マンガ好きの投票で選ばれる「マンガ大賞2011」(同賞実行委員会主催)が羽海野(うみの)チカさんの『3月のライオン』(白泉社)に決まった。将棋のプロ棋士の世界を、女性らしい柔らかな感性で包んだヒューマンドラマだ。(佐藤憲一) この話の連載が始まった4年前、読者は意外な転身に驚かされたはずだ。恋愛のバイブルともいわれた美大生の群像劇『ハチミツとクローバー』(集英社、通称「ハチクロ」)を女性誌で連載してきた描き手が一転、硬派な題材を選び、青年誌の「ヤングアニマル」に舞台を移したからだ。 連載を依頼した白泉社の編集者・友田亮さんは、大学時代は将棋部員。「ハチクロのヒロインが人生と格闘する場面を読んで、将棋やボクシングなど人が一対一で勝負する話を描いてもらったらスゴイ作品ができる予感がした」と振り返る。 当時、羽海野さんも、大ヒット作となったハチクロの後に同じカラーの作品を書くことにためらいがあっ