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ブックマーク / k-houmu-sensi2005.hatenablog.com (242)

  • 正論と極論のコントラスト〜「知財高裁への評価」をめぐって - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    知財関係では、常にいろんな意味で興味深いネタを多々提供してくれている日経紙の法務面だが、今週も、実に面白い企画が紙面を飾った。 題して「知財高裁設立10年 その評価は」という記事である*1。 何が面白いかと言えば、「知財高裁」の評価をめぐって、知財司法の世界で“王道”と言えるポジションを歩んでこられた飯村敏明元知財高裁所長と、よく言えばアグレッシブ、悪く言えば・・・なご見解を発せられることが多い荒井寿光元特許庁長官*2のコメントを並べ、現在の「知財司法」への評価について実にわかりやすい対立構図を示した、ということに尽きるだろう。 (飯村)「知財高裁の設立で国家政策として知財重視の姿勢をアピールするという当初の狙いは一定程度果たしたと思う。」 「変化を検証するのは難しい面もあるが、この10年の知財訴訟を振り返ると、裁判官も『オープン・イノベーション』の流れを意識し、ビジネスの実情を考慮した合

    正論と極論のコントラスト〜「知財高裁への評価」をめぐって - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
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    shrk 2015/05/14
  • 応用美術の「常識」を覆した新判断〜「TRIPP TRAPP」幼児用椅子著作権侵害事件・控訴審判決 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    「(実用目的の)『応用美術』が著作物として保護されるか?」 というのは、著作権法の世界では、一大論点として長年議論されてきたテーマである。 当ブログにおいても、過去に何件か、この点が争点となった裁判例を取りあげてきたし*1、最近でもカスタマイズドールから体験型装置(スペースチューブ)、ワイナリーの看板、ファッションショー、建売住宅といったものまで、この点が争われた事例には事欠かない。 そして、この論点については、これまで、 「意匠法との境界を画するという観点から、保護を受ける応用美術とは、著作権法で保護されている純粋美術と同視できるものであると解すべきである。」 「このような応用目的が存してもなお著作権法の保護を受けるに足るプラスαがある応用美術に限り著作物として認知すべき」 (中山信弘『著作権法〔第2版〕』171頁(有斐閣、2014年) という見解が有力であり、これまでの裁判例においても

    応用美術の「常識」を覆した新判断〜「TRIPP TRAPP」幼児用椅子著作権侵害事件・控訴審判決 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
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    shrk 2015/04/21
  • 「知財功労賞」表彰の微妙なタイミング - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    「発明の日」に合わせて毎年行われている「知財功労賞」の表彰。 今年も、平成27年度の表彰対象として、「知的財産権制度関係功労者」と「知的財産権制度活用優良企業等」それぞれの対象者・団体が発表されたのだが・・・*1。 つい先日も、「新しいタイプの商標」について取り上げたばかり*2ということもあって、どうしても目が行ってしまったのが「知的財産権制度活用優良企業等」の部門の「経済産業大臣表彰(商標活用)」*3の対象に選ばれたのが、「久光製薬株式会社」だった、ということ。 佐賀県鳥栖市に社を構えるこの会社にとって、こういう形で表彰を受けることがどれだけインパクトのあることだったか、ということは、容易に想像が付くところで、会社のホームページにも早々と表彰の事実を伝えるニュースリリースが掲載されている*4。 公表された「受賞のポイント」は、以下のようなものである。 ■商標には、企業の信用とその商品・

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    shrk 2015/04/15
  • 手放しでは喜べない「商標費用値下げ」 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    比較的インパクトの大きい制度改正が相次いでいる昨今の産業財産権業界だが、またまた大きなニュースが飛び込んできた。 「特許庁は企業などが商標を取ったり維持したりするのにかかる費用を大幅に引き下げる方針を固めた。今夏にも登録料を25%程度引き下げ、登録から10年後にかかる更新料も20%程度下げる。」(日経済新聞2015年2月5日付朝刊・第5面、強調筆者) 実に7年ぶりの改定。 記事では、丁寧なことに、 「いまは1分野につき登録料は3万7600円かかるが、引き下げ後は2万8200円程度になる見通し。更新料は同4万8500円が3万8800円程度に下がる」(同上) と、改定後の具体的な金額まで教えてくれている。 自分が、商標の仕事に関わり始めたのは、まだ前回の料金改定より前、で、その頃に大量の出願、更新をこなしたものだから、今でも、商標登録だの更新だのの、“費用の相場”を聞かれると、当時の基準で反

