ぶ。販売依頼で持ち込まれた本は原則無審査。十一年前か

                              表現の自由守り半世紀 自主流通本扱う新宿の書店「模索舎」:東京新聞 TOKYO Web
                            • 出版状況クロニクル189(2024年1月1日~1月31日) - 出版・読書メモランダム

                              23年12月の書籍雑誌推定販売金額は887億円で、前年比8.9%減。 書籍は483億円で、同7.5%減。 雑誌は404億円で、同10.0%減。 雑誌の内訳は月刊誌が354億円で、同8.8%減、週刊誌は50億円で、同17.9%減。 返品率は書籍が29.1%、雑誌が40.3%で、月刊誌は38.5%、週刊誌は50.4%。 週刊誌はマイナスと返品率が最悪な状況になっている。 おそらく24年は月刊誌はいうまでもなく、週刊誌の休刊も続出するであろう。 1.出版科学研究所による1996年から2023年にかけての出版物推定販売金額を示す。 ■出版物推定販売金額(億円) 年書籍雑誌合計 金額前年比(%)金額前年比(%)金額前年比(%) 199610,9314.415,6331.326,5642.6 199710,730▲1.815,6440.126,374▲0.7 199810,100▲5.915,315▲

                                出版状況クロニクル189(2024年1月1日~1月31日) - 出版・読書メモランダム
                              • リベラルからラジカルへ──コロナ時代に政治的自由は可能なのか(1)|外山恒一+東浩紀

                                2020年5月25日、コロナウィルスの流行にともなう緊急事態宣言が全国で解除されました。東京では街にひとの姿が戻り「自粛明け」ムードが強くなる一方、本日6月2日には都内で30人を超える新たな感染者が確認され、小池百合子都知事による「東京アラート」の発動が検討されています。 そうした日々流動する情勢のなかで、人々の自由はどのように担保されるのでしょうか。ゲンロンカフェでは5月10日、革命家の外山恒一氏をお招きし、東浩紀との対談を放送しました。ほとんど同世代でありながら、これまで「パラレルワールド」を生きるように交わらなかったという外山氏と東。そのふたりの対談が実現したのは、コロナ禍における監視社会の進行に対して、共通して強い危機感を抱いていたからでした。なぜ「リベラル」は、自由をみずから放棄する行動を取ってしまったのか。そしてコロナ禍以降、言論人のあり方はどのように変わるべきなのか。人間にと

                                  リベラルからラジカルへ──コロナ時代に政治的自由は可能なのか(1)|外山恒一+東浩紀
                                • これからの「吉本隆明」の話をしよう | 先崎彰容×宇野常寛 | 遅いインターネット

                                  「戦後最大の思想家」と呼ばれながらも、今日においてはほとんど読み返されることのない吉本隆明──。しかし、その仕事は今日の情報社会でこそ参照されるべきである。 日本思想史が専門の先崎彰容さんと宇野常寛が、吉本隆明の再読を通して現代の個人と資本主義の問題、国家と民主主義の問題、そして土地と身体の問題まで話しました。 『共同幻想論』の可能性の中心 宇野 2020年7月、先崎さんがNHKの「100分de名著」で吉本隆明の『共同幻想論』(1968年)を解説されていたわけですが、ちょうど僕もその数ヶ月前に刊行された『遅いインターネット』でも吉本を取り上げていたので、とても勉強になりました。先崎さんは番組の中で、今日の情報社会における個のあり方と、当時の吉本隆明の問題意識にリンクするものを感じて、その観点から吉本隆明の再読を試みたと述べられていましたが、その視点は僕の『遅いインターネット』での試みと、と

