言論を暴力で封じ、民主主義の基盤である選挙を脅かすような行為を、どう防いでいくか。教訓を重く受け止めなければならない。 4月に岸田文雄首相の遊説先で爆発物が投げ込まれた事件について、警察庁が警護の状況を検証した報告書を公表した。 事件は、和歌山市の漁港で起きた。首相は避難し無事だったが、聴衆ら2人が軽傷を負った。兵庫県に住む容疑者が逮捕された。 報告書が指摘したのは、和歌山県警の警護計画の不備だ。安全を確保するための実効的な措置が盛り込まれていなかった。 聴衆は漁協関係者やその親族らに限られるとの前提で作られていた。自民党県連や漁協の説明に基づくものだが、認識が甘かったと言わざるを得ない。 出入りは、漁協のスタッフが顔を見てチェックするだけだった。一律の手荷物検査はなく、金属探知機も設けられなかった。 警察庁の事前審査も十分ではなかった。計画の不備を具体的に指摘するには至らなかった。 爆発