ぼくは枕元に白い兎のぬいぐるみを置いている。朝になるとカーテンの隙間から射し込んでくる光がその兎のぬいぐるみに当たる。ぬいぐるみはひとの孤独を紛らわすという話がある。だから、ぬいぐるみを買ったのだ。最近は思考がねばつくようなかんじがする。それは炊き立てのモチモチしたごはんのようだ。文章を書きはじめるといろいろな考えが枝分かれしていって、どれも遠くまで進まず、すぐ細くなって消えていく。これでは何も考えていないようなものだ。ぼくが、文章を書くのが下手になってきたのはそのせいもあるとおもう。 朝になると、白い兎のぬいぐるみを朝の光が照らす。ぼくはそれを見て意識を取り戻す。「おはよう」と言ってみる。「おはよう」と言うことで、自分はもう起きるのだと自分に納得させようという作戦だった。ぼくはひとり暮らしなので誰かに向かって「おはよう」と言ったわけではない。隣にいっしょに一夜を過ごした女の子が寝ているわ