地勢と気候、資源と人間。それらの初期条件が複雑に作用しあうことで、技術が生まれ、産業になり、時代の変化とともにかたちを変えていく。歴史の積み重ねの中で技術とその製品を伝承し、淘汰にさらされながらも、強く、深く、洗練させていくことで生き残ってきた産業が伝統産業であり、地域の風土に密着したものが伝統的地場産業だ。 日本各地で様々な地場産業が生まれ発達してきたが、生産と消費のグローバル化、構造変化、ニーズの変化に対応できず、縮小し、消えていく地場産業も多い。そのような環境の下、金属加工品の産地として知られる燕三条は日本だけでなく世界中で地場産業としてのブランドを確立し、新たな製品や価値を生み出しつづけている。その強さの秘密はなにか? 燕三条の成功事例として大きな注目を集めている金属研磨業者のネットワーク「磨き屋シンジケート」。その組織を立ち上げた燕商工会議所の高野雅哉氏への取材をおこなった。また