    手放しでは喜べない「商標費用値下げ」 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 職務発明訴訟における証拠の偏在にどう対処すべきなのか? - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    かねてから当ブログで取り上げている「職務発明」をめぐる問題であるが、今般、法改正を主張している人々の中には、「相当の対価」算定の困難さ、という法解釈上の問題に加えて、 「職務発明をめぐって訴訟になると、発明者の特定から、特許の有効性・権利範囲、そして損害額算定の基礎となる実施料率等に至るまで、当事者の主張が錯綜し、紛争が泥沼化することが多い」 「その結果、訴えられた企業側において、営業秘密にかかわる証拠を開示して反論するか、あるいは、あえて反論せずに受忍するか、というシビアな選択を迫られることも多い」 といった“裁判という紛争解決手続”そのものの問題点を指摘する方も多い。 そして、そんな懸念が決して机上のものではない、ということが、判決文からも優に読み取れる判決が、最近になって最高裁のHPで公表された。 判決文は、HPへの公表版だけでも158頁と大部になっているため、ここでは、上記の問題点

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    shrk 2015/01/14
  • 「大合議判決再読」特集のインパクト - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    2015年の「ジュリスト」誌で、新年第1号を飾ったのが、「知財高裁大合議再読」という特集である。 3年前に装丁等を大幅にリニューアルして以降*1、それまでとは一味違う特集企画を徐々に増やして、いわゆる“伝統的読者層”以外にも訴求していこう、という野心(?)を前面に出しているこの雑誌だが*2、今回の知財特集も、実に味わい深いものになっている。 ジュリスト 2015年 01 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2014/12/25メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る 特集のメインのコンテンツは、知財高裁が設立後10年の間に出した「大合議判決」8件それぞれについて、第一線で活躍されている実務家が執筆された解説記事であり、いずれも充実した内容になっているので、実際に入手してご覧いただくのが一番だと思うのだが*3、個人的には、巻頭のグラビアページを飾っている、「鼎

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    shrk 2015/01/13
  • 進み過ぎた「戦略」の紹介が恨めしく思えるとき。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    あっという間に、新年休みも終わり、仕事始めとなった月曜日。 そんな中、日経紙も今年最初の月曜法務面、ということで、何が取り上げられるかなぁ・・・と思って開いてみたら、いきなり「知財戦略」の話だった*1。 どちらかと言えば“当たり外れ”が大きい、というのが、日経の知財関係記事に対して(自分の中で)定着した印象だけに、期待半分、不安半分で読んでみたのであるが・・・ 取り上げられている3つの会社の事例のうち、「模倣品対策」に関する記事(東洋ゴム)は、読み物として面白いから良いとして、「特許戦略」に関する2社(パナソニック、日立)の事例は、内容的にどうこう、という以前に、「知財戦略」の例として取り上げるには、少し先を行き過ぎているように思えてならなかった。 例えば、パナソニックに関しては、冒頭で、「特許をたくさん持っているだけでは競合相手と戦えないことが分かった」という知的財産センター所長のコメン

    進み過ぎた「戦略」の紹介が恨めしく思えるとき。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
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    shrk 2015/01/13
  • “真打ち”的評釈、再び〜自炊代行訴訟控訴審判決をめぐって - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    一昨年に出された「自炊代行訴訟」の第一審判決をめぐって、北大の田村善之教授が書かれた評釈を紹介したのは、ちょうど1年ほど前のことであった*1。 自炊代行業者=複製主体、という認定の下、ばっさりと業者側の請求を退けた地裁判決に対して、 「利用行為の主体論だけで最終判断をしたり、利用行為主体論の判断をそのまま援用するのではなく、30条1項の趣旨に則した判断をなす必要がある」 と指摘し、政策的考慮も加味した上で、 「30条1項の「その使用する者が複製する者」という要件を活用して、裁断済みの書籍の保管や転用はせず、注文の都度、顧客からの宅送ないし直送を要するなど、相応に非効率なビジネス・モデルを採用する自炊代行業者に限り、同項の私的複製の範囲内と認めて著作権侵害の責任を免らしめる、という措置をとることがありえよう。」 と、地裁判決が示した結論に真正面から向き合おうとした田村教授の評釈*2の反響は大

