9月19日。未曾有の被害をもたらした福島第一原発の事故について東京電力の旧経営陣の責任を問う刑事裁判の判決の日。被告は勝俣恒久 元会長(79)、武黒一郎 元副社長(73)、武藤栄 元副社長(69)の3人。 東京地方裁判所は「巨大な津波の発生を予測できる可能性があったとは認められない」などとして全員に無罪を言い渡した。一般の市民で構成する検察審査会が2度、「起訴すべき」と議決し強制的に起訴されて始まった注目の裁判も、個人の刑事責任までは問えないとして無罪判決で幕を閉じた。 しかし、37回におよんだ公判からは、これまで知られていなかった“新事実”が次々に明らかになった。例えば、その1つ。首都圏唯一の原発、茨城県にある東海第二原発では、運営する日本原子力発電が東日本大震災が起きる3年前からすでに巨大津波への対策を進めていたことが初めてわかったのだ。さらには東京電力の現場の担当者たちは、巨大津波へ
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