会計検査院が15日に公表した報告書では、自治体が担う多くの事務手続きでマイナンバーによる「情報照会」が利用されていない現状が明らかになった。利用実績がないのはどういったケースなのか。報告書は具体的な事例を挙げている。 その一つは、指定難病の医療費助成を巡る新潟県の対応だ。県は申請を受けると、患者側の経済力を確認するため地方税の納税状況などを照会する。その際、マイナンバーを使えばネットワークシステム経由で市町村から必要な情報を入手できるが、2022年度に行った約1万3700件の確認業務の全件で「情報照会」を行っていなかった。 このため、患者側はわざわざ手数料を支払い、課税証明書の発行を受けていたという。新潟県の担当者は取材に「必要な情報が紙とデータに混在し、マイナンバーを利用すると逆に事務量が増えてしまう状況だった」と事情を説明した。