2 福島第一原発の事故以降、原子力事故の引き起こすこころの被害について取材している。原発事故の引き起こす恐怖や、避難のストレスで苦しむ人、命を落とす人が後を絶たない。 東京新聞は原発事故の避難やストレスによる体調悪化で死亡したケースを「原発関連死」と定義し、福島県内を取材、集計したところ789人に上った。しかし南相馬市といわき市は把握していないという。南相馬市の担当者の話から推定してそれを合わせると、福島県内の原発関連の死者は1000人を超えると見られる(2013年3月13日付)。 先行きの見えない長期の避難生活。それまでの生活の核を失った日々の中で、鬱積するストレス。その中で発生するウツや自殺。これこそ原子力事故のこころの被害と呼ぶべきものであるが、事故以前に誰がこのような事態を予想しえたであろうか。 かつて、名古屋で開かれた「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」で岡本道明氏(中