                                  • 京都の個性派書店「三月書房」年内に廃業 70歳店主「私が元気なうちに片付けたい」|社会|地域のニュース|京都新聞 ON BUSINESS

                                    個性的な品ぞろえで本好きや研究者らにファンが多い三月書房(京都市中京区)が年内に廃業することが17日、分かった。店主が高齢で、後継者もいないことが理由という。 同書房は、同区寺町通二条上ルで1950年に創業。文学や歴史、美術や哲学など、店主が客層を考えて選んだ書籍が並び、新刊書店でありながら古書店のような商品構成で本好きに根強い人気がある。思想家の吉本隆明さんらが訪れたことでも知られる。 店主の宍戸立夫さん(70)は「出版不況とは関係なく、私が元気なうちに片付けたいと少しずつ閉店準備を進めてきた。息子3人はそれぞれ仕事をしており、先行き暗い業界で(店を)やらないかとは言えない」と理由を語った。店は早ければ5月中にも閉め、インターネットの通信販売も年内で終了する。

                                      京都の個性派書店「三月書房」年内に廃業 70歳店主「私が元気なうちに片付けたい」|社会|地域のニュース|京都新聞 ON BUSINESS
                                    • 小田原のどか×山本浩貴 対談「この国(ルビ:近代日本)の芸術をめぐって」公開

                                      共同編集のきっかけ——飯山由貴《In-Mates》をめぐって 小田原: 山本さんに日本美術史と帝国主義についての教科書ともなるような論集を一緒につくりませんかとご相談をしたのは、2021年7月のことです。きっかけのひとつは、国際交流基金が主催するオンライン展覧会「距離をめぐる11の物語:日本の現代美術」(会期:2021年3月30日~5月5日)に際して制作された飯山由貴さんの映像作品《In-Mates》が、基金側から一方的に展示中止の判断が下されたことでした(「国際交流基金が中止判断/在日精神病患者に関する映像作品」朝鮮新報サイト、2021年9月21日、https://chosonsinbo.com/jp/2021/09/18-49top-2/)。 飯山由貴《In-Mates オンライン公開版》 2021年 映像 26分47秒 これについては、抗議の意味合いも兼ねて、7月に東京大学でシンポジ

                                        小田原のどか×山本浩貴 対談「この国(ルビ:近代日本)の芸術をめぐって」公開
                                      • 「おりる」ということ――渡辺京二の方法意識について - king-biscuit WORKS

                                        ――ひとりひとりの個の生は、こういう私化された小さな小宇宙の複合体であり、その複合体を鞏固な統一物と見せかけているものがもろもろの文化的観念的構築なのである。そして思想とは文学とはつねに、個的な日常の規定から、そのうえにそびえ立つ文化的観念的構築を批判するいとなみである。*1 ――もちろん、思想的抽象の一定レベルでは、このような〈地方〉をサイクルとする一生も、〈都〉で過される現代風な勤め人の一生も、その包含する意味は全く等価でしかない。だが、少なくともここには視圏にかかわる想像力の問題が生じるはずである。陸を走る動物と海にひそむ生きものとが、世界をおなじふうに見ているはずがないように、都で一生を過す人間と、田舎で一生を終える人間に、世界がおなじものに見えているはずはない。 *2 ――闇から闇に流れる流星のような人生もあれば、いつ生まれ死んだともわからぬ苔のような人生もある。 *3 ● “最

                                          「おりる」ということ――渡辺京二の方法意識について - king-biscuit WORKS
                                        • ド・マン、デリダと語り合った日々:私の謎 柄谷行人回想録⑪|じんぶん堂

                                          記事:じんぶん堂企画室 ポール・ド・マン(左端)と柄谷さん(右)。中央は、作家の冥王まさ子さん。イェール大学近くのカフェの前で。「78年だと思う。同席していたデリダが撮影したんじゃないか」と柄谷さん=パトリシア・ド・マンさん提供 書籍情報はこちら ――ポール・ド・マン(1919~83)との関わりについて、もう少し聞かせてください。ド・マンは、フランスの哲学者ジャック・デリダ(1930~2004)の“脱構築”を文学批評に展開してイェール学派の中心人物としてアメリカの文学界で大きな影響力を持つようになりますが、柄谷さんが渡米した1975年時点の実感としては、どうでしたか。 柄谷 まだイェールでも知る人ぞ知る存在ですよ。アメリカ国内で知られるようになっていくのは、80年前後じゃないですかね。僕は名前も知らなかった。だから、ド・マンに認められてうれしかったというのも、彼が有名だからとか何とかいうよ

