だいぶ前の話になるが、映画『アトミック・ブロンド』を観た。来年公開予定の『デッドプール2』の監督も務めるデヴィッド・リーチが作りあげたこのスパイ映画は、壁が崩壊する前夜のベルリン、年代で言えば1980年代末を舞台にしている。物語は、世界情勢に深く関わる極秘リストを奪還するため、MI6によってベルリンに送り込まれたロレーン(シャーリーズ・セロン)を中心に進んでいく。厳しいトレーニングを積んだうえで臨んだというシャーリーズ・セロンのアクションなど、見どころが多い内容だ。なかでも圧巻だったのは、スパイグラス(エディ・マーサン)を逃がすときにロレーンが披露する体技。ビルの階段を移動しながらおこなわれるそれは7分以上の長回しで撮られており、華麗に立ちまわるロレーンの姿がとても美しかった。 アクションでよくある、ご都合主義的な綺麗さが見られないことも特筆したい。華麗に敵をなぎ倒していく様は映画的でも、