公害問題の原点とされる水俣病に関し、取り残された被害者の救済を国に求めた画期的な判決だ。重く受け止めなければならない。 2009年施行の水俣病被害者救済特別措置法(特措法)の対象から漏れた近畿在住の元熊本県民らが国と県、原因企業のチッソに賠償を求めた訴訟で、大阪地裁が全員を被害者と認め、1人あたり275万円を支払うよう命じた。 国は、特措法で全被害者の救済をうたい、水俣病認定を受けていなくても手足のしびれなど感覚障害を持つ人に210万円の一時金を支給することを決めた。 だが、対象地域を水俣湾とその周辺海域に近い熊本・鹿児島両県の9市町に基本的に限定した。区域外の場合、汚染された魚介類を食べていたことの証明を求めた。 このため、申請した約4万8000人のうち約9700人が認定されなかった。 法施行から3年を申請期限としたため、その後に発症した人も対象外となった。 判決は、毛髪に含まれる水銀の