サブモーション・オーケストラの新作『カイツ』を手に取ったとき、そのジャケットのアートワークが醸し出す雰囲気から、シネマティック・オーケストラの『マ・フルール』(2007年)をふと思い起こした。『マ・フルール』のジャケットは美術家のマヤ・ハヤックが撮影した風景写真で、アナログ盤にはほかにも10数枚のレコード・サイズの写真が同封され、音楽とアートワークでひとつの作品として成立するものだった。作品内容もそれ以前のジャズ色の濃い重厚で壮大なものから、フォークトロニカやアンビエント寄りの穏やかで美しいものへと変化し、ストリングスに象徴されるオーガニックなテイストも印象的だった。シネマティックの転機となった作品で、彼らの最高傑作に推す人も多い。『カイツ』の方はフィルムのコマ送りのように分割された多数の写真を用い、収録曲それぞれに一枚ずつの写真が割り振られている。その中の“ブランチズ”に添えられた写真は