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  • 「ブックガイド」企画に訪れた刺客。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    毎年、年末の恒例企画として法務関係者を楽しませてくれるBusiness Law Journal(BLJ)誌の「法務のためのブックガイド」特集。 BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2015年 2月号 [雑誌] 出版社/メーカー: レクシスネクシス・ジャパン発売日: 2014/12/20メディア: 雑誌この商品を含むブログ (3件) を見る ここ数年は、冒頭の「座談会」で総括的な紹介を行ったうえで、法務担当者、弁護士の分野別の紹介稿を掲載する、というパターンが定着していて、安心して読める企画だったのだが、今年はちょっとした“異変”が起きていた。 何かと言えば、いつもの座談会の後に、 「企業法務系ブロガーによる辛口法律書レビュー」 というタイトルで、「アホヲタ元法学部生の日常」名義で活躍している“ronnor”氏の記事が、実に4ページにわたって掲載されていた

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    shrk 2015/01/05
  • 2014年の裁判例アーカイブ(暫定版) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    いよいよ年末も押し迫ってきた、ということで、一応、今の時点で今年取り上げた裁判例リストをアップしておくことにする。 知財系で最もインパクトのあった判決は何か、と言えば、特許の世界では「アップル対サムスン」、著作権法の世界では「自炊代行」ということになるのだろうが(いずれも知財高裁判決)、身近な実務への影響、ということで言えば、むしろ「利用規約」事件や、ディスプレイフォント事件(一般不法行為の成否に関する判示)等の方が、インパクトとしては大きいようにも思えるところ。 いずれにしても、個性的な事件が多かった(まだ取り上げられていないものも多いが・・・)、というのが、今年の印象である。 知財関連判例 ■切り無効不成立審決取消請求事件 知財高判平成25年12月24日 http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20140108/1389535842 ■モデル個人情報営業秘密不

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    shrk 2014/12/31
  • もっと注目されても良いニュース〜運営会社の勝訴的(?)な和解で終わった「TUBEFIRE」著作権侵害訴訟 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    今朝の朝刊にひっそりと掲載された著作権訴訟に関するニュースがある。 裏社会面の真ん中くらいに小さな見出しで掲載され、内容的にも派手派手しい判決ではなく「和解」を報じるものだけに、普通の人なら読み飛ばしてしまいそうな扱いなのだが、よく読むと、実に興味深いニュースであることが分かる。 「動画共有サイト『ユーチューブ』の動画を従来型携帯電話(ガラケー)で視聴できるようにするサービスが著作権を侵害しているとして、レコード会社などが約2億3千万円の賠償を求めた訴訟は17日、東京地裁(東海林保裁判長)で和解が成立した。運営会社側がサービスを再開しない代わりに、レコード会社側は賠償を求めないことなどで折り合った。」(日経済新聞2014年12月18日付朝刊・第42面) 「TUBEFIRE」というサービスを運営していたミュージックゲート、という会社が、複製権、公衆送信権侵害を理由に、レコード会社に訴えを起

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  • 最高裁判所裁判官・国民審査対象各裁判官の個別意見について(2014年版) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    前回の総選挙からちょうど丸2年が経とうとするタイミングで、再び訪れた審判の時。 そして、それに合わせて行われるのが、最高裁裁判所裁判官の国民審査である。 いつも言われているとおり、一般市民にとっては限られた情報しかない状況で、特定の人に「×」を付ける、というのは、極めて難解な作業であるのは間違いないわけで、多くの場合は「白票」(=信任票)を投じることになるわけだが*1、同じ「白票」を投じるにしても、それぞれの裁判官がこれまでに表明されたご意見について、ある程度前提知識を持ってから投票所に行った方が、多少なりとも“義務を果たした感”を得られるのではないか、と思う。 実に10名の裁判官が対象となった前回の国民審査*2に比べると、今回は、前回の国民審査からの間隔が短いこともあって、対象となる裁判官はその半分の5名、さらに、任命から一番日が経っている裁判官(鬼丸かおる裁判官)でも約1年10か月、最

