「今日、釈放されます」。臨時国会召集を1週間後に控えた9月24日午前、仙谷由人官房長官から在日中国大使館の孔鉉佑公使に電話で連絡が入った。沖縄県・尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に衝突した中国漁船の船長釈放を那覇地検が発表したのは同日午後2時半。釈放決定は首相官邸中枢から中国側に事前通報されていた。 当時の政府の説明では、仙谷氏は官邸で柳田稔法相(当時)と協議中の午後0時半、法務省から連絡を受けた滝野欣弥官房副長官から検察の釈放判断を知らされたことになっていた。官邸は「検察判断」を強調していたが、実際には周到に仕組まれた政治判断だったことが、複数の関係者の証言から次第に明らかになってきた。 事件が起きた9月7日、海保を所管する前原誠司国土交通相(当時、現外相)は海保が15分ほどに編集した衝突時のビデオ映像を見て「ただちに逮捕、ただちにビデオも公開すべきだ」と官邸に報告した。中国の反発を警戒す
◇政府方針 政府は5日、11年度予算編成の焦点になっている子ども手当支給額の上積みのための財源として、高所得者の配偶者控除を廃止する方向で最終調整に入った。週内にも政府税制調査会での決定を目指す。給与所得1000万円(年収1231万円)を控除対象の上限とするほか、成年扶養控除も大幅縮小して、必要な約2400億円の財源確保を図る。 子ども手当については、11年度から3歳未満のみ現行の1万3000円から2万円に上積みすることで、野田佳彦財務相や細川律夫厚生労働相ら5大臣が合意している。しかし、上積みのための財源をめぐっては、配偶者控除の縮小などで確保する案と、手当支給に所得制限をかけることで浮いた財源を上積みに充てる案で意見が割れていた。 政府・与党内には、子ども手当の支給の所得制限について、「『社会全体ですべての子どもを育てる』とする子ども手当の理念に反する」との反対意見が根強い。また、民主
1日午後10時半ごろ、愛知県瀬戸市高根町の国道363号を横断中の同市西原町、無職、加藤博さん(73)が乗用車にはねられ、腰などを強く打って間もなく死亡した。県警瀬戸署は「運転していた」と話した同市の男子大学生(21)を自動車運転過失傷害容疑で現行犯逮捕、2日未明に釈放した。 だが約3時間後、男子学生が同署に再び現れ、「運転手は同乗の女子大学生」と説明。同署は一緒に出頭した名古屋市昭和区の女子学生(20)を自動車運転過失致死容疑で調べるとともに、犯人隠匿の疑いで男子学生らから事情を聴いている。 同署によると、乗用車にはこの2人と、同市名東区の女子大学生(21)が乗っており、3人とも署員に「男子学生が運転」と説明していた。【秋山信一】
前回「一度ネットに流れると……」で、紙の新聞なら未然に防げた誤りもインターネット速報では後追い対応となる例を紹介したが、ネット上の誤りを食い止める難しさを感じさせるケースはあちこちにある。 今秋の国勢調査では、東京都をモデル地域として導入されたネット回答方式を試してみた。専用ページを開き、画面の指示通り入力していくと、短時間で送信完了。手軽だ。ただし途中の説明画面で、職名の例に「看護士」とあるのが目に留まった。男女を区別する「看護婦/士」の名称は法改正で8年前から使わなくなっており、変換ミスだろう。紙に記入する方式の案内冊子には正しく「看護師」と書かれていた。 またある時。大手の地図検索サービスで「択捉島」を探したところ、日本国内に該当なしとして「択捉島,ロシア」とキーワードを足すよう促された。北方領土を公然とロシア領扱い? 仮に政治的意図はないとしても、これが国内で出版された紙の地図なら
