天正17年の年貢割付状はきわめて貴重である。ただかなり煩雑になるので本文の大半を表にし、重要と思われる部分のみを引用した。本文書はもともと亀山区有文書という、共同体の構成員が全員で管理したり、区長が持ち回りで管理する共有財産*1だった。亀山に限らず渥美郡には各区有文書が多く伝存し共同体の紐帯の強さを示している。こうした区有文書は全国各地にあったが、負担が持ち出し*2であるため今日的には保存が難しくなってきている。文書群の伝わり方がそれ自身が歴史的な経緯を物語ることに注意したい。 一、亀山村*3 一、田畠歩合壱万九千七百八歩 高辻*4 此内 屋敷弐百九拾四坪*5 百姓屋敷分渡 此代壱貫九百六拾文 此取俵壱俵弐升六合六勺九才 但屋敷ハ中田二歩ニ延*6如此渡也、 中田百五拾歩 寺領引*7 此代五百文