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ブックマーク / facta.co.jp (14)

  • 戦後の時めき「ピアノの恋人」

    ピアニストの手というと華奢で繊細な印象を持ちやすいが、中村紘子さんの手はどちらかといえば逞しかった。 伝説的なサロンだった東京・三田の自宅の広いリビングにはグランドピアノのわきに、石膏でできた実物大のショパンの左手のレプリカが置かれていた。 21歳の時、ワルシャワのショパン国際ピアノコンクールに最年少で入賞して国際舞台へデビューを飾った折の記念品で、それを手に取りながら「私の手より小さい」と重ねて見せたことがある。 その逞しさは国際的なクラシック音楽の戦場でたたかうピアニストを「蛮族」と名付けて、日ごろのたゆまぬ鍛錬と研究を積み重ねながら戦後の日のピアニストを世界に導いてきた、中村さんの勲章であったろう。 日人のピアノを縛り続けた、折った指を鍵盤に立てて弾く「ハイフィンガー」と呼ばれる奏法を改めた。その探求のなかからチャイコフスキーやブラームス、ショパンといった作曲家のレパートリーに独

    戦後の時めき「ピアノの恋人」
  • 三菱UFJ銀行の「仮面」<上>

    三菱UFJ銀行の「仮面」<上> 日IBMと親密な畔柳頭取時代のニイウスコー事件を再検証。入手した物証から浮かぶ驚くべき真相とは。 2012年7月号 COVER STORY [メガバンクの恥部] 誌は1年前、株主総会前のオリンパスに質問状を送った。木で鼻をくくったような回答に奮起した調査報道の結果は、ご承知の通りだ。今年の標的を指名しよう。三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の中核、三菱東京UFJ銀行である。6月8日金曜夜、誌質問状への銀行の回答が届いた。「事実に蓋をした事実はございません」。やった! まんまと罠にかかった。その嘘を暴く物証が手元にある。舞台は「三菱UFJの恥部」と言われたITソリューション大手のニイウスコーである。東証1部上場企業だったが、循環取引などの粉飾が明るみに出て、08年に民事再生法を申請、その後解散に追い込まれた。創業者の元会長と元副会長が有価証券報

  • ウェブメディアの勢力図に「異変」

    ビジネス系ウェブメディアの勢力図に異変が起きている。8月、新興の「現代ビジネス」(講談社)が「日経ビジネス・オンライン」(日経BP社、以下NBO)を媒体力を示す月間ページビュー(PV)で抜いた(ニールセン・ネットレイティングス調べ)。 NBOといえば、ビジネス誌が手掛ける格ウェブメディアとして06年にスタートして以来、長らく読者数・PVともにトップの座を守ってきたが、ここ一年はライバルの「ダイヤモンド・オンライン」(ダイヤモンド社、以下DOL)の後塵を拝することが多くなっていた。DOLの伸びについて、社内関係者は「雑誌の大特集主義に対して、ウェブは個々の記事の積み重ねが大事。ターゲットや立ち位置にこだわらず、幅広いコンテンツを提供できたことが要因では」と分析する。 独立系の「JBPRESS」(日ビジネスプレス、以下JB)も存在感を高めている。PVの変動幅は大きいものの、昨年10月と今年

    ウェブメディアの勢力図に「異変」
  • 存亡の淵「マイクロファイナンス」

    存亡の淵「マイクロファイナンス」 ノーベル平和賞の「小口金融」に自殺続出。高金利と追い貸しでインド版サブプライムか。 2011年6月号 GLOBAL by ナヴィン・ウパディヤイ(インドの英字紙「パイオニア」誌編集局長) 貧困撲滅と収益を両立させるマイクロファイナンス(貧困層向け小口無担保融資)が存亡の危機にある。発祥の地バングラデシュのグラミン銀行では、06年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス総裁が3月2日、中央銀行に解任された。隣国インドでも、投資家ジョージ・ソロス氏の支援も得て昨年8月にマイクロファイナンス機関(MFI)初の上場を遂げたSKSマイクロファイナンスが、わずか9カ月で株価が発行価格の3分の1に落ち込んだ。 ユヌス解任は現政権との政治的確執が原因とされているが「貧困層にカネを貸して潤う吸血鬼」(シェイク・ハシナ首相)とのMFI批判にも一理ある。現にMFIが盛んなイン