    最高裁判所裁判官・国民審査対象各裁判官の個別意見について(2014年版) - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
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    shrk 2014/12/07
  • 「7年」という月日が変えたもの、変えなかったもの〜中山信弘『著作権法』〔第2版〕より - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    東大の中山信弘教授(当時、現・名誉教授、明治大学特任教授)が、待望の概説書『著作権法』を世に出されたのは、2007年10月のことであった。 自分などは、序文から既にほとばしってくる、著者の熱い思い(混迷する著作権制度への憂いと、新しい時代に対応するための「あるべき姿」に向けられた解釈論、及び立法に向けた思い等)に圧倒され、「これを精神的支柱とすべきである」というようなことを、このブログの書評に添えて書いたものである*1。 それから7年。 初版が多くの知財関係者の「待望」が積み重なった末に世に出たものであることを考えると、当時の感覚を知る者にとっては、「もう第2版が出るの?」という印象の方が強かったりもするのだが(笑)、冷静に考えれば「7年」というのは決して短い時間ではない。 著作権法の世界だけを眺めても、平成21年、平成24年と、2度の大きな改正を経ており、〔初版〕で中山教授が投げかけた“

    「7年」という月日が変えたもの、変えなかったもの〜中山信弘『著作権法』〔第2版〕より - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
  • 職務発明制度見直しの真っただ中で世に出た強烈な判決〜野村證券職務発明事件地裁判決 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    長らく続いている特許法35条見直し、職務発明制度改正の動きも、そろそろひと段落しつつあるようである。 先日行われた審議会小委の資料も既にアップされているので、いずれ取り上げるつもりなのだが、そんな中、現在見直しの遡上に挙がっている現行特許法35条(平成16年改正後のもの)の解釈をめぐって、実に壮絶な判断が下された裁判例を、たまたま目にすることになった。 まだ、あまり目立った取り上げられ方はしていないようだが*1、この判決によって示された、「現行特許法35条4項に基づく会社発明規程の定めによる対価の支払いの合理性」に対する判断は、いま議論されている制度改正案が立法にこぎつけた後も、引き続き維持される可能性があるだけに、今後、大きな注目を浴びることは間違いないように思われる。 そこで、以下、この判決の中身を紹介することにしたい。 東京地判平成26年10月30日(H25(ワ)第6158号)*2

    職務発明制度見直しの真っただ中で世に出た強烈な判決〜野村證券職務発明事件地裁判決 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
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    shrk 2014/11/26
  • 久々に垣間見た「大阪」の意地〜ディスプレイフォント事件控訴審判決が示した創作者救済の道筋 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    テレビ放送で用いる「ディスプレイフォント」をめぐって、フォント製作事業者とテレビ局が争っている事件がある。 昨年夏に大阪地裁で出された第一審判決については、このブログでも紹介したところで*1、「フォント」が著作権で保護されない、という前提に立っているがゆえの原告(フォント製作事業者)側の苦しさ、を察しながら、当時コメントしたものであった。 エントリーの末尾で、 「個人的には、もうあと一審級くらいは、判断を仰ぐ機会があっても良いのではないかな、と思うところである。」 と書いたものの、平成23年の北朝鮮映画事件*2以降、「著作権による保護を受けられない創作物」の保護について、冷淡な姿勢を示し続ける裁判所の傾向からすれば、大きなサプライズはないだろうな・・・と、当時は漠然と思っていたものだった。 だが、先月出された大阪高裁の判決(公表されたのは先週)は、結論こそ「控訴棄却」にとどまっているものの

    久々に垣間見た「大阪」の意地〜ディスプレイフォント事件控訴審判決が示した創作者救済の道筋 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
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    shrk 2014/11/04
  • これが解釈論の限界なのか?〜自炊代行訴訟・知財高裁判決への落胆と失望 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    昨年9月30日に第一審判決が出てから、はや1年超。 単純な「控訴棄却」事件であれば、1回で結審して早々に判決を出すことも稀ではない知財高裁が判決まで1年以上も引っ張った、ということもあって、ユーザーサイドの人々を中心に“かすかな期待感”を抱く向きもあった「自炊代行」訴訟だが、今週22日に出された判決の結論は、“予定調和的なそれ”のままだった。 「顧客の依頼でや雑誌の内容をスキャナーで読み取り電子データ化する『自炊代行』の適否が争われた訴訟の控訴審判決で、知的財産高裁(冨田善範裁判長)は22日、著作権(複製権)の侵害を認めて複製差し止めと70万円の侵害賠償を命じた一審・東京地裁の判断を支持し、東京都内の自炊代行業者側の控訴を棄却した。」(日経済新聞2014年10月23日付朝刊・第39面、強調筆者) 件訴訟の原告(被控訴人)は、浅田次郎氏、弘兼憲史氏をはじめとする一流の作家・漫画家で、代

