「あの時 お互いの こえが聞こえていたら どんなに良かったか」 『聲の形』は、小学校に転校してきた耳の聞こえない少女・西宮硝子と、西宮をいじめていた過去を悔やみ、高校生となったいま、戸惑いながらも西宮とやり直そうと試みる石田将也を中心とした物語だ。 第4巻は、前巻に続いて、小学校時代に西宮へのいじめに加担し、西宮転校後は石田をいじめていた、あるいはそれに巻き込まれていた同級生たちとの再会が描かれている。これまで順調に築かれているようにみえたさまざまな関係が、登場人物が増えたことで、次第に不穏な空気が流れていく。 冒頭の引用は、第2巻、手話を覚えた石田が西宮と再会した際のセリフだ。「西宮の耳が聞こえていたら」ではなく、「お互いの こえが聞こえていたら」だということに気づいてハッとした。その理由はふたつ。ひとつは言うまでもない当然の理由。もうひとつが、そもそも、耳が聞こえる/聞こえないにかかわ
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