◇菅政権、同盟頼み 日米安全保障条約の改定から50年。日米同盟を外交・安保政策の基軸に据えてきた日本は、東アジアの安全保障環境の大きな変化に直面している。中国は、領有権問題で近隣国への攻勢を強める。一方、米国は対中政策で強硬姿勢にかじを切り、尖閣諸島沖の漁船衝突事件を機に、アジアの安全保障秩序の形成により深く関与する構えを見せ始めた。米中がアジアの主導権を争う中、日本外交は行く先を見定められずにいる。【「安保」取材班】 ◇対米、試された危機対応力 「中国は『力』のみを信じる国だ。今回の尖閣危機で日本の対応をテストしたのだ」 菅直人首相が日中関係の立て直しに躍起だった10月下旬、米議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」のラリー・ウォーツェル氏は毎日新聞の取材に中国側の見方をそう分析した。駐在武官として北京の米国大使館に勤務した中国通だ。 尖閣事件で逮捕された中国人船長の釈放決定前の9月
政府が13年度から実施予定の幼保一体化に関する制度原案が明らかになった。現在の幼稚園と保育所の制度は10年程度の経過措置の後に廃止し、新たに創設する「こども園」に一本化する。幼稚園は文部科学省所管の「教育施設」なのに対し、保育所は厚生労働省所管の「児童福祉施設」で、共働きなどで家庭で保育できない世帯を対象としている。新制度は教育・福祉両方の性格を併せ持つ施設と位置づけ、親の働き方に関係なく利用できる仕組みとする。 1、4両日に開く政府の「子ども・子育て新システム検討会議」のワーキングチームで政府側が示す。年内に最終案をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する。ただ、政府原案には幼稚園と保育所双方の関係者の激しい反発が予想され、調整は難航しそうだ。 政府が6月にまとめた「基本制度案要綱」では、「幼稚園・保育所・認定こども園の垣根を取り払い、こども園に一体化する」とし、現行制度を否定していな
国土交通省は11日、ケニア・モンバサ港沖約90キロで日之出郵船(東京都千代田区)が運航する貨物船「IZUMI」(パナマ船籍、1万4162トン)が10日から海賊に乗っ取られていると発表した。乗組員のフィリピン人船員20人の安否は不明。「IZUMI」は東アフリカ・ソマリア沖に向かっており、ソマリア海賊対策のために派遣中の欧州連合(EU)などの艦船が追跡しているという。 国交省や同社によると、10日午前8時53分ごろ(日本時間10日午後2時53分ごろ)、モンバサ港に入港直前だった「IZUMI」から同社に緊急事態を示す通報があった。通報直後に船が針路を反転し、連絡も取れなくなったため、ケニア軍に安否確認を要請したところ、付近を航行中のEUの艦船から11日正午ごろ「海賊に乗り込まれているようだ」と連絡があったという。現場海域は海上自衛隊の護衛活動範囲外だった。 「IZUMI」はスチールコイルなどを積
将棋ソフトの「あから2010」と対局する清水市代女流王将(左)=東京都文京区の東京大学で2010年10月11日、久保玲撮影 清水市代女流王将(41)とコンピューター将棋ソフト「あから2010」の特別対局が11日、東京都文京区の東京大学工学部で行われ、86手でソフトが勝った。コンピューターと棋士の対局は07年の渡辺明竜王対「ボナンザ」(渡辺勝ち)以来で、ソフトが初めて女流タイトルホルダーを破った。 「あから2010」は「激指」など4ソフトが多数決で指し手を決める。「あから」は10の224乗を表し、将棋の局面の数がこの数に近いことにちなんで命名された。 対局は持ち時間各3時間。振り駒で清水が先手番になり、約6時間に及ぶ熱戦になったが、中盤から終盤にかけて「あから2010」がリードを広げて勝ち切った。 清水女流王将は「悔しい気持ちもありますが、途中からは血の通った人間と指している気持ちになりまし
スウェーデンの王立科学アカデミーは11日、今年のノーベル経済学賞を米マサチューセッツ工科大のダイヤモンド教授(70)、米ノースウエスタン大のモルテンセン教授(71)、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのピサリデス教授(62)に授与すると発表した。 ダイヤモンド氏ら3人は共同で、求職活動と採用活動の間に摩擦が存在すると仮定することにより、失業率の変動を説明するモデルを構築した。欧米で失業の長期化が問題になっていることを反映した授賞とみられる。 ノーベル賞委員会は授賞理由で、3人は「多くの求人があるにもかかわらず、なぜ多数の失業者が出るのか」や「経済政策が失業率にどう影響するか」などの問いを解明する理論を作り上げた、と指摘。この理論は労働市場以外の市場にも適用が可能だ、とした。 ダイヤモンド氏は今年4月、オバマ米大統領から連邦準備制度理事会(FRB)の理事に指名されたが、野党共和党の反対
