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ブックマーク / molice.hatenadiary.org (38)

  • 詳説「ダンウィッチの怪」第1章-4 - 墨東ブログ

    さて、我々はかくの如くにして、ダンウィッチの地理上の位置をある程度特定することができた。この先に進む前に、最後に残された問題−−「ダンウィッチ」という名前について、解決しておかねばならないだろう。 ラヴクラフトが「ダンウィッチ」という地名をどこから捻りだしてきたのかについては、古くから定説とされている先行作品がある。 19世紀英国の詩人アルジャーノン・チャールズ・スウィンバーンが1880年に発表した、"By the North Sea(北海)"だ。スウィンバーンのこの詩は、英国の東岸、サフォーク州沿岸の都市ダンウィッチを題材にした作品なのである。 ダンウィッチはブライス川とダンウィッチ川の河口の町で、かつてこの地方で勃興したイースト・アングリア王国の中心的な都市として繁栄した。 イースト・アングリア王国自体の興亡とは無関係に、13世紀以後、このダンウィッチは衰退の一途を辿った。1286年頃

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    sphynx 2017/03/14
  • 『グラーキの黙示録』の最新設定 - 墨東ブログ

    ラムジー・キャンベルの〈最新作〉、"The Last Revelation of Gla'aki(グラーキ最後の黙示録)"をようやく入手しました。 The Last Revelation of Gla'aki 作者: Ramsey Campbell出版社/メーカー: PS Publishing発売日: 2013/06/01メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (2件) を見る 発売日は2013年6月1日となっているのですが、なかなかネット書店で出回らず、翻訳家の尾之上浩司氏やダーレス研究家の竹岡啓氏などと、「当に出ているんだろうか……」とちょくちょく話題にしていたのでした。 キャンベルは、H・P・ラヴクラフトの時代にはいささか遅れましたが、アーカム・ハウスの熱心な読者たちの中から作家として引っ張りあげられた、英国在住の第二世代クトゥルー神話作家の一人。グラーキ、ダオロス、イゴーロ

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    sphynx 2014/02/27
  • 寒き霧まく山なみをこえ - 墨東ブログ

    「弾はピストルから発射されたものだ。あの距離からピストルで人を撃ち殺すとはかなりの名手だ。手が少しでも震えれば命中しないだろうから、冷静で、暴力に慣れているが、ギリギリまで撃てなかったのは道義心が強い人物だ。つまり探すべきは軍隊に入っていたことがあり、鋼の心を……」 BBCのTVドラマ『シャーロック』において、ベネディクト・カンバーバッチ演じる現代のシャーロック・ホームズが、アフガン帰りのジョン・ワトソン(だと、彼は知らなかった人物)の人柄について推理するシーンのセリフだ。 ワトソンを演じるのはマーティン・フリーマン。英国出身の俳優にして、コメディアン。そして今回、『ホビット 思いがけない冒険』において、主役の座を射止めた人物である。 さて、彼が演じるビルボ・バギンズとはどのような人物だろうか? 映画『ホビット』におけるビルボのキャラクターは、『ロード・オブ・ザ・リング(以下、LotR)』

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    sphynx 2012/12/15
  • 古き洞穴の地の底をめざして - 墨東ブログ

    ピーター・ジャクソンは今回、J・R・R・トールキンの原作『ホビットの冒険』を三部作の映画として解体・再構築するにあたり、「理由」というものを重視したように思える。 あらゆるシーンにおいて、原作では曖昧にしか説明されていなかった「何故、これはこうなのか」という部分が、視聴者にはっきりとわかるように示されている。 例えば、有名な3匹のトロルのシーン。エリアドールの北、エテン高地に住みついているトロルが何故、街道のあたりまで南下してきていたのか。そして、エレボールのドワーフ(『ロード・オブ・ザ・リング』のギムリも含まれる)がエルフを毛嫌いしているのは何故なのか。 ジャクソンは、原作の筋であるドワーフたちの探索行の背景でひそやかに進行していた、通奏低音とも言うべきドル・グルドゥアを巡る物語をクローズアップし、賢人会議の面々や茶のラダガストを登場させることで、中つ国の西部に垂れこめる暗雲を描いて見

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    sphynx 2012/12/15
  • クルゥ・スルゥ! - 墨東ブログ