                                            ド・マン、デリダと語り合った日々:私の謎 柄谷行人回想録⑪|じんぶん堂
                                          • 出版状況クロニクル148(2020年8月1日~8月31日) - 出版・読書メモランダム

                                            20年7月の書籍雑誌推定販売金額は929億円で、前年比2.8%減。 書籍は447億円で、同7.0%減。 雑誌は481億円で、同1.4%増。 その内訳は月刊誌が405億円で、同5.7%増、週刊誌は76億円で、同16.5%減。 返品率は書籍が40.2%、雑誌は37.5%で、月刊誌は36.6%、週刊誌は41.9%。 月刊誌の増加は前月と同じくコミックの貢献で、『鬼滅の刃』(集英社)21巻の初版が300万部刊行されたことによっている。 まさに今月だけでなく、今年は『鬼滅の刃』様々であるけれど、いつまで続くのか。そして来年も同じようにヒットするコミックが生まれるかどうか、『SPY×FAMILY』(集英社)がそのヒット作にまで育つだろうか。 1.『日経MJ』(8/5)の「第48回日本の専門店調査」が出された。 そのうちの「書籍・文具売上高ランキング」を示す。 ■ 書籍・文具売上高ランキング 順位会社名

                                            • 僕たちはコロナ禍から何を持ち帰るべきか | 茂木健一郎×宇野常寛 | 遅いインターネット

                                              茂木健一郎さんと、久々にじっくり話しました。(そんなつもりはなかったけど)結果的にコロナ禍の時代とシンクロしてしまった『遅いインターネット』の脳科学的な掘り下げを出発点に、身体と情報のつながり方の問題や、戦後思想のあたらしい受け止め方、それにこれからの世界のゆく先など、射程の長い対話ができたと思います。ぜひ、何かのヒントを持ち帰ってください。 本記事をはじめ、「遅いインターネット」ではコロナ禍が浮き彫りにした社会や生活の課題をめぐって、様々な観点から特集しています。 コロナ禍と『遅いインターネット』の同時代的共振 茂木 宇野さんの『遅いインターネット』を読んで、すごく感銘を受けたんですよ。この本では、まさに新型コロナウイルスで明らかになった世界の変化について、とても明晰に語られてるじゃないですか。でも、出たのが2月だから、書いてたときには新型コロナウイルスの話はほとんど知られてなかった頃で

                                                僕たちはコロナ禍から何を持ち帰るべきか | 茂木健一郎×宇野常寛 | 遅いインターネット
                                              • 『土偶を読む』はどうメディアで取り上げられてきたか――『土偶を読むを読む』編集余滴

                                                文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社 日本語・日本文学の研究書を中心に、人文学書全般を刊行する出版社、文学通信のブログ。 文学だけにこだわらず周辺領域も含め、意欲的に刊行していきます。 出版活動と同様に、webでも積極的に活動することで、多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出していきたいと思います。 〒113-0022 東京都文京区千駄木2-31-3 サンウッド文京千駄木フラッツ1階101 電話03-5939-9027 FAX03-5939-9094 info@bungaku-report.com インボイス登録番号:T4011501023591 まもなく刊行する『土偶を読むを読む』。本書編集過程で、『土偶を読む』がどうメディアに取り上げられてきたか、記事を時系列でリスト化することを試みていた。時系列にすることで、何か見えてくることもあるかもしれないとい

                                                  『土偶を読む』はどうメディアで取り上げられてきたか――『土偶を読むを読む』編集余滴
                                                • 文学は永遠だと思っていた新人批評家時代:私の謎 柄谷行人回想録⑨|じんぶん堂

