著者はHONZに「青木薫のサイエンス通信」を寄稿いただいている翻訳家の青木薫さんだ。英文雑誌「THE NEW YORKER」からサイエンスの話題を拾うこのエッセイだけを読みにくるという熱烈なファンもいるようだ。今月は「アルツハイマー先制治療――あなたならどうする」だ。一般向けの科学書作家として、現代最高峰のサイモン・シンの日本語訳はすべて青木さんの手のよるものである。翻訳者といっても英文学科の卒業ではない。専門は理論物理学。京都大学から「原子核間ポテンシャルのパリティ依存性及び角運動量依存性に関する微視的研究」で理学博士号を授与されている。神々しさにおもわず手を合わせて拝みたくなる。 そんな青木さんに書き下ろしエッセイの連載を依頼しようと、今年の1月出張帰りの彼女を東京駅で待ちぶせした。2時間ほども話し込み、エッセイ執筆の検討だけはしてみましょうという約束をいただいた。人を説得するにあたっ