リモート読書会で澤田誠『思い出せない脳』を読む。 思い出せない脳 (講談社現代新書) 作者:澤田誠 講談社 Amazon 研究関係の人が参加していて、「またどうせわかってもいないことをわかったように素人相手に書いた本だろ…」的に思って読み始めたそうである。 ところがである。著者はわかっていないことについては「わかっている」こととしては書かずに、しかし、「わかっていること」(しかも素人が読んですぐわかるレベルのようなこと)を使いながら、素人がそれで満足してもらえる書きぶりでどんどん進んでいく。よく読めばメカニズムや理由づけ、厳密な因果は書かれていないのだが、それでいいのである。啓発や教育として、興味を持ってもらい、不正確なことは言わない、ということに徹すれば、こんなふうに言えるのか(書けるのか)! とびっくりしたということである。腐しているのではなく、叙述の仕方として工夫されていることに感じ