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  • ノーベル賞報道がもたらしたフラッシュバック。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    #なぜか二重投稿になってしまったので、再投稿します。ブクマ、リンク等付けてくださった皆様、申し訳ございません。 ノーベル賞ウィークが始まって間もない火曜日の夜に、突如として飛び込んできた日の3氏*1によるノーベル物理学賞受賞のニュース。 「青色発光ダイオード」の発明と実用化に貢献した、として、赤崎勇・名城大教授、天野浩・名古屋大教授と並び、(知財を少しでもかじった者であれば知らぬ者はない)中村修二・米カリフォルニア大教授のお名前も、受賞者の中に挙がっていた。 「青色LED」が画期的な発明であることは、もう10年以上前から言われていたことで、夜の街を彩るライトアップの光が、21世紀に入って以降、すっかり「白と青」の発光ダイオードに置き換えられたことからも分かるように、「実用化」という観点からも社会に爆発的なインパクトをもたらしたものであることは間違いない。 そして、材料である化学物質(窒化

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    shrk 2014/10/16
  • 「維新の会」商標をめぐる紛争と商標法4条1項6号該当性の判断基準時をめぐる論争 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    かつて、「維新」の旗印を掲げて大阪エリアを席巻し、あわや政権の座まで伺う勢いだった政治団体が存在した。 正確に言えば、まだ大阪ではそれなりの支持を得ているようだし、中央政党としても、まだ「日維新の会」は辛うじて存続しているようだから、“過去形”にしてはいけないのだろうが、2年前の総選挙(&翌年の参院選)以降、すっかり勢いが影を潜めてしまっている(しかも“分裂”等の騒動もあった)のも事実だけに、どうしても昔話のように思えてしまう。 そんな中、商標の世界で、「維新の会」をめぐる興味深い判断が示されている。 登録査定、審判時に存在する、とされた商標法上の不登録事由が、審決取消訴訟の過程で事後的に解消したらどうなるか? というかねてからの議論にも、一石を投じるかもしれないこの事例を、かつての“旋風”を懐かしみつつ、取り上げてみることにしたい。 知財高判平成26年9月17日(平成26年(行ケ)第1

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  • 「知財実務」の真の姿はここにある〜期待を裏切らなかった「セオリー」シリーズ。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    レクシス・ネクシスジャパン社から出版された「企業法務のセオリー」というを読んで、感動をそのままにエントリーを書いたのは、去年のGWだった*1。 そして、シリーズとしては、(おそらく)第2弾となるであろう、↓のを、定期的に立ち寄る某書店の知財書コーナーで見つけた瞬間、自分は迷わず手に取った。 キャリアアップのための 知財実務のセオリー ―技術を権利化する戦略と実行― Practice of IP for career Dev. (ビジネスセオリー) 作者: 岩永利彦出版社/メーカー: レクシスネクシス・ジャパン発売日: 2014/08/08メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る 今回のテーマは「知財実務」。そして、前作の“スキルアップ”をさらに超えた(?)「キャリアアップ」をタイトルに掲げている、ということもあり、当然ながら期待も前作以上。 そして、読み

    「知財実務」の真の姿はここにある〜期待を裏切らなかった「セオリー」シリーズ。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
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    shrk 2014/09/18
  • 産業界の「方針大転換」の行く末〜職務発明制度見直しはどこに向かうのか。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

    かねてから、当ブログで、「そもそも、なぜ法改正が必要なのか?」ということを問いかけてきた、特許法35条(職務発明に関する規定)の改正をめぐる問題が、いよいよ議論の最終章に突入しようとしているようである。 「特許庁は企業の従業員が発明した特許について、条件付きで企業に帰属させる方向で検討に入った。いまは発明した従業員が特許を持つが、企業の設備や同僚の協力なしに発明するのは難しいためだ。ただ従業員に報酬を支払う新ルールを整備し、企業が発明者に報いることを条件とする。」 「特許庁が3日に開いた有識者会議では、経団連の和田映一氏ら産業界の委員が『法律で発明者に報奨することを定めるのは、企業と従業員の双方に有意義』と表明した。」 (日経済新聞2014年9月4日付け朝刊・第5面) この議論が始まって以来、明らかに不正確だったり、単なる観測気球としか思えないような記事が、あちこちで紙面を飾っていること

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    shrk 2014/09/16