九州・福岡といえば明太子、明太子といえば福岡。このことに異論を唱える人は少ないだろう。 ただし、明太子が福岡の名産だということが人々の間に認識され始めてからは、まだ40年ほどしか経っていない。博多まで新幹線が延伸したことが大きなきっかけだった。 明太子(辛子明太子)は、スケドウダラのたらこを唐辛子などで漬け込んだ食べ物で、ルーツは諸説あるが、日本において初めて明太子を製造、販売したのが、福岡市に本社を構えるふくやだ。 最も古い老舗の明太子メーカーであり、福岡の数ある同業者の中でも売り上げがトップレベルの約150億円。従って、あたかも先陣切って福岡の明太子を全国に広めていった立役者かと思いきや、「ふくやが明太子を全国区にしたわけではありません」と、同社の川原正孝社長はきっぱり。新幹線開通当時、ふくやは福岡市内で2店舗しか展開しておらず、デパートなどへの卸売りもやっていなかった。他の明太子メー