新型コロナウィルス対応から見る世界保健機関(WHO)の危機対応体制の課題 2020-05-17 秋山 信将 (一橋大学教授/日本国際問題研究所客員研究員) はじめに 新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、国際協調が、全世界を巻き込む国家の危機においていかに脆いものであるかを白日の下に明らかにした。現代社会は、ヒト、モノ、カネ、そして情報が国境を越えて流通するのを量的、質的、そして時間的に促進するグローバリゼーションによって築かれてきた。しかし、今回の感染症危機は、まさにこのグローバリゼーションから復讐を受けているようだ。中国の武漢で最初の症例が報告されてから、世界中の死者が20万人を超えるというグローバルな危機的状況に陥るまでわずか5か月しかかかっていない。そして、グローバル化したサプライチェーンは、各国の危機管理にも大きな影響を及ぼした。世界各国がほぼ同時多発的に危機的状況へと
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