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ブックマーク / nobuogohara.com (26)

  • PC遠隔操作事件を「人質司法」の追い風にしてはならない

    PC遠隔操作事件で、昨年2月の逮捕以来、一貫して犯行を全面否認してきた片山祐輔被告人(以下、「片山被告」)が、別人の真犯人を装うメールを自作自演していたことが明らかになり、弁護人に、起訴事実すべてについて自らの犯行であることを認め、保釈が取消となって、片山被告は収監された。 そして、5月22日の公判で、片山被告は、「全部事実です」と一転して起訴内容を認め、「申し訳ありませんでした」と謝罪した。 一年余りにわたって、捜査、公判での警察・検察側と弁護側との全面対決が大きな注目を集めてきた今回の事件は、これで全面解決に向かうことになるであろう。 この事件をめぐっては、警察、検察及び裁判所の捜査、公判での対応に関して、様々な問題が指摘されてきた。 私は、片山被告が逮捕された後に、【PC遠隔操作事件:反省なき「有罪視報道」の構図】と題して、捜査側の情報のみを一方的に垂れ流すマスコミの「有罪視報道」の

    PC遠隔操作事件を「人質司法」の追い風にしてはならない
  • 厚労省による「民法に反する解釈変更」と内閣による「解釈改憲」

    行政庁は、所管する法律について解釈権限を持っている。 年金に関する法令を所管する厚労省は、年金の支給に関して、関連法令をどのように解釈し、どのような基準を定めることも可能であり、その解釈や基準が誤っていれば、裁判所の司法判断によって是正される、というのが、行政と司法の関係に関する一般原則である。 しかし、行政庁が法解釈や基準の設定としてできることにも、社会との関係において、自ずと限度があるはずだ。明らかに論理的に誤った解釈や、民法という社会の基法の根幹部分に反する解釈を行うことは、国民が行政庁に与えている権限を逸脱するものである。そのような疑いがある場合には、裁判所の判断を待つまでもなく、まず、行政庁の長である大臣が、説明責任を果たすべきであり、それに対する社会的な批判に答えるべきであろう。 3月19日に緊急開催した総務省年金業務監視委員会で取り上げた「失踪宣告の場合の消滅時効の起算点に

    厚労省による「民法に反する解釈変更」と内閣による「解釈改憲」
  • 「サケ弁当」問題で露呈した特定秘密保護法の危うさ

    材の虚偽表示問題を受け、消費者庁が昨年12月に公表したメニュー表示のガイドライン案をめぐり、森雅子消費者担当大臣は7日の閣議後記者会見で、「サーモントラウト(ニジマス)」を使って「サケ弁当」と表示しても必ずしも景品表示法違反にはあたらないとの見解を示した(2月8日付日経「『サーモントラウト』使っても『サケ弁当』はOK 材表示案 消費者相が見解」 ) 昨年12月、消費者庁は、材の虚偽表示問題を受けて公表した「メニュー・料理等の品表示に係る景品表示法上の考え方について(案)」の「メニュー表示に関するQ&A」の中では、「サーモントラウト(和名:ニジマス)をサーモンと表示することは問題がある」とされていた。 このガイドラインの考え方に対して、外業界側から強い反発があり、ニジマスを使用したサケ茶漬け、サケおむすびはどうなのか、という議論に発展していたことが、今回の森大臣の発言でのニジマスを

    「サケ弁当」問題で露呈した特定秘密保護法の危うさ
  • 「権力の内幕」の描き方

    12月4日にちくま新書から公刊された元裁判官である森炎氏の「司法権力の内幕」が、実に面白い。 【特定秘密保護法 刑事司法は濫用を抑制する機能を果たせるのか】でも述べたように、現在の政治状況からすれば、特定秘密保護法が成立することは避けられない状況にあったのであり、むしろ、問題は今後である。法律の濫用が行われないよう、マスコミも、我々も、刑事司法がいかに運用されているのかに最大の関心を持って見守っていかなければならないだろう。 そういう観点からも、この元裁判官が書いた「裁判所の内幕」「刑事司法の内幕」を書いた同書は貴重だ。 「権力の内幕」の描き方というのは、大変微妙である。公務員として知り得た秘密を漏えいしたということで、守秘義務違反に問われることがあり得るし、表現の仕方によっては、マスコミに局所的に取り上げられて、スキャンダルを提供することにもなりかねない。 その点、同書の著者の森氏は、「

    「権力の内幕」の描き方
    setagayatagayase
    setagayatagayase 2013/12/15
    「権力の内幕」の描き方 via @wordpressdotcom
  • ビッグデータは誰のものか

    JR東日が、共通乗車カード・電子マネーのスイカに記録された乗降データ(以下、「スイカ・データ」と言う。)を、利用者に無断で日立製作所に有償で提供していたことが明らかになって、利用者側から大きな反発を招いた。JR東日は、利用者側の要望に応じて提供データから除外する措置をとったが、それに続いて、NTTドコモが、携帯電話事業によって把握している基地局エリア内の携帯電話の位置情報(以下、「ドコモ・データ」と言う)に基づいて、特定地域の時間ごとの人口変化などの情報をまとめた報告書を作成して流通業や外企業などに販売する方針を打ち出し、話題になっている。 このような企業のビッグデータの活用に関して問題にされているのは、個人のプライバシーの侵害の恐れの有無である。匿名化されたデータであっても、何らかの形で特定される可能性があるのではないか、それに関して、情報を把握される側に事前に了解を得たのかどうか

    ビッグデータは誰のものか
    setagayatagayase
    setagayatagayase 2013/09/14
    ビッグデータは誰のものか | 郷原信郎が斬る ビッグデータは誰のものか | 郷原信郎が斬る
  • 猪瀬知事の「謝罪」に見る「法令遵守」への逃避

    猪瀬直樹東京都知事が、4月16日、2020年の夏季五輪招致をめぐって、米ニューヨークタイムズ紙のインタビューで、他の立候補都市と東京とを比較し、「イスラム諸国は互いにケンカばかりしている」「イスラム諸国が共有しているのはアラー(神)だけで、お互いにけんかばかりしている。階級もある。」と述べたことを、27日付の同紙が報じたことで、「各都市は他都市の批判や他都市との比較を行ってはならない」としている五輪招致規範に抵触することなどが問題にされ、批判を浴びている。 この問題で、猪瀬知事は、4月29日には、「私の真意が正しく伝わっていない。ほかの立候補都市を批判する意図は全くなく、このようなインタビューの文脈と異なる記事が出たことは非常に残念だ。」とコメントしていたが、30日には、記者会見で、一転して、発言を撤回し、謝罪した。 その会見で、猪瀬知事が強調しているのは、「東京のPRのためだった」という

    猪瀬知事の「謝罪」に見る「法令遵守」への逃避
    setagayatagayase
    setagayatagayase 2013/04/30
    猪瀬知事の「謝罪」に見る「法令遵守」への逃避 | 郷原信郎が斬る