東京・下北沢に新刊書店「本屋B&B」を開業し、“小規模書店業界”のリーダー的存在の一人である内沼晋太郎さん。内沼さんが取締役を務めるバリューブックスでは、取次会社を通さない直取引、買切、5冊単位のみ、という条件の出版レーベルを立ち上げた。出版流通のコスト構造を変え、書店や著者へ利益を還元しようという狙いである。一人出版社や文学フリマなど、多様化する出版の現在についても聞いた。 出版業界のコスト構造に挑む 内沼さんが取締役をされているバリューブックスでは、「DR BY VALUE BOOKS PUBLISHING」という新たな本のレーベルを立ち上げました。その第1弾として、2024年5月に吉本ばななさんの書き下ろし日記『724の世界 2023』が出版されました。どういう意図があるのですか? 内沼晋太郎さん(以下、内沼) バリューブックスはオンラインで古本の買い取り・販売を行っている会社で、長