text by 剛田武 Takeshi Goda Kyou Records 11CD Box : remodel 05 CD-1 TOLERANCE/Anonym(79年) CD-2 TOLERANCE/Divin(81年) CD-3 NORMAL BRAIN/Lady Maid(80年) CD-4 SYMPATHY NERVOUS/Sympathy Nervous(80年) CD-5 ≪7インチ・シングル≫ ・SYMPATHY NERVOUS/ポラロイド(80年) ・マッド・ティー・パーティー/ハイド&シーク(80年) ・パーフェクト・マザー/You’ll no so wil (80年) CD-6 R.N.A.ORGANISM/R.N.A.O. meets P.O.P.O.(80年) CD-7 BGM/Back Ground Music(80年) CD-8 あがた森魚/乗物図鑑(80
ミ二マル・ミュージックは反復の音楽だとよく言われるが、はたして話はそんな簡単なのだろうか。そもそもミニマル・ミュージックは反復という手段を用いて、最小限の音素材やフレーズから差異や、変化をうみだすもので、ミニマルという言葉自体に反復という意味があるわけではない。反復といっても反復されるもととなるオリジナルが明確に楽曲にあるわけではないようだし、もはや何を反復しているのだろうかとふと思ってしまったり。 スティーヴ・ライヒの『ドラミング』が46年ぶりにオリジナル・マスターテープよりリマスタリングされ再リリースされた。『ドラミング』といえば、1974年グラモフォン盤や1987年のノンサッチ盤などが有名だが、いくつかあるドラミング音源のうち本作は1971年のニューヨークのタウンホールでの演奏を収録している。厳密な意味で、ミニマルと呼べるのは、1965年に作曲されたい『イッツ・ゴナ・レイン』から、7
いくつものサウンド・エレメントが接続・編集・加工されるミュジーク・コンクレート的な手法を援用しながら、「シネマティック=映画的」な感覚/情感の音楽/音響作品を構築する。2017年のエクスペリメンタル・ミュージックにおいて、そのような映画的なムードを感じさせる作品(アルバム/EP)がいくつもあった。 それらは皆、音響的には複雑で、多層的で、ときにノイジーですらあっても、しかし聴感上は静謐だった。たとえば坂本龍一の新作『async』における「非同期」の概念とも交錯する。音、音楽、微細なノイズ、楽音などが、まるで映画のシークエンスのように、それぞれが別の層に、イマジネティヴに展開されているのである。 そもそもミュジーク・コンクレート的な技法を援用することは(サンプリング全盛期の90年代コラージュとの差異だろう)、ヴェイパーウェイヴ~ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー以降、トレンドになっていた
世界の基盤はぶっ壊れている。 壊れている、壊れている――。 歪んだヴォーカルがそう歌う。昨年死去したデイヴィッド・アクセルロッド、その楽曲から採取された音声の残響はやがてファンキーなリズムを呼び寄せる。マーヴィン・ゲイとも比較されるコンシャスなソウル・シンガー、マイク・ジェイムズ・カークランドのバックトラック。その合間には、落雷のようなディストーションが差し挟まれる。グルーヴィンで心地良いはずの音楽が、どうにも不穏な空気に脅かされている。まるで古びたブラウン管が華やかな音楽ショウと戦争を知らせる報道番組とを交互に高速で映し出しているかのようだ。そしてプツッ、と故障したかのように音は唐突に鳴り止み、アルバムは次の曲へと進んでいく。 たしかに壊れている。何が? テレビだろうか。それともやはり、それが映し出す世界だろうか。 冒頭の“This Old House Is All I Have”、「私
作者が死んだのはちょうど50年前のことである。テクストは作者の考えていることを表したものではないし、ましてや作者の人間としての内面を吐露したものなどでは断じてない。テクストは引用の織物であり、内面なんてものはそれが言語によってしか説明されえない以上、すべて事後的に構成されるものである。 もちろん、そのように人間を縮減していく試みは、19世紀の終わりから20世紀半ばにかけて何度も試みられてきた。詩人は言葉に主導権を譲らねばならないと主張した詩人、書物は日常生活を営む自我とはべつの自我によって生み出されると考えた小説家、ゲームや無意識など主体のコントロール外にある偶然的要素を創作に活かそうとした文学・美術グループ、あるいは「この女」と言うためにはその女から実態を剥奪し殺戮してしまわなければならないと説いた批評家。けれど、よりわかりやすい形で人間としての作者に死が与えられたのは、やはり1968年
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