中国江西省遂川県の農村に突然、現れた金属体を不思議そうに見つめる地元住民。中国が1日に四川省の西昌衛星発射センターから月探査衛星「嫦娥(じょうが)2号」を打ち上げた際、衛星を搭載したロケット「長征3号C」の整流カバーの一部が落下したものという。 3日付の中国各紙によると、発射から約11分後、同県内の2カ所に落下した。落下時には巨大な音が響き、周囲数キロで揺れが感じられた。幸運なことに落下した2カ所はいずれも農地で、人的な被害はなかった。 同県では今年6月以降、衛星打ち上げに伴う残骸(ざんがい)の落下が相次ぎ、今回で3回目。中国初の月探査衛星「嫦娥1号」を打ち上げた07年10月には、死傷者は出なかったものの、残骸が貴州省福泉市の民家を直撃したという。【北京・成沢健一】
将棋の清水市代女流王将(41)とコンピューターの将棋ソフトが11日、東京大学で対局する。情報処理学会(白鳥則郎会長)が創立50周年事業として挑戦状をたたきつけ、日本将棋連盟(米長邦雄会長)が女流の第一人者を立てて迎え撃つ。さて勝負の行方は--。【西川拓、金沢盛栄】 将棋ソフトがプロ棋士と対戦するのは、渡辺明竜王に敗れた07年以来。 「苦節三十余年、今回は9割方、ソフトが勝つでしょう」。情報処理学会側のスタッフで、「コンピュータ将棋協会」会長の滝沢武信・早稲田大教授(58)=応用数学=は自信を見せる。74年、世界で初めて指し将棋のソフト開発を始めた。 「当初はルール通りに駒を動かすので精いっぱい」(滝沢さん)で、84年に小学生名人に挑戦して惨敗。それでも90年から「コンピュータ将棋選手権」を開き、ソフト開発者同士で腕を磨いてきた。 将棋の場合、ある局面で可能な指し手(駒の動かし方)は平均して
【ニューヨーク山科武司】世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)第3次増資会合(議長・潘基文(バンキムン)国連事務総長)は5日、参加各国が11~13年に総額117億ドル(約9700億円)を拠出すると表明し、閉幕した。日本の伴野豊副外相は「当面、最大8億ドル(約665億円)を拠出する」と述べた。 日本は9月のミレニアム開発目標首脳会合で菅直人首相が、11年から5年間に保健関連で50億ドルの支援を約束しており、8億ドルもここから振り出される。 額が最も多いのは米国でこの日、今後3年間で40億ドル(約3300億円)の拠出を表明した。だが世界基金が現在の支援プログラムを3年間維持するには130億~200億ドルが必要だ。
米国とフィリピンのチームがセレベス海で発見した。多毛類と呼ばれる生物の一種という(海洋生物センサス事務局提供)=共同 過去10年間に世界各地の海から、新種とみられる海の生物が6000種以上も見つかり、海の生物種の数は分かっているだけで約25万種、未発見のものを含めると100万種を超えるなどとする調査結果を4日、国際調査チームが発表した。 国連などが出資、日本を含む80を超える国や地域から約2700人の科学者が参加して10年がかりで行った「海洋生物センサス(CoML)」の最終結果。 一方で、サメやマグロなどの大型の魚類やウミガメの中には、漁業などの人間活動が始まる前に比べ、個体数が90~95%減った種が少なくないことも判明。チームは、海の生物多様性保全対策の強化を呼び掛けた。 詳しい結果は、名古屋市での生物多様性条約第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)でも発表される。 CoMLで発見
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