【浅野直樹】「熱田さん」が、カラスと知恵比べ――。名古屋市熱田区の熱田神宮が、カラスの被害に困っている。神宮にとってカラスは神事にかかわる縁の深い鳥。事を荒立てず、共存しようと試行錯誤するが、なかなかうまくいかない。 【写真】烏喰の儀の後の新嘗祭で、韓神舞(からかみのまい)を奉納する神職。サカキを両手に持って鳥が羽ばたくような所作をする。近くでカラスも見守っていた=名古屋市熱田区の熱田神宮 「ギャー、ギャー」。夕方になると、境内のあちこちから鳴き声が聞こえる。 本宮南側の西楽所(にしがくしょ)の檜皮葺(ひわだぶき)の屋根はカラスに一部はがされ、こけが生えている。材料のヒノキ樹皮は、カラスの巣作りにもってこいの材料らしい。被害を防ぐため、現在は釣り糸を屋根に張りめぐらせている。 駐輪場のバイクはシートを破られ、境内にはところどころにフンが落ちている。参拝者が手や口を清める手水舎(ちょう