    存亡の淵「マイクロファイナンス」
  • 書籍・雑誌の販売額が10年前の20%減に

    わが国の「活字離れ」が深刻だ。出版業界誌『出版月報』の推計によると、2007年の出版物の販売額は前年比3.1%減の2兆853億円と、3年連続の下落だ。1997年は2兆6千億円を超えていただけに、この10年間で20%強(6千億円)、国民1人当たりで5千円も減った計算になる。 書籍は前年比3.2%減の9026億円。『ハリー・ポッター』シリーズの新刊が出た02、04、06年は前年を上回り、出なかった年はその反動で沈むという『ハリポタ』頼みが続いている。気を吐いたのは、200万部を超えた『女性の品格』(PHP研究所)などの教養新書や映画テレビドラマと連動した文庫など低価格だけ。平均単価は同3.8%ダウンの1131円と5年連続で低下した。 雑誌も同3.1%減の1兆1827億円で、10年連続の減少。特に月刊誌は同4.1%減と、この10年間で最大の落ち込みに。 週刊誌は同0.9%増と盛り返したが、

  • ニュースサイト戦国時代2――ヤフー包囲網の底抜け:阿部重夫主筆ブログ:FACTA online

    阿部重夫主筆ブログ「最後から2番目の真実」 2007年9月29日 [メディア論] [ネットとメディア]ニュースサイト戦国時代2――ヤフー包囲網の底抜け 私の古巣は新聞社だから、今回のニュースサイト大再編はもともと他人事ではない。私が記者だった時代にも、QUICKなどの速報媒体へニュースを送っていたから、紙と電子メディアの相克は身をもって知っている。 それゆえ、新聞側がヤフーに感じる脅威感はよくわかるつもりだ。しかしFACTAはヤフーと記事提供(雑誌掲載記事の一部)の契約を結び、インターネットではコンテンツ・プロバイダーの立場でもある。攻める側、守る側の両方を見ているのだ。 現在、ヤフーのニュースサイトに読売は記事を提供しているが、朝日、日経は提供していない。共同通信もモバイルを除いては提供をやめた。しかし、毎日、産経、時事のほか、AFPやロイターなど70社がヤフーにニュースを提供している。

    ushiwatat
    ushiwatat 2007/09/29
    日ヤフーもコンテンツマッチ広告を始めるようだし…。|朝、読で専売店を統合、そこに日経も乗る共販店プロジェクト||ある新聞社の社長は「販売でのお付き合いがあって」と本音を漏らしたという|
  • 介護現場を顧みない渡辺美樹・ワタミ社長

    介護業界最大手コムスンの事業売却問題の道筋が、ようやく付けられた。当初の一括譲渡方針から転換して、訪問介護など在宅系は都道府県ごとに分割して各県1社に譲渡、有料老人ホームなど居住系は1社に譲渡されることになった。 この方針転換にほくそ笑んでいるのが、居酒屋大手ワタミの渡辺美樹社長。一括譲渡では大手のニチイ学館に及ばないとみられたが、今回のスキームでは居住系譲渡先の最有力候補だ。ワタミは2005年、有料老人ホームを展開する「アールの介護」を買収して介護事業に参入した。売上高30億円弱の会社を70億円強で買収したことから高値づかみと揶揄されたが、今では主力の外がパッとしないワタミグループの収益を底支えしている。機関投資家の間では、早ければ3年後には外の利益水準を抜くと目されている。 ところが介護業界では、外仕込みの渡辺社長の「手法」にはとかく批判が多い。ワタミの買収後、「アールの介護」の

    ushiwatat
    ushiwatat 2007/09/18
    |介護職場は職員の頑張りで維持されているが、渡辺社長は何の追加手当もなく、食事、入浴対応などでさらなる負荷を押しつけた。職員が集団で抗議すると||長年貢献してきた介護職員に自主退職を促したという。|
  • 「夕刊フジ」が赤字転落リストラで苦境打破へ

