耳の枠はずし１ オープニング：「きそうた」～「あわいの旅人」 前座の武徹太郎（馬喰町バンドのリーダー）の熱演ソロによる会場のざわめきが一息ついた頃、揃いの赤い衣装でステージに上った女性五人がそれぞれ所定の位置に着く。一瞬の静寂に続き曲が始まるかと思えば、ゆらゆらとざわめいている。各々の唇の動きとそこから漏れる響きが次第に像を結び始める。鳥や猿の鳴き声、蛙や虫の音、水音や木枝の鳴り‥‥呼び交す声音とジャラジャラ、カタカタと鳴るパーカッションが密林の音風景を浮かび上がらせていく。ベースの弓弾きをきっかけに打楽器が拍を刻み、ヴァイオリンが流麗にフレーズを奏で始める。そしてめくるめく声の饗宴が繰り広げられていく。コーラスの各声部が層としてただ縦に積み重なるのではなく、組紐細工のように絡み合いながら次々に異なる面を見せていく。声音が編み上げられ、ジクゾー・パズルが絵柄をくっきりと描き出したかと思えば、パンッと張