                                                  記事:じんぶん堂企画室 批評家として活動を始めた頃の柄谷さん=本人提供 書籍情報はこちら ――1969年6月号の「群像」(講談社)に「〈意識〉と〈自然〉――漱石試論」が群像新人賞受賞作として掲載され、本格的に文芸批評家としての活動に入りますよね。ここからの数年間はいわゆる文芸批評をたくさん書かれています。1972年の第1評論集『畏怖する人間』には、「漱石試論」をはじめ1969年から1972年に発表された評論が収録されていますが、年譜によると受賞後最初に発表したのは、「群像」69年11月号の「江藤淳論」でした。江藤さんはどんな存在でしたか? 柄谷 やはり、批評家としていい仕事をしている先行者、という感じですね。僕はそれ以前に五月祭賞に応募した「思想はいかに可能か」で、吉本隆明、三島由紀夫、江藤淳の3人を、思想の基本的なあり方として示したんだけど、それくらい大きな存在として捉えていたのは確かで

                                                    文学は永遠だと思っていた新人批評家時代:私の謎 柄谷行人回想録⑨|じんぶん堂
                                                  • 20/7/19 倫理は永井均しか勝たない - LWのサイゼリヤ

                                                    ・倫理学を齧った感想 153.倫理学について語って欲しい(出来ればLWさんのおすすめ本も教えて欲しい) 最近読んだ倫理学の本はこのあたりです。 プレップ倫理学 (プレップシリーズ) 作者:柘植 尚則 発売日: 2010/08/01 メディア: 単行本 メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える 作者:岳詩, 佐藤 発売日: 2017/08/31 メディア: 単行本 動物からの倫理学入門 作者:伊勢田 哲治 発売日: 2008/11/20 メディア: 単行本 大阪経済大学准教授のHP(→■)がブックガイドとして非常に参考になり、それを見ながら初心者向けの書籍を選んで読みました。 いずれも平易でわかりやすい良書ですが、『プレップ倫理学』はあまりにも教科書的で文脈に欠けるため、単独で読んで満足するよりは最初に読んでおいて後で適宜参照するのが良い気がします。『メタ倫理学入門』は学史上の経緯よりも論理

                                                      20/7/19 倫理は永井均しか勝たない - LWのサイゼリヤ
                                                    • [書評] 精神の考古学(中沢新一): 極東ブログ

                                                      中沢新一の近著『精神の考古学』を読むことを勧められたとき、その刹那、「ああ、あれか」という不思議な思いが去来した。ほんの瞬時の直感であるが、二つのことがそこにあった。一つは、これは1983年の『チベットのモーツアルト』の続編であろうということ(すべての面でそうだという意味ではないが)、もう一つは、吉本隆明の思想を継いだ著作であろうということ。 そして、書物を手に取り、まえがきに目を向けたときに、私は、すべてがそうであったとでもいう奇妙な祝福のような感じがした。確かにそのとおりだと、瞬時に確信した。さて、私はそれをどのように語ったらよいのだろうか。 本書は、読まれるべき書物である、ということは明らかなのに、どのように読まれるべきか、次の言葉が浮かばない。しいていうなら、なんの偏見もなく、なんの憶測もなく、普通に、あたかも河口慧海の『西蔵旅行記』を読むように読むといいだろう、と言ってみたい。そ

                                                      • 『キッパリ!』から『全裸監督』までベストセラー多数! 穂原俊二が明かす編集者人生「本は今生きている現実と必ずつながる」

                                                        『キッパリ!』から『全裸監督』までベストセラー多数! 穂原俊二が明かす編集者人生「本は今生きている現実と必ずつながる」 爆笑問題がオウム裁判から薬害エイズまで語り尽くした『爆笑問題の日本原論』(宝島社/1997年)、「新世紀の資本論」と評された橘玲『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎/2002年)、単行本が135万部を突破した上大岡トメによる異例の自己啓発本『キッパリ!―たった5分間で自分を変える方法』(幻冬舎/2004年)、村上隆が自らの芸術論を明かした『芸術起業論』(幻冬舎/2006年)、Netflixドラマ化で物議を醸した『全裸監督―村西とおる伝―』(太田出版/2016年のち新潮文庫)、最近では奈倉有里『夕暮れに夜明けの歌を』(イースト・プレス/2021年)、小田嶋隆『東京四次元紀行』、斎藤真理子『韓国文学の中心にあるもの』(ともにイースト・プレス/2022年)……。 さま