    8月末に、映画雑誌『映画秘宝』の刊行元である洋泉社から、ムック『別冊映画秘宝大宇宙映画超読 「エイリアン」「プロメテウス」驚異の世界』が発売されました。 別冊映画秘宝大宇宙映画超読「エイリアン」「プロメテウス」驚異の世界 (洋泉社MOOK) 作者: 別冊映画秘宝編集部,岸川靖出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2012/08/27メディア: ムック購入: 7人 クリック: 37回この商品を含むブログ (9件) を見る こちらに、朱鷺田祐介氏が「エイリアンとクトゥルフ神話 宇宙の深遠に潜む恐怖の存在」と題するコラムを寄稿されていて、主に精神性、テーマ性の観点から映画『エイリアン』シリーズとクトゥルー神話の関わりについて解説されております。 朱鷺田氏も書かれているように、「ダン・オバノンは、当初、このクトゥルフ神話の宇宙版を作ろうとしていたと言われている」ことはよく知られていますが、具体的

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    sphynx 2012/10/02
  • 『ジャイアニズム』のスチームパンク・シリーズ特集 - 墨東ブログ

    このたび、エンターブレインさんのムック『ジャイアニズム』Vol.4において、スチーム・シリーズ特集の構成からインタビュー・対談・座談会の司会進行、各記事制作まで、不肖・森瀬繚がお仕事させていただきました。 ジャイアニズム Vol.4 (エンターブレインムック) 出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2012/09/29メディア: ムック購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る スチームパンク・シリーズとは、PCゲームメーカーであるLiar-Softさん、そしてシナリオライターの桜井光さんが展開されている人気シリーズです。2006年12月発売の『蒼天のセレナリア』をもって幕を開け、年末には第6作『黄雷のガクトゥーン』が発売される予定です。 19世紀前半におけるカダスと呼ばれる異世界(実は別の惑星)の発見によって、異なる歴史を歩み始めた地球。カダスの技術と、

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    sphynx 2012/09/29
  • スチームパンク:プロトタイプ - 墨東ブログ

    さて、既に『ジャイアニズム』を手に取られました方は、桜井光さんのロングインタビュー(第2部)中、スチームパンク・シリーズの〈前身〉として、桜井さんが一冊の同人誌に触れられているのを目にされたことと思います。『機動鋼鉄ウルメンシュ00(ダブルオー)』−−『ジャイアニズム』の発売を記念して、こちらについてざっくりご紹介させていただきます。 『機動鋼鉄ウルメンシュ00』は、コミックマーケット65(2003年12月)にて頒布された同人誌です。エンターブレインから刊行された『装甲騎兵ボトムズTRPG』のルール使用を前提とした、オリジナル世界のスチームパンクTRPG−−の予告編といった感じので、プレストーリー(小説)、世界概略、キャラクター紹介、年表、用語&兵器事典を含みます。サークル名は「真世界GCS」。イラスト漫画家のあきづきりょう氏(秋月亮名義)が担当。テキスト周りは合同ペンネームの「JMS

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    sphynx 2012/09/29
  • 2012年におけるクトゥルー神話ブームについての所感 - 墨東ブログ

    フリーペーパーR25のweb媒体である「web R25」さんに、「クトゥルフ神話ブーム」についてコメントを求められました。記事の方はこちらにあがっていますが、実際に回答した内容を見てみたいというリクエストがありましたので、転載してみます。(質問文については適宜いじりました) 質問1:「クトゥルフ神話」とは何か? クトゥルー神話とは、20世紀前半にアメリカで刊行されていた『ウィアード・テールズ』などのパルプ・マガジン(粗悪なパルプ紙を用いた安価な読み物雑誌)で活躍した作家、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトを中心とする一群の作家達が、自分達が創造した太古の神々や魔導書などの固有名詞を互いの作品で共有していくという楽屋落ち的なお遊びを通し、意図せずして作りあげた架空の神話体系です。 複数の作家が同じ世界観を共有する創作スタイルを「シェアード・ワールド」と呼びますが、クトゥルー神話の場合は必ず

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    sphynx 2012/05/28
  • [お仕事] 『ゲームシナリオのためのSF事典』(ソフトバンククリエイティブ) - 墨東ブログ