    中心購読者層である団塊世代の大量リタイアが始まり、部数減が続いていている夕刊紙の中で、フジサンケイグループの夕刊フジが、ついに赤字に転落。休刊を視野に入れた大なたを振るう、との観測が流れている。 オウム真理教事件が世を騒がせた十数年前はスクープを連発し、40万部前後(公称150万部)の販売部数を誇った同紙も、団塊世代の退職に加え、若年層をフリーペーパーやフリーマガジンに奪われ元気がない。「駅売店で120円を出して夕刊紙を買うのはダサい中高年」などと揶揄されている。 最近では、JR東日などで駅ホームのキヨスク廃止が加速し、販売窓口の激減が追い打ちをかける。直近の部数が実売10万部台に落ち込み危機的な状況となった。 「読者構造、販売チャンネルの変化についていけない現状では、読者を維持することが難しい」と、産経新聞経営陣のもとでさまざまな改革案が検討された。まず、若者向けに内容を刷新する案が出

    ushiwatat
    ushiwatat 2007/09/18
    |「ゆくゆくは休刊する」(産経幹部)方向で検討を続ける模様だが、当面は編集幹部のクビの挿げ替え、大なたとは程遠い経費削減策で乗り切ることになった。|
  • 戦争「外注化」イラクでお手上げ

    戦争「外注化」イラクでお手上げ “現代の傭兵”は4万8千人駐在。米正規軍増派も焼け石に水で、民間軍事会社が槍玉に。 2007年7月号 GLOBAL 内戦状態のイラクから撤退すべしという内外世論に耳を貸さず、逆に米兵増派でテロを押さえ込もうとしたブッシュ政権「最後の賭け」は、どうやら失敗の烙印を押されそうだ。 5月29日、それを象徴する二つのニュースが飛びこんできた。イラク財務省に白昼堂々警察官の制服を着た武装グループが侵入、西側の財務専門家1人と民間軍事会社(PMC、Private Military Company)の警護員4人を拉致したのがその一つ。同じ日に「米兵の5月の死者数が114人に達し、04年11月以来で最悪の記録となった」とロイター通信が報じた。爆弾テロや狙撃、誘拐は増えるばかりで米軍とPMCの手に負えなくなってきた証拠である。国防総省や中央軍は増派失敗の結論を見越して「プラン

  • iPodの著作権料 朝日「誤報」の裏の裏

    iPodの著作権料 朝日「誤報」の裏の裏 著作権者に未配分の構図は、音楽業界の「社保庁」を思わせる。お粗末なJASRACの管理の実態が浮き彫りに。 2007年7月号 BUSINESS 5月17日付の朝日新聞朝刊に「iPod vs JASRAC 著作権料2.5億円不払い」と題された署名記事が載った。その内容は、携帯音楽プレーヤー「iPod」にダウンロードして楽しむ音楽の配信サービスで、米アップル社が支払うべき著作権料が日側に支払われていないというもの。 ところが、一転して19日付の同紙朝刊では訂正記事が載る。「『日側に支払われていない』とあるのは『JASRACに暫定使用料を支払ったが、著作権者には届いていない』の誤り」とする、記事の根幹が揺らぎかねない内容。しかも、訂正記事の横にはわざわざ「アップル側、支払い済み」と関連記事まで掲載する念の入れよう。アップルがかなりの剣幕で怒ったため、訴

