1948年の福井地震による車体焼失から復活した福井鉄道の「震災電車」の連結車両として活躍後、福井県越前市内の民家敷地で長年保管されてきた路面電車「モハ62」。老朽化のため解体するという所有者男性の苦渋の決断に、神奈川県の鉄道ファンの男性が待ったをかけ、「将来に残したい」と譲り受けることを決めた。途絶えかけた車両の歴史に新たなレールが敷かれ、震災の遺産は再び受け継がれることになった。 「震災電車」として知られるのは、福井市中心部を運行中に福井地震後の火災で車体が焼け落ちた「モハ61」。68年に2両編成の「モハ160形」としてよみがえった際、連結車両として復活運行を支えたのが「モハ62」だった。 97年の引退後、廃棄されようとしていた車両を福鉄社員だった北橋幸治さん(75)=福井県越前市=が引き取り、自宅敷地内で保管展示。老朽化する車両の補修に努めてきたが、維持に限界を感じ、福井地震から75年