    まず最初に、質問させていただきます。SF って、何でしょう? 僕の考えでは、この設問について全ての人間を納得させうる回答は存在しません。 「サイエンス・フィクション」そのものが、「空想(フィクション)・科学(サイエン ス)」「科学(サイエンス)・小説(フィクション)」という二重の意味をもちます。 では、共通項「科学」に着目すれば良いかというと、決してそうではありません。 −−『ゲームシナリオのためのSF事典』まえがきより抜粋 ソフトバンククリエイティブでの久々のお仕事は、『ゲームシナリオのためのSF事典』です。山北篤さんの『ゲームシナリオのためのファンタジー事典』に続くシリーズ2冊目ということになりますね。 このシリーズは、コンシューマゲームのシナリオライター志望者のための手引書です。「事典」というよりも「アンチョコ集」に近いですね。 ガチなSF作品というよりも、SFに余り親しんでいない人

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  • マアナ=ユウド=スウシャイ、夢見るままに…… - 墨東ブログ

    [Twitterで連投したネタより転用] 2005年にケイオシアム社から刊行された『マレウス・モンストロルム(Malleus Monstrorum)』の書名は、おそらく15世紀の異端審問官によって書かれた『魔女に与える鉄槌(Malleus Maleficarum)』のパロディであろう。『怪物に与える鉄槌』。即ち、屠られるべき手配怪物百科というわけだ。 『マレウス・モンストロルム』は、CoC(クトゥルフ神話TRPG)のセッション上で使用することを前提とする、クリーチャーデータ集である。解説クリーチャー数は実に380種。H・G・ウェルズの火星人からジョン・ウィンダムのトリフィドまで、実に様々な怪物が、CoCの数値データと共に名前を連ねている。マニア心をたいそうくすぐるデータ集ではあるけれど、それなりの批判も寄せられている。 例えば、「ウェンディゴ」の項目に、このような記述がある。 「2体以上の

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  • ラノラダの兄弟 - 墨東ブログ

    閑話休題−−と、ここからが題。 H・P・ラヴクラフト自身の口(というか筆)で、クトゥルー神話とペガーナ神話の結び付きについて直接的に言及されたことが1度、あったりする。 ラヴクラフトは、1930年10月7日付のC・A・スミス宛ての手紙の中で、次のように書いている。 「ダンセイニ卿の作品に出てくるラノラダは、神々が彫刻したもので、ボドラハーンから出る駱駝の道のかなたにある砂漠中の砂漠、第七砂漠に立っていますが、ツァトゥグァはそのラノラダと実の兄弟です」 このラノラダというのは、正確には神ではない。マアナ=ユウド=スウシャイの秘密を知ってしまったがために、沈黙を続けている叡智の神フウドラザイの似姿として丘に彫り込まれた神像だ。「曠野の眼」とも呼ばれている。 先に掲げたラヴクラフトの手紙は、スミスから贈られたツァトゥグァの彫像への返礼だ。「ラノラダ(神像)と実の兄弟」というのは修辞的な表現であ

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  • 旧支配者? 古のもの? - 墨東ブログ

    『うちのメイドは不定形』で、「前の御主人」について「グレート・オールド・ワン」のルビを振ったことについて、若干の混乱が起きてる様子。ご自分で調べていただきたいところではありますが、過去原稿を流用しつつ軽く触れておきましょう。 ラヴクラフト作品における"Great Old One"の初出は「クトゥルーの呼び声」(1926年)。文庫版全集では「大いなる古き神々」の訳語が与えられています。大いなるクトゥルーは"Great Old One"の大祭司とされています。地球上の信者たちはクトゥルーの似姿を彫像で知っていても、神々がどのような姿をしているのかは知らないとされつつ、その少し先には"Great Old One"はクトゥルーの眷属なのだと読みとれなくもない記述があります。(『エンサイクロペディア・クトゥルフ』のダニエル・ハームズ氏はこの見解を採っているようです)。 続いて、「ダンウィッチの怪」。

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  • 詳説「ダンウィッチの怪」お箸休め - 墨東ブログ

