最後に、自己啓発と「仮の姿」についてお話しします。昨今は自己啓発本の大ブームで、ベストセラーの半数以上が自己啓発本だと言えるほどです。主要なものを読んでみましたが、最近の自己啓発本の多くが「ベタすぎ」です。自己啓発メソッドは1970年代に開発されたアウェアネス・トレーニングがルーツで、僕は80年頃にトレーニングを受けています。 トレーニングには10年間ほど関わっていましたが、80年代半ばに参加者の質が激変しました。一口でいえば「ネタからベタへ」です。80年代半ばまでの参加者は、若いキャリア官僚、若い研究者、若いアーティストなど、学歴からいっても超エリート層でした。ところが、80年代半ばから参加者が普通の人たちになってくると同時に、雰囲気が変わります。 初期にトレーニングを受けていた層は、「仮の姿」をよりよく演じられるようになることを目的としていました。「こういう状況で、こういう人間は、こう