朝鮮人虐殺の現場となった旧四ツ木橋付近の荒川河川敷でフィールドワークをする西崎雅夫さん=東京都墨田区で5月、後藤由耶撮影 証言は民衆の力 虐殺された朝鮮人の遺体が埋められているという証言がある荒川河川敷を掘り返し、遺骨を供養する。その取り組みに、市民グループ「ほうせんか」理事の西崎雅夫さん(63)は加わっていた。その活動は明治大4年だった1982年9月までさかのぼる。 「生まれ育った足立区の近くでそんなことがあったなんて」という驚きもあった。それ以上に衝撃的だったのが、結局遺骨は見つからなかったものの、掘り起こす作業を見守った高齢者の中から「実は俺も虐殺の現場を見た」という声が出てきたことだった。 西崎さんは、84年に中学校教諭になるまで当時を知る人を訪ね歩いた。1度の訪問で話を聞けることはほとんどなく、何度も訪れて関係を築いた。「俺は見たけど話さない」と口をつぐまれることも多かった。実際