                                                          『キッパリ!』から『全裸監督』までベストセラー多数! 穂原俊二が明かす編集者人生「本は今生きている現実と必ずつながる」
                                                        • 第2回 「教授」以前の彼(その1)|「教授」と呼ばれた男――坂本龍一とその時代 |佐々木 敦|webちくま

                                                          比類なき輝きを放つ作品群を遺すとともに、「脱原発」など社会運動にも積極的に取り組んだ無二の音楽家、坂本龍一。その多面的な軌跡を「時代精神」とともに描き出す佐々木敦さんの好評連載、第2回の公開です! 坂本龍一は、1952年1月17日、東京都中野区に生まれた。父親は河出書房/新社の文芸編集者だった坂本一亀、母親は帽子デザイナーの坂本敬子。龍一はひとりっ子である。 両親と幼少時の思い出を坂本龍一は何度か語っている(『音楽は自由にする』2009年、『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』2023年、吉村栄一が坂本に長期間にわたりインタビュー取材を行って著した『坂本龍一 音楽の歴史』2023年、など)。 1 近くて遠い存在だった父親 三島由紀夫の『仮面の告白』(1949年)を始めとして、埴谷雄高、高橋和巳、野間宏、椎名麟三、井上光晴、中村真一郎、小田実、丸谷才一、いいだ・もも、辻邦生など戦後文学の重要作

                                                            第2回 「教授」以前の彼(その1)|「教授」と呼ばれた男――坂本龍一とその時代 |佐々木 敦|webちくま
                                                          • 上妻世海×宇野常寛 思想としての「遅いインターネット」 | 遅いインターネット

                                                            「遅いインターネット」がこのウェブマガジンと、そして僕(宇野)の書いた本というかたちになって1ヶ月。想像よりだいぶ大きな反響をもらっていて、戸惑っているところもあります。そこで今回は上妻世海さんと僕たちが世の中に投げかけた「遅さ」について話してみることにしました。彼は、僕の知る限り社会の「速度」からいちばん自由な人間です。 本記事をはじめ、「遅いインターネット」では、現在の速すぎるネット社会の問題とその向き合い方について、様々な観点から特集しています。 「走りながら考える」ことで見えてくるもの 上妻 こうして宇野さんと「遅いインターネット」について濃密に話せる機会ができて、とても嬉しいです。僕は良い本の条件の一つを、読んでいて誰かと対話をしたくなる本、言い換えれば、人と人の〈あいだ〉にある本だと考えていて、『遅いインターネット』を読んだ時に僕が感じていたことは、まさにそれだったからです。

                                                            • 在野研究を続けていくためのスキル 『吉本隆明全集 第21巻』より|じんぶん堂

                                                              記事:晶文社 『吉本隆明全集 第21巻』(晶文社) 書籍情報はこちら 本が売れなくなったのは誰のせい? 硬い本、教養的な雑誌は、文学にしろ、文学以外の、思想その他全般にわたる雑誌にしろ、ますます経営が困難になってゆく。それはなぜでしょうか。つまり、何が悪いのか、読者の教養の程度が悪くなったからというふうに読者のせいにしたらいいのか、それともそうではなくて、出版社のせいにしたらいいのか、それとも筆者のせい、つまり書くひとのせいにしたらいいのかということは、とても大きな問題です。これは雑誌経営の問題であると同時に、文化の問題であります。またもしかすると、社会体制の問題なのかもしれません。 ところで、ぼくらのやっている『試行』という雑誌は一九六一年九月に創刊号が出ています。硬い雑誌の御多分に漏れず、いつやめようかという岐路に立たされているというのが、ここ一、二年の現状です。読者は減る一方ですし、

                                                                在野研究を続けていくためのスキル 『吉本隆明全集 第21巻』より|じんぶん堂
                                                              • 【批評の座標 第3回】最底人を生きる――80年代の浅田彰について(西村紗知)|人文書院

