税制をゆがめる膨張ぶりだ。もはや放置できない状況である。 自治体に寄付すると、住民税などが控除される「ふるさと納税」の2022年度の寄付総額は、前年度より16%増の9654億円だった。3年連続で過去最高を更新し、1兆円の大台に迫った。 19年度に約4900億円だった寄付総額は右肩上がりで伸び、3年でほぼ倍増した。控除額は住民税の約5%に相当し、件数は5184万件に達した。利用の広がりがうかがえる。 ふるさと納税を巡っては、高額な返礼品競争が自治体間で過熱したため、寄付額に対する返礼品調達額の割合を3割以下、経費全体で5割以下とする規制が導入された。だが、寄付額ランキングを見ると、返礼品に力を入れている自治体が常連となっている。 納税者が故郷や応援したい自治体に寄付し、財政の一助とするのが本来の目的のはずだ。仲介サイトを通じた返礼品のカタログショッピングと化し、富裕層の節税対策に利用されてい