    現在連投中の「詳説ダンウィッチの怪」について、いくつか。 序章 AQUILA ARGENTEA(白銀の鷲) 第1章 ARKHAM CYCLE(アーカム物語群) 序章15KB、執筆に6時間。第1章33KB、執筆にほぼ序章の2倍。 着実に増殖しとりますね。平日に1日1時間程度時間をあてたとして……週に2章進められればいい感じですね。今回はついうっかり土日を執筆にあててしまいましたが、以後はあれこれ予定が入っておりますもので。 なお、現状のプロットはこんな感じです。脳内では書き終え済みなのですけれど、テキスト打ち込みに時間がかかるのは致し方なく。脳と端末を直結したい今日この頃です。 第2章 BY THE HILL OF DREAMS(夢の丘にて) 『夢の丘』はじめ、「ダンウィッチの怪」の元ネタとなった作品群。マッケン、ホーソーン、ブラックウッド、ラッドたち……そして今回新たに発見した知られざる元

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  • 詳説「ダンウィッチの怪」第1章-3 - 墨東ブログ

    ニューイングランド地方を背景とするラヴクラフトの小説作品は、多くの場合、その直前に彼が直接その地に足を運んだことが執筆のきっかけになっている。 不全麻痺を患い(実際には梅毒であったようだ)、精神に異常を来たしてプロヴィデンスのバトラー病院に入院した夫ウィンフィールドを亡くした後、感受性の強い女性だったラヴクラフトの母サラもまた神経を病み、精神を病み、度重なる奇行を繰り返した後に1921年5月21日に亡くなった。 ラヴクラフトを溺愛し、独占し、創作を含む精神活動を除く彼の私生活のあらゆる面を支配していた母が亡くなったことは(ラヴクラフトはそれでも母を深く愛していたようだ)、他人と親しく交わらず、ばかり読んでいた天才肌の青年にようやくもたらされた〈解放〉の瞬間だった。 彼はボストンなどの町で活動していたアマチュア文芸愛好家グループに参加し、生まれて初めて得た同好の友人たちと共に、ニューイング

    詳説「ダンウィッチの怪」第1章-3 - 墨東ブログ
  • 詳説「ダンウィッチの怪」序章-3 - 墨東ブログ

    さて−−。『アエネーイス』中盤最大の山場とも言える第6巻、息子アエネーイスがイタリアの地で創りあげる新たな国−−ローマの運命について、老父アンキーセスが告げる予言に思いを馳せ(冒頭に掲げた引用はその一部)、街を覆うハロウィーンの賑わいに耳を傾けたラヴクラフトは、その夜、久しぶりにローマの夢を見た。極めて色鮮やかな、細部まで思い出すことのできる夢として、である。 後述するが、それはラヴクラフトがかねて待ち望んでいた夢だった。欣喜雀躍の喜びを示した彼は、早速、ルキウスの目を通して彼が目撃した事件について、細大漏らさず詳細に記録した。のみならず、彼は友人たちにもこの喜びを分け与えようと、書簡の中で幾度も幾度も、飽くことなくこの夢の話題を繰り返している。 筆者の手元で確認した限りでは、ざっとこんな感じである。 1927年11月2日 ドナルド・ワンドレイ宛(「古えの民」) 1927年11月 バーナー

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  • 詳説「ダンウィッチの怪」序章-2 - 墨東ブログ

    「古えの民」は、ラヴクラフトの死後、1940年にSFファンジン"Scienti-Snaps"第3号に掲載されたのが初出である。その後、1944年にアーカムハウスから刊行されたラヴクラフトにまつわる拾遺的な作品集"Marginalia(欄外)"に掲載されている。 日では、福岡洋一氏の翻訳が国書刊行会の『定ラヴクラフト全集』第4巻に収録されているものの、東京創元社の文庫版全集には入っていない。但し、青心社文庫の『クトゥルー』11巻の巻末に掲載されている「補足資料 ラヴクラフト書簡より」、そして文庫版『ラヴクラフト全集』7巻の「夢書簡」に、宛名こそ違うものの、ほぼ同内容の文章を見つけることができる。 種明かしをしよう。 この〈小説〉は、実のところラヴクラフトが友人ドナルド・ワンドレイ−−オーガスト・W・ダーレスと共にアーカムハウスを立ち上げた人物−−に書き送った手紙そのものなのだ。ラヴクラフ

