筆者は,建設業界向け業務ソフトの開発ベンダーでソフトウエア開発に携わってきた。ここでは,自社における要求開発の事例を紹介したい。受託開発や社内システムの開発などと違い,不特定多数のユーザーが使う製品の開発では,要求開発にも多少異なる点がある。とはいえ,Openthologyが提唱する手法の多くは,製品開発における要求開発においても有効だ。読者の方々が要求開発に取り組む際に,参考になれば幸いである。 たまったバックログは3000件以上 当社では,営業部門やカスタマ・サポート部門が顧客からの要求を受け付けている。起案される要求は,多い月で100件程度。これが整理されないまま乱雑に積み残された結果,バックログの数は3000件以上にも達していた。現場では,このバックログの中で「何をやって,何をやらないのか,やるとしたら何からやるべきなのか」を判断しきれずに,混沌としていたのである。 さらに,要求の