                                                                第3回で取り上げるのは、『構造と力』『逃走論』等をはじめ、フランス現代思想の輸入とともにポップな批評でかつての若者たちのアイドルとなった浅田彰。「椎名林檎における母性の問題」で2021年にすばるクリティーク賞を受賞、その後も音楽やポップカルチャーをはじめ、幅広い分野で精緻な批評活動を続ける西村紗知が、80年代を風靡した浅田を論じます。 批評の座標 ――批評の地勢図を引き直す 最底人を生きる(80年代の浅田彰について)西村紗知 1. 日本における批判理論研究の先駆的存在である清水多吉がその昔、「ニュー・アカデミズムの人びと」[1]というタイトルで、浅田彰、栗本慎一郎、中沢新一の三人の存在に触れて、その当時の新しい知識人のモードについて考えるため、といっても社会科学のプレゼンス低下を嘆く論調が大半を占めるかたちで記事を書いていた。浅田などが責任編集を務めていた人文系雑誌『G・S』の売れ行きが好

                                                                  【批評の座標 第3回】最底人を生きる――80年代の浅田彰について(西村紗知)|人文書院
                                                                • 試験勉強でつかんだマルクスの「本領」:私の謎 柄谷行人回想録⑤|じんぶん堂

                                                                  記事:じんぶん堂企画室 マルクス『資本論』の初版本(1867年) 書籍情報はこちら ――前回は東大駒場寮時代のお話を伺いました。午前10時まで寝ていたということは、寮では先輩たちと夜中まで議論するような生活ですか? 柄谷 いや、本を読んでいた。誰かと一緒ではない。ひとりですよ。一番よく読んでいたのは、マルクス経済学者の宇野弘蔵です。ブント系は宇野を読むものだと聞いてたからだと思うけど、『経済原論』など、入学して早速買いましたね。マルクス主義について通俗的には知っていたけど、初めてマルクスについて考えた。マルクスの本領は『資本論』なんだと、宇野を通じて知った。 経済学者の宇野弘蔵 ――62年、経済学部に進みます。宇野弘蔵は58年に東大を退官していますが、当時は弟子の鈴木鴻一郎が教えていますね。宇野派の経済学を学ぶのが目的ですか? 柄谷 勉強しないでいいからです(笑)。当時、文科一類からは基本

                                                                    試験勉強でつかんだマルクスの「本領」:私の謎 柄谷行人回想録⑤|じんぶん堂
                                                                  • 【書評】ひきこもりの歴史になるべきだった本 芹沢俊介著『「存在論的ひきこもり」論』を記憶する - ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-

                                                                    雲母書房が潰れた。 雲母(きらら)書房という珍しい名前の出版社が、しばらく前になくなってしまった。 今どき出版社が潰れるなんて珍しくもないが、ここがなくなるのはいけない。 評論家の芹沢俊介さんという方の本を多数出していたところなのだ。 『引きこもるという情熱』、『引きこもり狩り』などの本を出していた。 これらは、私が自分自身の「ひきこもり」を考えるうえで、かけがえのない本だった。 中でも、『「存在論的ひきこもり」論』(2010年)が特別だ。 私の「ひきこもり」のイメージを一新した本で、人生の深くに影響している。 版元が潰れたということは、もうこの本が書店で手に入らなくなるということだ。 しかも今『「存在論的ひきこもり」論』を買おうとすると、古本で6000円もしている。 電子版も出ていない。これでは忘れられてしまう。 これはいけない。 今回は、失われつつある一冊『「存在論的ひきこもり」論』を

                                                                      【書評】ひきこもりの歴史になるべきだった本 芹沢俊介著『「存在論的ひきこもり」論』を記憶する - ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-
                                                                    • 初めての論考、読み直して再発見した自分:私の謎 柄谷行人回想録⑥|じんぶん堂