  • 木を見て森を見ず 「ネットカフェ」規制

    木を見て森を見ず 「ネットカフェ」規制 「サイバー犯罪の温床」と警察は目の敵。だが、ネットバンキングなど出口のガード固めが先決。 2007年6月号 DEEP 「おそらく百人いれば、百通りの理由があると思います。……このままでいい、と思っている人は一人もいないはずです」 痛ましい言葉だ。ご存じだろうか。「ネットカフェ難民」という新しい形のホームレスが増殖していることを。冒頭の一節は、そんな難民が日々綴るブログからの抜粋なのだ。 ネットカフェとは、ブースにパソコン(PC)を備え、有料でネット利用ができる施設(中国韓国ではPC房)で、マンガ喫茶も最近は付属設備にPCを置くようになり、繁華街や駅前で急増している。深夜営業の店が多く、一晩1千~2千円程度とカプセルホテルに比べ安い。終電に乗り損ねた人には宿代わりになるが、それだけではない。 シャワー完備、飲OK、半個室状態で、宿帳など記入する必要

  • 現職閣僚めがけ東京地検が臨戦態勢

    現職閣僚めがけ東京地検が臨戦態勢 連休明け応援検事を招集して態勢を拡充。緑資源機構の官製談合事件はいよいよ風雲急だ。 2007年6月号 DEEP 独立行政法人緑資源機構の林道工事をめぐる官製談合事件と、松岡利勝農水相周辺の捜査は、着々と進んでいる。東京地検特捜部は応援検事を全国から集め全力を傾けている。これまで捜査に横槍を入れてきた法務省側にも変化があり、政権中枢にいる現職閣僚周辺のウミを出す日が近づいているようだ。特捜部が時の権力に真っ向から立ち向かうのは、1998年の大蔵汚職以来となる。 「頑張ります。熊崎さんのときのように闘いたい」。東京地検特捜部長の八木宏幸氏は1月16日の就任直後、元特捜部長の熊崎勝彦弁護士らとの会合で決意表明した。 権力中枢にメスが入るか 八木氏は東京、大阪両地検特捜部に約13年在籍し、イトマン事件や4大証券による総会屋利益供与事件、鈴木宗男事件などの捜査を担当

  • もう隠せない「中国弾圧」事情

    もう隠せない「中国弾圧」事情 全人代の最中に湖南省で暴動発生。非合法組織が海外メディアに情報提供。 2007年6月号 DEEP 4月に来日した中国の温家宝首相は、朝のジョギングや太極拳、大学野球部との交流に笑顔で参加した。その様子をテレビ局や新聞社に取材させ、「親しみやすいリーダー」の印象を日国民に売り込もうとした。 「親民」(国民重視)の姿勢は、3月5~16日に北京で開かれた全国人民代表大会(全人代)閉幕後の記者会見でも強調。「生活困難な民衆に目を向ける」「人民の民主的権利を保障し、公平・正義を推進する」「政治体制改革を推進し、権力の過度な集中を減らし、政府に対する監督を強化する」などと語った。 ところが、その全人代の期間に暴動が発生。海外メディアの知るところとなってしまった。世界のメディアが注目する全人代の期間中、当局はマイナス報道を厳しく抑え込むのが通例。今回も当初、国内メディアに

    ushiwatat
    ushiwatat 2007/05/28
    |今回の暴動で、海外メディアへの通報に力を入れたのが、「中国泛藍連盟」という中国大陸では非合法の組織だ。共産主義に反対し、孫文が提唱した三民主義を掲げている。|
  • FACTA online ― オンリーワンの総合情報誌[ザ・ファクタ]

    永守ニデックにソニー出身/「また社長交代」遊び! 後任のソニー出身者は「爺転がし」。弱音を吐き始めたカリスマ永守が4年後に勇退観測も。 中国版CIA 泣く子も黙る「中国国家安全部」 何がスパイ行為に当たるかは、彼らが決める。1983年の諜報機関創設以来、逮捕・起訴されて無罪となった例はない

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