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批評とtextに関するtxmx5のブックマーク (2)

  • 批評の初心(初出「新潮」)

    私たちにとって幸福なことなのか不幸なことなのかはわからないが、この世界にはひとつだって簡単に片付けられる問題などない。それはそうだ。今もってそうである。はるか遠い昔に、意識と呼ばれたりする何かと一緒に人間に与えられた、言葉という、私たちがものを考えるためのただ一つきりの武器は、今もって昔ながらのマジックをやめようとはしていない。それはそうだ。そうだろう。やたらと崇高であろうとしたり、そう思われようとしたがっているような言葉は、結局はなにか劣悪なるものへと仕向けられてゆくことになるのだし、ということはつまり、劣悪なる言葉とは、とかく崇高ぶりたがるものだ、ということでもある。でもしかし、もしも言葉が、ひとを幻惑するマジックを捨ててしまえたとしたら、それはきっと影のようなものになってしまうことだろう。 文学の世界に詩人が棲み、小説家が棲んでいるように、文芸批評家というものが棲んでいる。詩人にとっ

    批評の初心(初出「新潮」)
  • 蓮沼執太「作曲:ニューフィル」に寄せて

    蓮沼執太は最初ひとりだった。それから三人が加わって蓮沼執太チームになった。更に何人もが招かれて蓮沼執太フィルになった。フィルは段々人数が増えた。もしも今、開演前に客席でこれを読んでいるのなら、これからあなたが目にし耳にするのは、その最新の顔ぶれだ。 バンドではなくチームと呼ぶ。フィルハーモニックオーケストラとは言わずフィルとだけ名乗る。単なる語感の問題ではなく、このネーミングがとても彼らしいと思う。軽やかで風通しの良いイメージ。そしてこの感覚は、彼とフィル(チームは全員そこに含まれている)の演奏家たちとの関係性のありよう、そのユニークな距離感を端的に表していると思える。 フィルの十五人のメンバーとは、それぞれ十五通りのコミュニケーションの仕方が存在している。大体こんなようなことを、彼はインタビュー記事で語っていたし、直接聞いたこともある。フィルのレパートリーには、もともとは別の形であった楽

    蓮沼執太「作曲:ニューフィル」に寄せて
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