                                                                      記事:じんぶん堂企画室 柄谷行人さん 撮影:篠田英美 書籍情報はこちら ――1965年、東京大学経済学部を卒業し、東京大学大学院人文科学研究科英文学専攻課程へ。フォークナーの研究や翻訳で知られる大橋健三郎さんのゼミに入ります。 柄谷 学部のときに大橋さんの授業を聴講していて、フォークナーも好きだったからね。文学部に入り直すのは面倒だったから、1年留年してから、大学院に進むことにしました。英文科に入ったとはいえ、僕の専攻は実はアメリカ文学なんですよ。当時、アメリカ文学を専攻する人はまだ少なかった。大学院生では、僕1人だけだったんだから。 アメリカ文学者の大橋健三郎 ――原真佐子さん(1939~1995)と結婚したのもこの頃ですね。翻訳家としても活動し、後に「冥王まさ子」の名で文芸賞を受賞する作家でもあります。 柄谷 大学院で知り合ってすぐに結婚しました。彼女は、年が二つ上、学年で言うと一つ上

                                                                        初めての論考、読み直して再発見した自分:私の謎 柄谷行人回想録⑥|じんぶん堂
                                                                      • アニミズム、レヴィ=ストロース、構造主義/春日直樹×奥野克巳×清水高志

                                                                        アニミズム、レヴィ=ストロース、構造主義 春日直樹 × 奥野克巳 × 清水高志 はじめに アニミズムの現代性を文化人類学・哲学から探究する『今日のアニミズム』。今回、第16回日本文化人類学学会賞を受賞された文化人類学者・春日直樹氏(一橋大学名誉教授)をゲストに招き、著者の奥野克巳氏、清水高志氏とともに出版を記念した鼎談を実施いただいた。 春日氏はオセアニアにおける人類学的研究でも著名ながら、ポストモダン人類学から存在論的転回へと至る人類学の最先端の理論を批判的に検討、近年では数学や物理学を民族誌の手法に導入するなど、新たな挑戦を続けている。 なお本鼎談は、春日氏から事前に民族誌と圏論に関する論文草稿をお送りいただき、そのうえで行われた。同草稿は、日本文化人類学会の機関誌『文化人類学』(86巻4号)にて掲載・発表予定である(以文社編集部)。 トライコトミーと二項対立、そして圏論 春日:もとも

                                                                        • 《ひきこもり本》大賞2023! 最新「ひきこもり」ブックガイド19冊+1 - ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-

                                                                          (文 喜久井伸哉) 今回は、近年発表された〈ひきこもり〉に関する本19冊をご紹介します。ベストセラーになったエンタメ小説から、時間をかけて作られたマニアックな論文まで。最新の「ひきこもり」ブックガイドです。 《一般書》 ひきこもりの真実 「ひきこもり」から考える 小説8050 コロナ・アンビバレンスの憂鬱 名著の話 僕とカフカのひきこもり 《当事者向け》 ひきこもれ HSPとひきこもり 《記録・報道》 「独り」をつないで ひきこもっていても元気に生きる ふすまのむこうがわ 《研究・支援》 生きづらさを聴く 「ひきこもり当事者」の社会学 ひきこもりと関わる 見過ごされた貧困世帯の「ひきこもり」 ひきこもり白書2021 《親向け》 ひきこもり “心の距離”を縮めるコミュニケーションの方法 お金のプロに相談してみた! 息子、娘が中高年ひきこもりでもどうにかなるって本当ですか? 《その他》 たびだ

                                                                            《ひきこもり本》大賞2023! 最新「ひきこもり」ブックガイド19冊+1 - ひきポス -ひきこもりとは何か。当事者達の声を発信-
                                                                          • 出版状況クロニクル166(2022年2月1日~2月28日) - 出版・読書メモランダム

                                                                            22年1月の書籍雑誌推定販売金額は853億円で、前年比4.8%減。 書籍は510億円で、同0.9増。 雑誌は343億円で、同12.3%減。 雑誌の内訳は月刊誌が275億円で、同14.4%減、週刊誌は67億円で、同2.3%減。 返品率は書籍が30.2%、雑誌は43.3%で、月刊誌は43.8%、週刊誌は41.0%。 書店売上は実質的に書籍もマイナスで、雑誌はコミックスが28%のマイナスとなり、 22年は1月から幸先がよくない。 取次POSレジ調査でも二ケタ減が3ヵ月続いている。 1.出版科学研究所による21年度の電子出版市場販売額を示す。 ■電子出版市場規模(単位:億円) 年20142015201620172018201920202021前年比 (%) 電子コミック8821,1491,4601,7111,9652,5933,4204114120.3 電子書籍192228258290321349