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  • 詳説「ダンウィッチの怪」序章-1 - 墨東ブログ

    「おお見よ何と精力に、彼らは満ちてしかもなお、市民のほまれの樫の木の、冠巻いてその枝は、額の上に影おとす。汝のためにあれたちは、ノーメントゥムやガビイーや、フィーデーナ市を建設し、コルラーティアの高城や、ポーメティイーやイヌウスの、砦やポーラとコラの市を、山頂高く置き据えよう。今は名を欠く土地土地も、これらの名前を持つであろう」 −−プブリウス・ウェルギリウス・マロ『アエネーイス』上巻(岩波文庫)より [この詳説は、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの「ダンウィッチの怪」の既読を最低限の前提条件としております。また、可能なればPHP研究所から刊行されているコミック『クトゥルフの呼び声』『狂気の山脈』『インスマウスの影』に寄せた拙文も併せて読んでおいていただければ、稿と併せて大いに参考になるかと思います。] さて、H・P・ラヴクラフトの「ダンウィッチの怪」について詳説する前に、一見、この

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  • 詳説「ダンウィッチの怪」序章-4 - 墨東ブログ

    しかしながら、疑問が残る。 果たして、ラヴクラフトは数年来温め続けたこのプロットを、これほどまでに深い愛着をもって繰り返し語ってきた構想を、当に完全に破棄してしまったのだろうか−−。さて、筆者は読者諸兄諸姉の注意を喚起したい。 改めて、「古えの民」の概要を読み返して欲しい。あなたは「恐怖の山」ではなく、他の作品でこのプロットに遭遇したことはないだろうか。 ここで、ロバート・E・ハワードの最初のクトゥルー神話作品として知られる「黒の碑」を思い出された方は、実に炯眼かつ熱心なクトゥルー神話読者であることと思う。筆者も全く同意見で、ハワードはラヴクラフトから伝えられたローマの夢をベースに「黒の碑」を書いたのだと確信している。ちなみに、「黒の碑」の初出は"Weird Tales"1931年11月号。残念ながら、このことについて示唆的あるいは具体的な情報を与えてくれるであろう、ハワードとラヴクラフ

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  • ナチス政権下の南極探検 - 墨東ブログ

    稿は、コミックマーケット78にて刊行した森瀬の個人サークル誌『夏冬至点』2010年夏号掲載コラムの再掲です。来、PHP研究所のコミック『狂気の山脈』に寄稿した解説文に含める予定だったものの、ページ数の都合で割愛したテーマを扱ったものとなります。) ドイツ第三帝国を取り巻く、数多くの怪しからん伝説の中に、南極大陸における「ノイシュヴァーベンラント」にまつわるものがある。 連合国にドイツが降伏してから2ヶ月が経過した1945年7月10日、オットー・ヴェルムート艦長指揮下のドイツ海軍の潜水艦U-530がアルゼンチンのマルデルプラータ港に突然、その姿を現した。その1ヶ月後、8月17日にはハインツ・シェファー艦長指揮下のU-977が同じくアルゼンチンに現れる。 ドイツ海軍のU-ボートが南氷洋で活動していることについては、戦時中から幾度か報道されていた。作戦海域から遠く離れた場所で、彼らは一体何

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  • 企画メモ「森瀬繚のラヴクラフトノミコン」 - 墨東ブログ

    通常日記を更新する時間がなかなか取れないので、とりあえずメモとして投下。はてな日記(某サイト立ちあがった後はそちら)連載形式で、ひたすらH・P・ラヴクラフトの特定作品の詳説を貯めて行くプロジェクトPHP研究所クラシック・コミックス『クトゥルフの呼び声』解説のラヴクラフト・パートを冒頭とし、『インスマウスの影』『狂気の山脈』の解説もいずれ取り込む形で増補したものを最終的に書籍化する。 最初の題材は「ダンウィッチの怪」。週1ペースで公開予定。 クトゥルフの呼び声 (クラシックCOMIC) 作者: ハワード・フィリップス・ラヴクラフト,森瀬繚,宮崎陽介出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2009/11/26メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 7人 クリック: 408回この商品を含むブログ (24件) を見る インスマウスの影 (クラッシックCOMIC) 作者: ハワード・フィリッ

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