食 品衛生検査所レポート No.8 イ カの精莢による苦情・相談事例 近年,輸送技術が向上し,新鮮な魚介類を手頃な値段で食べる機会が増えました。 一方で,グルメ嗜好の高まりで,様々な食べ方を試み,知らないうちに寄生虫やウイルス等の感染の危険 を冒しているケースも多く報告されています。 “イカの苦情=アニサキス” の構図が一般的ですが, 今回は寄生虫でないイカの苦情事例を紹介します。 《イカの精莢(せいきょう) 》 イカの筒状の胴の中には複雑な器官(内蔵)が詰まっています。オスは生殖器 として, 「精莢」といわれる白色透明の棍棒状のものを持ち(右図) ,この精莢を メスに刺すようにして交接します。 このため,先端がやじり状となっており,一度刺さると抜けにくい構造となっ ています。これを生食すると口腔内や胃に刺さり激痛を感じることもあり,また 自分で抜くことも困難です。 精莢は,スルメ