                                                                              出版状況クロニクル166(2022年2月1日~2月28日) - 出版・読書メモランダム
                                                                            • 学生運動と年上の友人たち:私の謎 柄谷行人回想録④|じんぶん堂

                                                                              記事:じんぶん堂企画室 1960年6月、国会前を埋め尽くすデモ隊 書籍情報はこちら ――1960年、私立甲陽学院高校を卒業し、東京大学文科一類に入学します。岸信介内閣による日米安全保障条約改定に反対の波が広がっていた60年安保闘争のさなかですね。 柄谷 受験前の59年秋、国会へのデモに参加した学生運動の幹部に逮捕状が出て、彼らが東大駒場に籠城するという事件がありました。それが連日大々的に報道された。その後、デモが広がり、入試期間中も続いていました。僕は入学式よりもそのことが気になっていたから、入学式より前に、東大生のデモに参加した。国会前です。4月7日くらいだったかな。そこで、西部邁の演説を聞いた。結局、入学式には行かなかった。 《5月19日に政府が強行採決すると、26日のデモには17万人が参加。6月15日には全学連が国会に入り、機動隊の強制排除で多数の重軽傷者、逮捕者が出た。このときに東

                                                                                学生運動と年上の友人たち:私の謎 柄谷行人回想録④|じんぶん堂
                                                                              • 『愛と幻想のファシズム』(講談社) - 著者:村上 龍 - 吉本 隆明による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

                                                                                著者:村上 龍出版社:講談社装丁:文庫(504ページ)発売日:1990-08-03 ISBN-10:4061847392 ISBN-13:978-4061847392 内容紹介: 激動する1990年、世界経済は恐慌へ突入。日本は未曽有の危機を迎えた。サバイバリスト鈴原冬二をカリスマとする政治結社「狩猟社」のもとには、日本を代表する学者、官僚、そしてテロリストが結集。人々は彼らをファシストと呼んだが…。これはかつてない規模で描かれた衝撃の政治経済小説である。 この作品の性格をひとことで言い当てようとすると、ふんだんに毒を含んだハードボイルド風の劇画小説ということになる。まず毒ということからはじめてみる。ひとつは主人公であるハンター上りのトウジのもっている理念が毒だ。トウジは狩猟社会が人間の理想社会で、強い獣と獣を追って仕留める頑強な狩猟人だけが生き残り、人間を含めて弱い動物、愚かな動物、強く

                                                                                  『愛と幻想のファシズム』(講談社) - 著者:村上 龍 - 吉本 隆明による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
                                                                                • 宇野常寛×福嶋亮大が語る、Web3と批評的言説のこれから 「人類社会の“時差”を意識することが重要」

                                                                                  WEB3という言葉で新たなテクノロジーが褒めそやされる今、批評的言説はいかにして可能なのかーー。二人の著作で取り上げられた人物や書籍を起点に、批評やインターネットのこれからの可能性について対談してもらった。(編集部) ロレンスはずっと変身を重ねて、同時に失敗を重ねてきた 宇野常寛『砂漠と異人たち』(朝日新聞出版) 福嶋:『砂漠と異人たち』は面白かったですが、まさかT・E・ロレンス(編注:アラブ民族独立に尽力したイギリス陸軍将校)のことをこんなに熱烈に書いているとは知らず驚愕しました(笑)。考えてみると、デヴィッド・リーン監督の映画『アラビアのロレンス』は最初にロレンスのバイク事故のシーンから始まるけど、いわばロレンスって仮面ライダーみたいな人ですね。ロレンスは変身に変身を重ねてアラブの独立にもコミットするわけだけど、それが同時に失敗の連鎖でもある。失敗が同時に成功であるという逆説の人だと思

                                                                                    宇野常寛×福嶋亮大が語る、Web3と批評的言説のこれから 「人類社会の“時差”を意識することが重要」