モダンな映像、衝撃的なマスク、斬新な宣伝——何もかもが新しかった。時代を変えた作品は、いかにして生まれ、どんな哲学を持っていたのか。 角川映画の生みの親・角川春樹氏、『犬神家の一族』で助監督をつとめた浅田英一氏、そして角川映画に詳しい評論家・中川右介氏の3人が、あの名作を振り返る。 みんなマネしたあのシーン 中川右介 角川映画がスタートして今年で40周年。記念すべき最初の作品が、'76年秋公開の『犬神家の一族』です。当時、私は高校1年生。ミステリーが好きだったので公開が楽しみで、先行ロードショーをやっていた日比谷映画に足を運びました。 角川春樹 第一作ということで、公開には万全を期して臨みました。当時の日比谷映画の新記録となる前売り券5000枚を売り出し、それでも心配で、映画館の周辺でちんどん屋にビラを配らせたんです。映画界でちんどん屋を使ったのは初めてだったと思います。 浅田英一 当時、