詩人、ジャズ評論家にして偉大なるパロディストの奥成達が8月16日永眠した。73歳。 日本の戦後サブカルチャー史を紐解けば、その名前はところどころに散見されはするものの、あたかも自らの証拠を消していく知能犯のように、いまとなってはその名はさまざまな雑音のなかで滲み、遠のくようでもある。 奧成達とは、中学時代に北川冬彦の門を叩いた逗子の早熟な詩人であり、あるいは詩とジャズを結合させるというビートニク的展開の実践者でもあり、そして怪人四面相、異魔人、芸術一番館などなど、さまざまなペンネームを使い分けて権威を小馬鹿にし続けたパロディストである。 彼が創刊に関わった1968年の雑誌『NON』は、80年代で言えば『HEAVEN』のような雑誌だ。特集は「暴動」で、寄稿者には赤瀬川原平、白石かずこ、平岡正明、松田政男らがいる。奧成達はその雑誌の最後に、アレン・ギンズバーグの「吠える」ばりの錯乱した言葉を連